7月27日 金曜日
あー、静かで蚊がいないとこんなに快適に眠れるんだなー。
おかげで体力もだいぶ回復した。
しかし………
寒くて寝袋から出たくない。気温は6℃ってところか。
そうはいっても、ここは小学校の校庭にある小屋だ。夏休み期間中とはいえ、いつまでもいるわけにはいかない。
白い息を吐きながら寝袋を出た。
さて!まずは換金だ!
勇んで銀行へ!
うーん、中に入ったもののどこが何かわかんない。
日本みたいにカウンターがあって人がたくさんって感じじゃなく、仕切りのしてある小部屋が並んでるだけなので訳がわからない。
オドオドしていると女の人が話しかけてきてくれた。
どうやらここでは換金できないよう。
ポストオフィスでできますよだって。
銀行じゃなくて郵便局で換金するのか。
場所を教えてもらい、郵便局へ。
お姉さんに換金して下さいとお願いすると、やっぱりどこでもそうなんだろうな。
コインの換金は出来ないらしい。
ユーロのコインがめちゃくちゃあるので重いから換金したかったんだよなぁ。
仕方なく紙幣を15ユーロだけ換金することに。
お姉さん
「15ユーロ?やめたほうがいいわよ。」
え?どういうことだ?
簡単な英語なら聞き取れるようになってきたが、ちょっと複雑な文章になるとまだ理解できない。
優しいお姉さんが根気よく説明してくれ、ようやく理解に至る。
さすがなんでも高い国、ノルウェー。
換金するのに手数料で75クラウンかかるのだそうだ。
つまり15ユーロを換金すると112クラウンになるのだが、そこから手数料で75クラウンを引くので俺の手元には37クラウンしか入らないということになる。
安いハンバーガーとコーヒー1杯で消滅する。
やるじゃねぇかノルウェー。
死ねということですね。
わかりましたよ。
やってやろうじゃねぇかコノヤロウ。
換金を諦め、近くのスーパー「ユーロユパー」へ。
腹が減っては戦はできぬ。
パンコーナーで、ヨーロッパって感じの大きなパンを購入。埃がついてもはたいて食べるみたいな感じのあれ。
そして惣菜コーナーでミートボールもゲット。
残金2クラウン。
公園でパンをむしって食べる。
うまっ!!めちゃうまいじゃねえかコノヤロウ。
外はカリッ、中はモチ、香ばしくてすっごく美味しい。
そしてミートボールも肉汁があふれてめちゃくちゃ美味い。
トロムソでの台所決定だな。
よーし、睡眠もとった。
飯も食った。
人出も上々。
雨も降ってない!
物乞いさん、ちょっとお邪魔しますよ。
いざ、路上開始。
いいねいいね。
順調に稼いでいく。
あがりは正直だ。調子がイマイチの時は全然入らないし、今日みたいに体力のあるときは面白いようにお金が入る。
それぞれの国に入って1番最初に覚える言葉は「ありがとう」なんだけど、さっそくノルウェー北部のありがとうを教えてもらった。
「タック スカル デュ ハャ」
難しい……
フィンランドは「キートス」だけだったから覚えやすかったんだけどな。
それでもお金を入れてくれた人に不器用ながらタックスカルデュハャと言うとにっこり笑ってくれる。
途中、たちの悪いチンピラが来て、はやしたてた上にお金をいくらか持っていかれたけど、それでもまぁ頑張って歌い続け、5時間でジャスト1000クラウンのあがりになった。
13000円の135ユーロってとこか。
ほどよい充実感でファストフード店へ。
19クラウンのまずいコーヒーを飲みながらWi-Fiでネット関係の更新&返信。
そしてノルウェーについて調べてみた。
まず人口480万人。少なっ!
日本の平安時代くらいに、海賊が暴れまわっていたみたいで、これが国家形成のもとらしい。
その後、デンマーク支配からスウェーデン支配と親戚をたらい回しにされる可哀想な孤児のような時代を経て、ようやく1900年初期に独立。
言語はノルウェー語。
石油の輸出量6位。
水資源が豊富で水力発電が盛ん。
フィヨルドがすごい。
このフィヨルドってのがなんなのか?
地図を見てみると、海岸沿いがギザギザに入り組んでいる。リアス式海岸の何十倍の規模だ。
これは何万年もかけて降り積もった雪が固まって出来た氷の台地、氷河が、その自重で沈み、陸地を削りながら沈下していくことによって作り上げた地形らしい。
うーん、スケールがでかい。
あと物価がスーパー高いのは世界で1番税金が高いから。
消費税が25パーセントだってさ。
でもその分、教育と医療がタダ、そして老後も手厚い保護があるんだってさ。
幸福度ランキングみたいなやつで男女ともに世界一なんだって。
色んな国のやり方があるんだなー。
そして観光地はあんまりないみたいだ。
フィヨルドと教会と街並みって感じだな。
ここからずっとオスロまで南下して行くつもりだけど、フィヨルドが深すぎて渡し船に乗らないといけなかったりする。
渡し船はさすがにヒッチできないだろうなー。
なかなか厳しいヒッチの旅になりそうだ。
さてと、今夜もゆうべと同じ小学校の小屋で眠るかと荷物を担いだ。
コインが………
重い………