2006年9月20日 【石川県】
車の中で目を覚ますと体中がビッキビキに筋肉痛だった。
痛すぎる……………
運転席に行くのもつらい……………
立山キツかったあああ……………
さてと、北陸のメインを終えた今、残りは石川県のちょこちょこ。
何とか今日中に終わらせて明日には和歌山まで行かないといけない。
かなり重要な用事が入っているのだ。
8号線を下り、歴史国道北陸道の倶利伽羅峠を登る。
源義仲と平為盛が大戦をした地として有名なこの峠。
4500頭の牛の角に松明をくくりつけて突撃させるという義仲の火牛の計により、両軍合わせて18000人という死者を出す大激戦を制した源氏。
山にある谷は死骸で埋め尽くされ地獄谷と、赤く染まった沢は膿川と今も呼ばれている。
さぁ金沢市内に突入だ。
江戸時代、江戸につぐ大都会だった加賀100万石の街、金沢。
街のど真ん中に前田家の居城、金沢城と日本三名園の兼六園などの広大な公園が広がっている。
さぁ、どこから攻めようか。
無理やりタダで止められるパーキングを探し出し、まずは主計町茶屋街へ向かった。
茶屋街とは京都の祇園のような舞妓遊びをするところ。
金沢にはこの主計町、東、西と3つの茶屋街がある。
浅野川沿いに並ぶ連子格子の古民家、裏通りには人1人やっと通れるような細い小路。
旦那衆が茶屋に通うために使った暗がり道も風情がある。
東茶屋街はきれいに整備されており完全に観光地化されているが、1歩脇道に入るとボロい民家が密集しており、下町の風情に満ちていた。
城下町だったんだなと、歩くだけで感じさせてくれるこれだけの街はそうない。
兼六園周辺には博物館や美術館など、たくさんの施設が密集している。
その中の1つ、藩老本多蔵品館へ。
前田家に仕えた筆頭家老、本田家にまつわる品々を展示しており、入館料は500円。
でもここではあまりたいした勉強にはならず。
お次は300円で兼六園に入園。
庭園の元を作庭したのは五代藩主前田綱紀。
その後、12代目の時に兼六園と名づけられた。
まぁ、水戸の偕楽園にしても岡山の後楽園にしても、だだっ広いだけで別にどうということはない。
観光客たちの中、ブラブラと歩き回った。
園内から望む金沢城。
高い石垣と白いお城が見える。
手前を走る自動車の列。
穏やかな初秋の風が松を揺らす。
ここは北陸なんだよなぁ。
現代の日本の主要都市は太平洋側に分布しているので、影が薄いといってもよい日本海側。
しかし江戸の昔はこの町が日本の重要都市だった。
ここも同じ日本だ。
車に戻り、市街地を抜け、郊外の山に入ったとこにある湯湧温泉へやってきた。
金沢の奥座敷として栄えてきた718年開湯の小ぢんまりとした温泉街。
加賀藩の歴代藩主も愛用した湯治場で、どこか品のある雰囲気が加賀藩の由緒正しさを代弁しているようだ。
公衆浴場の白鷺の湯に浸かり金沢へ戻った。
三重のトラック運ちゃん山口さんのお勧め、国道沿いにあるチャンピオンカレーで夕食。
もうすっかり日も短くなった。
晩夏の寂しい風が城址公園を吹きすぎる。
北陸一のネオン街、片町にはたくさんの楽しそうな人々。
歌うつもりだったがハードすぎた立山登山のおかげで見事に風邪をこじらせてしまっている。
日曜はライブ。
無茶はできない。
金沢、いい街だなぁ。
城のある町はたいていが、「町の中に城という名所がある」、といった孤立した存在。
京都は遺跡が中心になってはいるが、特別扱いの一目置いた存在といった風に見える。
それが金沢では見事に町と遺跡が調和しているように思う。
人にもどことなく品があるように見えるし、なぜかノスタルジックな気分になる。
なんでだろうな。
夜の西茶屋街を夜風に吹かれながら歩いた。
翌日。
石川県南部には日本三名山である豊かな自然の残る白山エリアと、有名温泉が点在する加賀エリアとがある。
白山エリアは、代表的な名所に行くには有料の白山スーパー林道に乗らないといけないのでパス。
8号線を下り加賀エリアへ。
山代、山中、粟津、片山津の4つの温泉街を擁する加賀温泉郷。
いずれもが北陸を代表する規模を誇ってるというからすごい。
1つ1つ見て回り、最後の山中温泉をぶらついていると、偶然にも石川の隠れ銘酒と聞いていた『獅子の里』の蔵元を発見することもできた。
なんて出会いだ。
しかし予約はしていなかったし時間もないので、試飲して本醸造を購入するだけで店を出た。
酸の少ない味わいのある酒質。
うまい。
加賀市の大聖寺の町に行き、駅前にある惣菜バイキング屋さん『照食堂』で、おいしいお惣菜を栄養バランスよく口に入れた。
これで750円なら満足。
家庭的な雰囲気のとてもやすらげる店だった。
石川県最後がこの美味しいご飯で良かったな。
8号線を福井に向け走る。
ああ、早かったなぁ。
石川も富山もかなり短くなってしまったが、でも手抜きではないと思う。
石川の魅力は充分に堪能したし、今後どの県がよかった?と聞かれたときに、北海道、沖縄、岡山、青森に並ぶ上位で答えると思う。
快晴の立山にも登れたし、熊にも襲われずにすんだしな。
何よりまさしさんという暖かい人との出会いもあった。
文句ナシだ。
東京、大阪、名古屋と日本の中心都市が並ぶ太平洋側の反対側にあるこの北陸には、確実に独立した気概のようなものが感じられた。
誰の口からも出る自分の町を自慢する言葉。
みんな自分の故郷に誇りを持っているんだな。
今日、美香とずいぶん長い電話をした。
俺が全てを打ち明けたように、美香も打ち明けてくれた。
「今私が1番欲しい物はね、私だけを見て、私のそばにいてくれることなの。」
電話を切り、悲しくて空しくて、やけになっていしまいそうな思いがムクムクと首をもたげる。
もう、どうにもならないんだな。
【富山県・石川県編】
完。
リアルタイムの双子との日常はこちら