11月12日 月曜日
ハンガリー ブダペスト
雨ー。
雨がパタパタとテントを打っている。
あー、雨が降ると濡れたままテントをしまわないといけないから嫌なんだよなぁ。
でもテントの有り難みを1番感じられるのも雨の日だったりする。
外に出るのが嫌でずっとゴロゴロしてた。
もうどうせ雨だし、このままテントの中で1日中ゴロゴロしたおして明日から動こうかなぁなんてサボり虫がノソノソやってくる。
テント畳むのめんどくさい!!
このまま、ここは個人宅です!みたいな感じで公園にテントを張りっぱなしにして、荷物を中に入れたままで動いていいんだったら街に歌いにいってやってもいいよ、ブダペスト?
夕方に帰ってきた時にまったく何も手をつけられてなかったら、それこそこの旅1番の奇跡だな。
あー、めんどくさいけど行こう!!
今日稼がないと明日から飯抜きだぞ!!
テントを畳んで歩きはじめたのが12時。
ゆうべネットでマップを見たけど、ここから中心部まではなかなか遠い。
というわけで地下鉄へ。
ブダペストはロンドンの次に地下鉄が出来た街らしく、1896年に開通したんだって。
すんげーなぁ。まだ日本が関ヶ原の戦いを終わったところだよな。
明治30年くらいか。
(^-^)/
地下鉄の入り口は、相変わらずテキトーな改札機が置いてるだけでキセルし放題…………
と思ったら階段のとこに係員さんが立っていて切符のチェックをしていた。
ていうかキセルなんかしないよ!!するわけないじゃん!!!(´Д` )
中心部までの値段は320なんとか。単位がわからん。レートもわからん。
ブラチスラバで歌ってる時に、ゲットしたお金の中にハンガリーのお金が混ざっていたので、なんとかそれで足りた。
やってきた古めかしい電車に乗り、なんとなく中心部っぽいところで降りた。
おー!!都会ー!!!
ブラチスラバとは比べものにならない都会ーー!!!
そりゃそうだ、ブラチスラバは50万人都市、ここブダペストは170万人都市だからね。
さて、ここでハンガリーお国情報。
★言語……ハンガリー語
★人種……白人。でもアラブ系の色が濃くなってきてる。マジャル人ていうみたい
★通貨……フォリント
★レート……1ユーロ=283フォリント
★人口……1000万人
★面積……北海道よりちょい大きいくらい
★世界遺産……文化6件、自然1件
★温泉大国
★ワイン有名
かつてはハンガリー王国として結構大きな国だったみたいなんだけど、オスマン帝国に侵攻されたり、オーストリアに支配されたりと、苦しい時代が続き、オーストリア=ハンガリー帝国も第一時大戦の終了とともに解体。
二次大戦後はロシア支配を受け共産主義国として暗い時代を過ごし、1989年に独立って流れだな。
このあたりの国々はだいたいどこも同じような歴史背景。侵略、虐殺、独立、また侵略………国境を境にこんなに敵対できるなんて、国境ってなんなんだろな。そう考えるとEUやシェンゲンのような連合体は、人類としてとてもとても大きな進歩なんだろうな。
まぁ、難しいことは置いといて、トカイのワイン飲んで各地の温泉に入りまくればハンガリーはOKだな。
目標10日以内!!
よーし、ノンビリしてる暇はない。観光してる暇もない。
とにかく歌わないと。
適当に人の流れに乗って歩いていると、ホコ天のいいショッピングストリートを発見。
おそらくここがメインストリートだろう。
観光の街らしく、土産物屋さんと換金屋さんがズラリと並んでいる。
どこで歌おうかなーって歩いてみるが、んー、他に路上パフォーマンスをしてる人がいない。
どうやらこの街も路上パフォーマンスにライセンスが要るってパターンなのかな。やってみなきゃわからないが。
雨が降ってきたので、メインストリートの真ん中にある車道の下をくぐっている地下道に降りてみた。
お、ここいいじゃん。
人通りも多いし、コンビニもない。
階段のとこにジープスの婆さんがいて、マァ~ダァ~ム、プリ~ズ~、と悶えてるけど、知ったこっちゃない。
でも一応お邪魔しますよ、の友好の印として10フォリントを彼女の手に置いた。
サンキ………ノ~!ノ~!
10フォリントじゃ足んねーよ~と贅沢なことをぬかしてきやがる。病気の子供の哀れな写真を見せつけながら。
だから知ったこっちゃねぇって。
これだからジープスは嫌いなんだよ。
金額の大小に関わらず感謝しやがれってんだ。
そんな婆さんを向こうに見ながら路上開始。
お、なかなか順調に入っていく。
都会では稼げないってのがお決まりなんだけどな。
ハンガリーの人たち太っ腹だ。
そしてハンガリーのコインってユーロやズロティに比べて大きいので、なんだかすごく稼いでる気分!!
みんな50フォリントや100フォリントを入れていってくれる。
イヤッホー!!!って言っても283フォリントで1ユーロなんだけどね。
ア~エ~ウ~ア~~~~!!!!!
向こうのジープスのババアが、てめーうるせぇんだよ!!と言わんばかりに大声で悶えている。
チラっと見てみると、こちらを睨んであっち行け、と手を降っている。
知るか。
ババアを素通りしたおじさんが俺にお金を入れる。
ア~~イウオ~~イア~~!!!!
(たぶんルーマニア語)
俺にお金が入るたびに魔術をかけているかのような雄叫びをあげるババア。
たしかに俺がここで歌ってることによって、彼女は通行人の興味を独り占めすることはできない。
ついにキレたババア!!
こっちに向かってきた!!
ジープス特有のスケバンみたいなロングスカートを蹴りながら!!
ちょっと趣向を変えて、この会話は彼女目線で書いてみよう。
ババア
「てめーなめてんのかコノヤロウ?お前のおかげでメシが食えねーじゃねぇか!?」
文武
「ハラキリゲイシャ?フジヤマ?」
ババア
「なにぬかしてんだ?このモンキーは?ABC!!ここは俺の縄張りだからとっとと失せてお母さんのオッパイしゃぶってろ!!ABC!!」
文武
「サムライ、チョンマゲ?スシ。」
ババア
「この不能ヤロウめ!!ABC!!殺してやろうか?!ABC!!」
文武
「ギブミーチョコレート。」
このやり取りは決死の思いでビデオ撮影に成功したので、ホームページの映像のところでお楽しみください。
ものすごい勢いで怒ってるんだけど、なぜか言葉の合間にABCを挟んでくるババア。
これから彼女のことをABC婆さんと呼ぼう。
罵声を吐きながら地下道から消えていったババア。
さて、魔術も聞こえなくなって気持ちよく路上再開。
うん、ハンガリー、お金入るなぁ。
うお!!2000フォリント紙幣まで入った!!
すげー!!といっても7ユーロくらいだけどね。
まだこの国の物価がわからないから、足元のお金がどれだけの価値があるのか見当もつかない。
バブーがお金入れてくれた。ありがとね!!
しばらく歌っていると、ギターを持った兄さんと小さなジャンベを持った兄さんの、アラブ系の2人組がやってきた。
俺らもここでやりたいんだけど、何時に終わる?と言ってきた。交代時間の交渉だ。
今が16時15分。
切りよく17時でどう?と言うと、うーん、16時45分でお願い!!と微妙な時間を指定してきた。15分でももったいないんだな。
俺たちストリートパフォーマーにとって場所っていうのは早いもん勝ちってのがルール。指定席なんてない。
しかし外国では、みんな良い場所を譲り合いながら演奏している。だいたい2時間ごとに交代ってのがひとつの目安みたい。他に誰も来なければずっとやってていいけどね。
じゃあさっきのABC婆さんは?
ジープスはパフォーマーじゃないね。
時間までガッチリ歌ってハンガリーの路上初日は終了。
地上にあがるとメインストリートに街灯がともっていた。
きれいだな。
レトロな灯りが、どこかヨーロッパ文化とアジア文化の混ざりあった怪しげな雰囲気を醸し出している。
銅像のパフォーマーも久しぶりに見たな。ここは観光の街。
今日のあがりは5200フォリント。
すっげー!!超大金!!
って思ってしまうけど、レート換算したら、たったの18.3ユーロだけどね。
少なっ!!
あんまり稼げなかったスロバキアでさえ、1日50ユーロくらいは稼いでたのに。
そんじゃまぁ、この5200フォリントがどれほどの価値があるのか、お買い物タイムだ。
ゆうべの寝床である郊外の公園まで歩いたんだけど、その途中にあるアジア料理店で晩ご飯。
920フォリント。
桁がでかいのですっげー高く感じてしまうけどたったの3.2ユーロ。今までで1番安いんじゃねぇか?
次にスーパーでビールを購入。2本で390フォリント。1本70円てとこか。ここは同じくらいだな。
寝床の近くのバーガーキングでポテトの小を食べながらこっそりビールを飲む。380フォリント。これもまぁ同じような値段。
い、い、一瞬で1700も使ってしまった(´Д` )
といっても6ユーロなんだけど。
1、が、283って、金銭感覚が掴めないなぁ。
しばらくしたら慣れるだろう。
そして慣れた頃には次の国だ。
よーし、ひとまず飯は食えるな。
明日までガッチリ歌ってある程度資金を作ったら観光して次の町だ。