7月22日 日曜日
おらぁぁぁぁーーー!!!!!
サンタ出て来いや!
あぁぁぁぁん!??
どんなメンチを切ってやろうかなーと考えながら田舎道を1人歩く。
あぁー、綺麗な風景だなぁ。
癒されるなぁ。
はっ!いかんいかん!
これからサンタにメンチを切りに行くのにほのぼのしてちゃいけない。
はるか向こうまで続く森の中の一本道。
何もないかのように見えるが、実はここは住宅地。森の中に綺麗な一軒家が並んでいるのだ。
木漏れ日にちらつくログの家、レンガの家、庭は芝生が刈り込まれ、ブランコとテーブルが置かれ、バーベキューのコンロがセットしてある。
CMでありそうな「北欧スタイルのマイホーム」って雰囲気がまんまここにある。
あー、いいなぁ。
こんな白樺の木漏れ日の中で鳥のさえずりの中目を覚まして庭のテーブルでコーヒー………
はっ!いかんいかん!!
これからサンタにメンチを切らなきゃいけないんだよ。
1時間後、メンチどころじゃないくらい歩き疲れる。
あぁ……大人しくシャトルバスに乗っときゃよかった………
7ユーロをケチった結果、絶望的に疲れる。
森の中の遊歩道を歩いていると、向こうから何やらすごいスピードでこっちに迫ってくるものが見える。
人だ。
近づいてきてわかった。
ノルディックスキーってやつか?
スキーでマラソンみたいなのする競技。あれだ。
ローラースケートをはいてステッキでアスファルトをカツカツ叩きながら滑走していった。
さすがウィンタースポーツの国。
夏の間もトレーニングを欠かさないんだな。
あー!!俺もローラースケート欲しいー!!
と泣きそうになりながら歩いていると、あ!!あれだ!!
1つ目の目的地、サンタパークだ!!
どれどれ、サンタはどこに………
チケット16ユーロ。
ペッ!!
唾を吐き捨て歩きだす。
まぁいい。ここはおまけみたいなもんだからな。
本番はこの先にあるサンタクロース村だ。
さらに歩き続けること2km以上。
やっとたどり着いた………
サンタクロース村に到着。
よーぉぉぉぉし!!!
サンタどこだおらぁぁぉ!!!
あ!!いやがった!!
おい、てめーわかってんのか?
コノヤロウ?
自撮りでサンタにメンチを切る俺を、なんだあのモンゴロイドは?みたいな目で見る家族連れたち。
よーし、次は本物だ。
うわぁ、可愛いお土産がいっぱいだー!!
あー、これいいなぁ、
これなんかお土産に買っていったらみんな喜びそうだなぁ。
でもずっと持ってくわけにもなぁ。
あ、トナカイの一枚皮も売ってる!!テディさんに持ってってあげたいなぁ。
はっ!!土産物屋さんのあまりの楽しさにメンチを切ることをすっかり忘れる。
こんなんじゃごまかされんぞ!
サンタを探してたくさんの土産物屋さんを見て回っていると、なにやら怪しげな扉を発見。
サンタ イン ヒア
って書いてる。ここか。この中にいるんだな。
まるでゲームの最後のボスみたいな感じだな。
扉の入場料は無料。写真やビデオは厳禁。
えー!どんな風にいるんだろ!!
ヤバイ!こわい!
おそるおそる扉を押す。
そこは薄暗い空間。
遊園地のアトラクションみたいに通路が伸びていて、氷を模した床や、草を這わせた壁、巨大なぜんまい時計など、不思議な空間が演出されている。
すると先の方から人の叫び声がした。
急ぎ足になる!
進んでいくと、そこには小さな部屋があり、人が並んでいた。
あ!!外にモニターがついていて中の様子が見える!!
サササササ、サンタがいる(´Д` )
リビング風の作りの部屋の中でゆったりと椅子に座ってる!!
入ってくる人とにこやかに写真を撮ってる。
大喜びの観光客たち。
みんな家族とかカップルなのに、俺は1人。
風呂に一週間以上入ってないけどいいのかな。
俺の前の人が中に消えた。
次俺の番。
ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク(´Д` )ガク(´Д` )ガクガクガク(´Д` )
「OK. Are you ready?」
サンタの格好をした可愛い女の子がロープを解く。
おら!!メンチ切ってやる!!!!!!!
サンタ
「Oh.Wellcone♬ Where are you from?」
文武
「あ、どもッス。自分、日本から来たッス。」
サンタ
「オー、ヨウコソ♬」
文武
「あ!日本語うまいッスね。すげッス。チャっす。」
サンタさんの横に座る。
そこらの偽物じゃない、まさにザ・サンタってイメージ通りの感じ。
サンタさん
「Please play guitar.」
文武
「チャっす、そうッス、ギター持って旅しプププププププププレレレレレレレ、レイプ?!プレイ!?」
サンタさん
「イエ~ス、カモ~ン!」
とんでもないことになった。
急遽、サンタさんに歌を聴かせることに。
小さな部屋の中、サンタさんの横でギターを構える。
写真を撮るスタッフさんもウキウキでシャッターを切ってる。
文武
「あ、わ、わかりました、じゃあばちあたりもんって曲を………」
歌わせていただきました。
ある意味、メンチのようになりました。
つまみ出されなかったです。
とても喜んでくれたサンタさん。
これで今年の日本の子供たちへのプレゼントがグレードアップしました。
サンタさん
「OK. ディッセンバーニアイマショウ。」
文武
「チャっす、日本人みんな待ってるッス。頑張ってくださいッス。」
ニコニコしながら部屋を出た。
するとそこにはサンタの帽子をかぶった兄ちゃん。
兄ちゃん
「ハイ、コノ5枚入リノポストカードガ30ユーロデ、コッチガ25ユーロデスネー。ビデオデトッテイタノデUSBモイッショニダト45ユーロデスカラー。」
…………高っけぇんだよコノヤロウ!!
なめてんじゃねぇぞ!
あぁぁぁぁあん??!
サンタの手先が!!
サンタさんはとてもいい人でした(^-^)/
なめたこと言ってゴメンなさい。
みんなあなたが大好きです。
今年もたくさんの愛を届けてあげてください。
ユニセフとコラボしていろいろやってるのは興味ないですけどね。
あースッキリした、と外に出ると、広場の地面に何やら白い線が引いてある。
「Arctic circle」
なんだ、どういう意味だろ?
そういえば町の至る所にこの文字が書いてあった。
あ、そうか、これが北極線か。
ここから先が
北極圏なんだ。
白夜と極夜の地だ。
こんなとこまで来たんだなぁ。
サンタって北欧の山の中の村に住んでるんだって、と、日本にいるとき頭で想像していた。
とんでもないこの世の果てみたいなイメージだった。
おとぎの国のような、絶対に行くことのできない場所だと。
それが、今俺はここにいる。
もう俺はフィンランドを思い浮かべられる。
人の顔と共に。
言葉と共に。
風景と共に。
世界中を、地球を、頭の中に描けるようになりたい。
人間どこにだって行けるんだ。
帰りは大人しくバスに乗って町に戻り、路上をした。
声の調子がよくないから20ユーロくらいで早めに切り上げて、ちょいとお買い物。
寝袋の下に敷くスポンジのマットをゲット!
7.5ユーロ!
そして蚊のボケを防ぐために洗濯ネットもゲット。
これを寝袋の口に装置すれば窒息死の心配も、睡眠の妨害もなくなる。
てかこのくらい日本で準備しろよな。
まぁ、必要なものは必要な時に手に入ってことだ。
さて、これでフィンランドでのミッションはすべてクリアー。
ホントはねー、さらに北部にある森の奥地の小さな田舎町にも行ってみたいところなんだけどねー。そこまでやってたらキリがない。
無茶はもう少し旅に慣れて来てからにしよう。
あー、日本を回る時のように車があれば山の奥まで行きまくってやるんだがな。
次はスウェーデンだなー。
明日移動するか。
この調子で行ければ9月中にはイギリスに渡れるかな。
順調すぎるのも面白くないけどね。
「メタル最高だよ!!」