7月20日 金曜日
「Hey.wake up.Its mornin♬」
可愛い女の子の声で目を覚まして体を起こしたけど、あわててしまって寝袋の口が開けない。
電動コケシのようにウィンウィン上半身を動かして、ようやく外に顔を出すと女の子がニッコリ笑っていた。
いつものようにスーパーに行き、パンとミートソースを食べながらコーヒーを飲む。
安いコーヒーだけど、俺にとってはとても安らげる穏やかな時間。
いい加減風呂に入ってないのでせめて髪だけでも洗おうと、1ユーロを払ってトイレに入りシャンプーをした。
久しぶりにすっきり、と思ったら……
マジで裸足のゲン並みにごっそり髪の毛が抜けた。
久しぶりのシャンプーってのもあるけど精神的なものもあるんだろうな、きっと。
なるべくこまめに洗っていこう。
それから公園に戻り、教会の下で曲作り。
せっかく世界一周なんてやってるんだ。
日本に帰ってからもばちあたりもんや売れない絵描きに頼るわけにはいかない。
いい曲を作らないといけない。
これがけっこうプレッシャーになっている。
俺は1曲を仕上げるのに、いつも半年くらいかかる。
しっかり熟成させて、言葉を拾い、余計なものをそぎ落とし、ようやく人前で歌える曲になる。
今回の旅では5曲もレギュラーになるような曲ができればいいと思ってる。
その時、教会の鐘が鳴った。
そして閃いた。
爪弾いていたコードにしっくりハマる言葉が浮かんだ。
祈りの歌。
これは神様からの授かり物か。
ありがとう。きっちり仕上げるぞ。
町のあちこちにいる路上仲間に挨拶して、今日も歌いはじめる。
たくさんの人が話しかけてくれる。
若い男の子がフィンランドの有名な曲を歌ってくれた。
それは映像の方でどうぞ。
彼らにもたくさんフィンランドのことを教えてもらった。
イタリアはブーツの形をしているが北欧は女の人の形をしてるらしく、腰より上の地方をラップランドと言うらしい。
彼らの家はここからさらに北の地らしいのだが、羨ましいことに、冬場になると家の窓からオーロラが見えるらしい。
すごいなぁ。
あとアングリーバーズって世界的に有名なゲームアプリがあるんだけど、フィンランドのゲームらしい。俺もやってるよ!
毎日何時間もギターを弾いていると、さすがに指先が痛くて仕方がない。
今日は5時間くらいで限界が来て終了。
声のほうはなかなかいい調子。
喉への負担を軽くして長時間歌える歌い方を編み出したからだ。
帰るころには今までと全然違う歌い方になってるかもな。
荷物をまとめて歩き出すと、向こうでライブの音が聞こえた。
町の中央広場でアコースティックのユニットがライブをしていた。
アコギ2本とカホンの構成。
うん、普通だな。
ご飯を買っていつもの墓地公園へ。ちょっと贅沢をしてみようとビールを買ってみた。
500mlで2ユーロ。これが最安。
他のは3ユーロくらいする。
400円近い。
高すぎ(´Д` )
フィンランドは酒税がとても高い。
いや、なんにしても税金が高いんだろうな。
さすがは高福祉国家。それぞれの国にそれぞれのやり方がある。
今日はとても天気がいい。
しかし、天気が良すぎると放射冷却で夜と朝がめちゃくちゃ寒いんだよな。
翌朝も冷え込みそうだ。
あー、ビールで気持ちいい。
本日の稼ぎ、59ユーロ。