こ、こわれてないもん!!
ちょっと頻繁にお腹が痛くなって柔いのが出るだけだもん!
一度もお腹を壊さないで一周してやるって決めたのに、たった一日で終了するわけないやんー(^_^)
あー、トイレ行ってこよ。
7月1日 日曜日
韓国人はやかましい。
声がでかい。
女の子スタイルいい。
船内放送が流れる。この船はこれから9時に韓国のトンへ市に入港し、6時間の滞在を経てウラジオストクに出発する。
陸地が見えてきた。
はじめての海の外の地。知らない言葉を話す人たちが住んでいて、知らない文化が営まれている。
まるで古の旅人になったかのような、壮大な物語が待ち受ける予感。
船を降りてターミナルでカードを書く。
一時的なものでも入国は入国。
ということで俺のパスポートに刻まれた初めての国は韓国ってことになった。
青木さん、別木さん、ショッペーの4人で駅に向けて歩く。
寂れた港町。境港と同じような感じかな。建物は古く、日本の昭和の町並みのよう。民家はさらにボロい。
青木さんと別木さんはここでお別れ。彼らは韓国を旅する。
お別れの前にみんなでご飯を食べに食堂に入った。
えー、
………メニューが何書いてるか一つもわかんないんですけど(´Д` )
そりゃそうですよね。日本の食堂でメニューに韓国語訳を書いてるとこなんてほぼないですもんね。
別木さん
「メンミョンジュセヨー。」
別木さんは何度も韓国に来てる韓国マスター。ハングルペラペラ。
青木さんも普通に朝鮮日報を読んでる。
うわー、みんなすごいよ。
んで、俺はビビンバ。
6000ウォン。
え?お金ですか?
あるわけないじゃないですか?
どうしたかって?
別木さん!ゴチになります!
ありがとうございました!
海外で食べる初めてのご飯。
日本風じゃないからあんまり美味しいとは思わないけど、人間が食べるものなんだからきっとこれも慣れるさ!
青木さん、別木さんと連絡先を交換して彼らを見送った。たった一日だけど、寂しい。そして心細い。当たり前だけどそのうちショッペーとも別れてひとりになる。
別れがあれば新しい出会いがあるはずさ。
港に戻り、改めて出国手続きをして船に乗り込む。
ここで早速新たな出会い。アイルランドから来てる兄さん、ウィービー。
ショッペーと会話が盛り上がっている。俺はそこに入っていけない。だって英語だから。ショッペーはICUの学生だから英語ペラペラ。だからウィービーも気を使わずにペラペラ。俺涙ポロポロ。
夜も3人で色んな話をした。
さっきに比べてほんの少しだけ理解できるようになった。
船の中は圧倒的にロシア人が増えた。あとは韓国人と少しの欧米人。日本人はほぼいない。
船内を飛び交う言葉の中に、日本語はない。
もはや日本語を話すことさえ不自然に感じてきた。
こうやってずっと知らない言葉の中にいれば、自然と慣れて、話せるようになってくれるはず。
そう信じる。
部屋に戻って日記を書く。
夕日がとてもきれいだった。
誰もが写真を撮り、歓声をあげる。
水平線に消えていく赤い球体。
地球の営みの壮大さを感じずにはいられなかった。