12月2日 日曜日
【スロベニア】リュブリャナ
~ 【クロアチア】ザグレブ
リュブリャナ最終日。
そしてスロベニア最終日。
そしてシェンゲン滞在可能期間最終日。
この日もネドルコのアパートで目を覚ます。
これだけお世話になったネドルコに何をしてあげられるかな。
け、け、ケツを貸せ?!
だから!!
ネドルコはノーマルだから!!
ヒゲと胸毛で判断しないで!!
よし、やっぱり日本食を作ってあげよう。
何がいいだろう………
煮つけ?
みりんも酒もない。
肉じゃが?
みりんも酒もない。
照り焼き?
みりんも酒もない。
みりんと酒がないとたいていのものができない(´Д` )(´Д` )
日本人みりんと酒に依存しすぎ(´Д` )(´Д` )
えー………代表的な日本食………
悲しいほど料理の引き出しがない…………
今まで料理を作ってくれる女性に恵まれておりました。
僕の家は共働きなので、家にお父さんもお母さんもいない時がたまにあった。
そんな時、さっと作っていた得意料理を作ることにした。
鍵っ子の味方!!
チキンライス!!
日本料理か?
たぶんそうだよな?
こんな簡単な料理どこの国にでもありそうだよな。
日本人のソウルフードさ!!と言うと、それは素晴らしい!!と喜ぶネドルコ。
あぁ、フィンランドの惨劇が頭をよぎる(´Д` )
ネドルコと一緒に買い出しへ。
アパートを出ると…………
ついに追いついてきやがった。
雪………
だいぶ南に下ってきたんだけどな。
ポーランドから追っかけてきた。
早く南に行かないと。
日曜日の大きなショッピングモールはものすごい数の買い物客で溢れていた。
クリスマスのキラキラした飾り付けが大量に売られている。
子ども向けのプレゼントや、スモークチキン、ワイン、シャンパン、サンタの形をしたチョコレート。
12月に入り、一気にクリスマスムードに様変わりしたな。
クリスチャンの国で迎えるクリスマス。どんな美しい光景を見ることが出来るかな。
楽しみだ。
日本の食材コーナーへ。
うーん、お米、麺、調味料、いろいろあるんだけど、どれも中国産やベトナム産とかで、本物の日本のものがない。
あ、キッコーマンの醤油はあるよ。
キッコーマンの醤油はとてもメジャーで、日本食品コーナーじゃない外国の調味料置き場とかでもたまに見つけることができる。
400円と、この国の物価でいくとけっこう高いけどね。
米と鳥肉とニンニク、玉ねぎ、あとミックスベジタブル。
これでパーフェクト。
アパートに戻って早速料理開始!!
出来上がったのがこれ!!!
味は………美味い!!
かなり美味い!!
どうだ!俺もその気になったらチキンライスのひとつやふたつ、わけないんだぞ!!
周りにサフランを散らしたりするんだぞ!!
あああああああああ、だってネドルコがああああああああ、勝手に先々やって俺にやらせてくれないんだもん(´Д` )(´Д` )(´Д` )
ネドルコは5つ星レストランや豪華客船のレストランで働いてたこともあるウェイターのプロフェッショナル。
今はリュブリャナの中心部にある230年の歴史を持つ、この国を代表する3つ星レストランで働いてる。
そんな一流ウェイターである彼なので、つい腕が鳴ってしまうみたいで、レシピを説明したらあっという間に作ってしまった。
しかし、彼はやっぱりヨーロッパ人。
これはチキンライスではなくリゾットだな。
「料理ってのはイメージさ。美味しい味をイメージして、それに何が必要かを考えて足していくんだ。」
満足してニコニコしているネドルコ。
なんて愛に溢れた男なんだろう。
ネドルコの、この素晴らしい笑顔を見てるとホントに思う。
目と眉毛の間隔が狭いなぁと。
そして2人で中央駅へ。
雨の中、車が水をはねるのを気をつけながら歩き、到着。
首都の駅のくせに、やっぱり小さい。
5日前か、ここに来たの。
ていうかたった5日なのか。
10日くらいいたような気がするよ。
こんだけ落ち着かせてくれた街、始めてだったかもな。
14ユーロの切符を買って電車に乗りこんだ。
ネドルコとハグ。
そしてドアが閉まる。
最後までとびきりの笑顔のネドルコ。
笑顔は周りを笑顔にする。
こんなん小学生でも知ってる。
耳にタコができるくらい聞いてきたこと。
でも、逆に当たり前すぎて忘れがちなことなのかもしれないな。
良いエネルギーを周りに与えられるような笑顔を作れる日がいつかきっとくる。
だって俺はこんなにも素晴らしい人たちと出会ってきているんだから。
ネドルコ!!
ありがとう!!
あなたは信じられないほど美しい心と考え方を持っているよ。
あなたに教えられたこと、しっかり胸に焼きついた。
お互い、また笑顔で再会しよう!!!
ネドルコ、リュブリャナ、スロベニア!!!
クアラ、クアラ。
クロアチアに向かって快調に走っていく電車。
さて………問題はここからだ。
さっきからドキドキが止まらない。
不安が襲いかかってくる。
スロバキアでシェンゲンエリアのオーバーステイが発覚したのが30日前。
発覚した時点ですでに20日くらいオーバーしていたんだけど、捕まった外国人警察がいい人だったのと、俺が日本人だったということで、寛容な処分が下され、強制退去まで30日間の猶予期間を与えてくれた。
そのおかげでハンガリーとスロベニアを回ることができたんだよな。
あれから30日。
調子に乗って猶予期間ギリギリまで滞在していたんだけど、いまさらになって緊張が破裂しそうだ。
もちろん、正式な手続きをしたし、罰金も払った。
猶予期間内なら文句つけられることはない。
でも外国人警察が言っていた言葉が気になっている。
「書類がすべてスロバキア語だから、もし面倒くさい親切じゃない係員に当たってしまったら足どめを食らうかもしれない。運悪く不良警官に見つかったらまた処罰を受けるかもしれない。」
頼む。
なんなくすり抜けてくれ。
そして電車は国境の街に止まった。
電車の中が騒がしくなる。
みんなIDカードを取り出す。
ヨーロッパではビザやパスポートがなくてもIDカードでシェンゲンへの出入りができる、とネドルコが言っていた。
ドカドカドカ!!!
来た!!国境警察だ!!
各部屋をチェックしながら近づいてくる!!
怖い!!
怖すぎる!!
ああ~ん?てめー、不法滞在者か?このアジアンめ!!
と壁に押さえつけられないかな………
荷物全部あけやがれ、このイエロー!!
って脅されないかな…………
怖すぎるーーーー!!!!!
「Hello. Pasport.」
パスポートを渡す。
(´Д` )ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク(´Д` )
2分後、笑顔でチェック終了。
多少突っ込まれたけど、書類と罰金のカードを見せたらすぐにスタンプ捺してくれた。
ゴメン!!みんな!!
またトラブルなし(^-^)/!!
つ、ツバを吐かないで!!(´Д` )
あっという間にクロアチアに入国。
クロアチアはシェンゲン協定加盟国ではない。そしてここから南の旧ユーゴスラビア諸国もシェンゲンに入っていない。
ブルガリアもルーマニアも。
もちろんトルコから南はもうヨーロッパではないので気にすることはない。
これから3ヶ月、外で過ごせばまたシェンゲンに戻ってこれるってわけだ。
ただひとつ、ギリシャだけがシェンゲンなんだよなぁ。
東側でギリシャだけポツンと飛ばさなきゃいけない。
3ヶ月でアフリカまで終わらせて、必ず戻ってきてやる。
電車はクロアチアの首都、ザグレブに止まった。
さて、お腹空いたので何か食べようかなー、って、
あああああああああ………
やっちまった………
クロアチアってユーロじゃなかった………
クーナっていうオリジナルのお金だ………
ネドルコとの別れが大きすぎて、いつもの準備をすっかり忘れてた。
また明日稼ぐまで飯抜きか………
絶望しつつ、駅の地下道に降りてみると、なかなか良い感じのストリート。
もう夜の22時だけど人通りはそこそこ。
そうだよ、ここ首都だからね。
うんうん、いいんじゃないかな?
やっちゃおう。
小さなショップが並ぶ綺麗な地下道なので、どう見ても歌っちゃいけない雰囲気だけど、こっちも飯抜きがかかってる。
強引に路上開始。
パラパラとコインが入る。
お、これ結構いけるんじゃない?
お、お巡りさんですね?
わかりました、やめます。
2分で止められたが、それでも13クーナ入った。クーナのレートっていくらなんだろ。
駅裏にマクドナルドがあったのでメニューを見てみたら、チーズバーガーが6クーナだった。てことは6クーナで1ユーロかな。
とりあえず1食にはありつけそうだ。
今夜は我慢して何も食べないで、明日歌う前のご飯のためにとっておこう。
小雨がぱらつく中、地図で見た大きな川に向かって歩く。
知らない街に入ったら、まずは川の場所をチェックする。
だいたい河川敷ってのは芝生があるし、橋の下なら雨もしのげる。
そしてお巡りさんが来ないってのも川野宿の大きなメリット。
次に公園。
芝生が綺麗でテントを張りやすいけど、警察に怒られる可能性大。
あとは墓場とかだけど、テントを手に入れてからは墓場にはお世話になってないな。
ああああ、ネドルコのアパート快適だったなぁ。
これからまた毎日知らない街で寝場所を探さないといけないんだなぁ。
え?まだヨーロッパ?
アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アジア、
これから続く果てしない旅に目が眩む。
毎日毎日、寝場所を見つけないといけない。
毎日毎日、メシを食わないといけない。
毎日毎日、金を稼がないといけない。
果たして可能なのか?
道のりが長すぎてイメージがわかないよ。
でも一歩一歩進んで行くしかないんだよなぁ。
この一歩は地球からしたらミジンコより小さいだろうけど、それでも確実にゴールに近づく一歩だもんなぁ。
そんなこと考えながら歩き続けてちると川に出た。
あー、今夜の寝床を見つけたぞ。
クロアチア、よろしく!!