9月30日 日曜日
日曜は町の機能が停止する。
すべてのお店が閉まり、車も走っていない。
静寂の町角。
しかしそんな日曜日に、そこにだけ人がたくさんいる場所がある。
教会!
パイプオルガンと人々の讃美歌がどこからともなく聴こえてくる日曜日の朝。
旧市街地には3つ大きな教会があるんだけど、どの教会でもホリデイミサをやっていた。
中をのぞくと、とても俺みたいなゲスが入っていけるような空気じゃない。
神聖で厳かで、澄んだ空気。
すると、教会の前に昨日も見た地元のアコーディオン弾きがやってきて準備を始めた。
ドンピシャのタイミングでミサが終わり人々が教会から出てくる。
決して上手ではないアコーディオンに、信心深くなりたての人々はみなお金を入れて行く。
人々は帰り道でカフェに行きランチタイムという流れ。
教会の前をはしゃぎ回る子供。
手をつないで歩く老夫婦。
ずっとずっと繰り返されている何気ない日常の風景。
俺もお腹空いたので歩いていると、中華料理屋さんを見つけたので入ってみた。
ブュッフェ!!
ブュッフェってお洒落だな。
バイキングだよな。
食べ放題のやつ!!
いつも思うけど中国人の店員って愛想悪すぎなんだよな。
とくにオバさん店員。キレてるんですか?みたいな顔で接客してくる。これはどんな料理ですか?って聞いても、俺キレさせたら大したもんだよみたいな投げやりな説明。
それに比べて白人店員はみんな笑顔でニッコリ接客してくれるから気持ちいいんだよな。
やっべぇ!!ゲロうますぎる、ここ。
モヤシ炒めとかチャーハン、焼きそば、酢豚、サラダ、スープ、他にも色んな料理がたくさん食べ放題で6.1ユーロ。
ハマりました(´Д` )(´Д` )
これ他で食べようと思ったら10ユーロ越えるぞ。
うっひょーーーーー!!!!!!
食べ放題ーーーーー!!!!!
揚げ物サイコーーーー!!!!!
そして初めての海外の寿司に挑戦!!!
クッソまじい!!!
なんだこれクソか?
シャリはべちゃっとしていて、ネタのサーモンもねちゃねちゃ。
食えたもんじゃねぇ。
スシロー行け!!
でも他のは全部とっても美味しかったです(^-^)/
料理人の中国人さん、ありがとう。
大好きです。
今日は1日、観光デー。
町を歩き回り、たくさん写真を撮った。
教会の見所としては、あ、俺今日は観光客ですからね。見所とか言っていいやん。教会は博物館じゃないよ、ってそんな堅苦しいこと言わないの。
メインストリートの南端、少し坂を登ったところにある町のランドマーク的な大きな教会。
ここは古めかしい外観とステンドグラスの美しさが見事。
メインストリートの真ん中にあるピンク色の教会は、装飾が凄まじい。
なんかロココとかバロックとかスト2のキャラクターみたいな名前の建築様式らしいよ。
勉強したほうがいいよね。
しないけどね。
ヨーロッパ来た瞬間、前から知ってましたみたいな感じで、これはバロック様式ですね、ロココ調の装飾が見事、とか言い出したらキモいよね。
そしてメインストリートの北端にある大きな教会は1番格式高そうな荘厳な雰囲気。
3つともそれぞれに個性があり、すべてを回って見学する価値あり。
もちろん博物館じゃないので信者さんが片膝をついて礼拝をしているので、静かにしないといけません。
写真撮りまくってゴメンナサイ(´Д` )(´Д` )(´Д` )
メインストリートを外れて、住宅地のほうにも行ってみる。
なんてことのない町並みだけど、その生活感が愛らしい。
このシュタイアーは川の合流地点ということで、はるか昔から洪水の多い町らしい。
それを物語るのがこの歴代洪水メモリ。
1番上のは1500年代。
少しは治水技術が進んで改善されたのかと思えば、2000年代のやつがかなり上位に入っている。
河川敷でテントなんか張ってたら一瞬でサヨウナラだな。
見晴らしのいい高台に上がってみたくて、階段を上がってみる。
きつい。
荷物なんとかしなきゃな。
テントを買ったことでさすがにバッグの容量が限界になっている。
奥の物を取り出そうと思ったら、一度全部ひっくり返さんといかんし、小物類も同じところに混ぜこぜに入れているのでかなり取り出しにくいし、傷みが激しい。
あー、メインストリートのアウトレット屋さんに8千円で大きなキャリーバッグが売ってたんだよなぁ。
たくさん収納がついてるから小物も分別できるし、何よりキャリーってのが楽だよなぁ。
でも綺麗すぎると泥棒に狙われやすいしなぁ。
悩むなぁ。
考えながらも荷物は体に重くのしかかる。
限界が来て途中のベンチでひと休み。
そのままそこで1時間くらい曲作り。
高台の頂上に着いた。
素晴らしい風景が広がっていた。
2つの大きな川が合流する地点に形成されたシュタイアーの町。
赤い屋根の家々が密集し、その中に大きな教会の塔が目印のように立っている。
周りを緩やかな山に囲まれ、すぐ町の外は田園地帯が広がる。
人々の生活。
生まれて、学校に行き、仕事して、結婚して……っていう日本と同じ生活がここにある。
変わりばえしない毎日の中にある喜怒哀楽。
俺の知らないところで紡がれている美しい物語。
それに触れたい。
宮崎の日向にある山から夜景を眺めて、いつもそう思っていた。
取り残されているかのような焦燥感。
あれからずいぶん旅をして、あの感情が薄れていたように思えていたけど、このシュタイアーの丘の風景はこんなにも胸をしめつけてくれる。
しめつけられすぎて解き放ちたくなる。
俺にとってとても尊い感情。まだこんなにあったんだ。
なくしたものも、全部ここにある。
穏やかな風に吹かれて、我を忘れるほど立ち尽くしていた。
世界は広い。
まだまだ先は長い。
まだ見ぬ運命の友達たち。
俺はここにいるよー。