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ところでさ、タバコちょうだい。

はいどうも!!!
生きてます!!
モスクワ!!!
日記アップ行きます!!




7月7日 土曜日

イルクーツクの街は雨。
汚い水たまりが道路のあちこちにたまって、それを跳ねながら車が行き交っている。

バイカル湖に行くつもりだったけど、街から湖まで結構距離があるんだよな。バスか電車を使うんだろうが、今日からまたモスクワ行きのシベリア鉄道に乗るので時間の余裕はない。
バイカル湖は別にいいか。電車の窓からさんざん見たしな。

photo:03




とりあえずメシ!
ロシアのカップラーメン、ビッグボン!たぶんビッグボン!
それとピロシキ!初ピロピロ!スーパーで買ってきた!
いただきます!カップラーメン美味い!
ピロシキ、まじい!
キャベツの千切りしか入ってねぇ!
まぁ、スーパーの安いだからな。
あー、家庭料理食べたい。


ホテルをチェックアウトする前に近くにある教会に行ってみた。
日本にも教会はあるが、本場のものはもちろん初めて。
大きな十字架がかけられたレンガ作りの教会。
入っていいのかな……?と挙動不審になりながらドアをくぐる。


静まり返った聖堂。聖堂と言っても大きなホールではなく、洞窟のように小さな空間にたくさんのロウソクが光っている。その灯りに照らしだされる壁一面のキリストの絵。うー、すごい。
あ、あれなんだっけ?懺悔?告解?女の人が前かがみになってクッションみたいなのに顔をうずめており、その背中に神父さんが手をあてて何か唱えている。
神父さんの格好もマジな感じ。
本場って感じ!

うおー、やべー、教会は分け隔てなく誰にでも開かれているものってのは知ってるけど、信心がないのに来ていいのか?って戸惑ってしまう。

photo:01




1番奥の十字架の前にやってきた。ひときわ神聖な空気。十字架には磔にされている悲痛な顔のキリストが描かれている。
そこにはおばさんが1人いて、右手を胸に当ててうつむいたまま動かない。
祈ってる、んだろう。

祈るとはなんだろう?
キリストに願いを伝えることか?
キリストを慰めることか?
今までの悪い行いを悔いることか?
このおばさんの心の中には今、何があるのだろう。
俺も見よう見まねで右手を胸に当た。

かなり長い時間そうしていた。
するとおばさんは静かに祈りを終えると、十字架に近づいた。何するのかと思ったら、なんとおばさん、十字架に描かれているキリストの足に口づけをした。
あー、なんてこった。
目の前で起きてることが信じられない。
このキリストとはなんという存在だろう。
仏教とは明らかに違う。神仏は畏れ敬うものであって慈しむものではない。
キリストは人間の罪の象徴なのか。祈りとは謝罪なのか。
人間はそんなにも罪深いのか。
ふと恐ろしくなって教会を出た。

photo:02




息苦しいほどの神聖な空気から一転、外はこんなにも汚い。
駅に向かってたらおっさんが声をかけてきた。
なんて言ってるかわからん。
しばらく聞いてると、ようやくわかった。金持ってねーか?と言ってやがる。
ないない、ってジェスチャーしたら、クレジットカードは持ってるだろ、だって。
キリストさん、これだよ。
なんもねーよって言ったら、じゃあせめてタバコくれって。しょうがなく一本あげたらスパシーバも言わないでどっか行った。

ロシア人はタバコはもらえるもんだって思ってんな。
駅に着いたらまたおっさんが声かけてきて、

「おー、ギター弾くのかい?どこから来てる?日本かい?いやー、俺もギターが好きでさー、あ、タバコ一本いい?」

的な感じでとても自然にさも当たり前のようにタバコを欲しがる。
するとおっさん、一緒に飲もうぜ、とペットボトルの安いビールを買い、俺について来いと言う。
話しながら歩いていくとどんどん裏道に入って行き、森の方に連れていかれる。
おっと、これ大丈夫か?と多少ドキドキしながらも、そんなに悪い人にも見えないしと思っていると、あーよかった。酒は隠れて飲もうぜっていつものパターン。
いちいち怖いよ。

他にも何人かやってきて、ビールを回し飲みながら歌を歌う。ロシアのビール、なかなか美味い。
するとそこに通りかかった女の人がこっちに歩いてきた。
肌が黒ずんだ、一目でなにかしらの病気だとわかる面持ちをしている。どんな人生を送ってきたかわからないが、涙を流してながらもう一曲、もう一曲と、人差し指を立てていた。



みんなと別れ、駅でモスクワ行きの列車を探す。
これがかなり難しい。言葉も文字も一切わからない状況でたくさんあるホームの中から自分の列車、車両を探し出さないといけない。

とにかく聞きまくるのが手っ取り早いと、駅員さんに声をかけまくり、なんとかそれっぽい列車を発見。あー、よかったと女の車掌さんにチケットを見せる。すると面倒くさそうに手を振るだけで相手にしてくれない。この列車じゃないのか。


………いや、なんか嫌な予感がする。
見送りに来てる人たちに聞いてみた。チケットを見せる。
この列車だよ、急いで!あっちあっち!
マジー!
ダッシュで走って前の方の車両に飛び乗った。
あのブス野郎、この列車じゃないんだなと思って俺がベンチに座ってるの見てたくせに放ってやがったな。
乗り過ごしたって知ったこっちゃないってことか。
隣人愛って教わってんだろがてめー。



さて、また長い列車の旅だ。

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