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クリスチャンサンへ

8月19日 日曜日


あー、そうだった……
今日は日曜だ……
飯が食えない日だ……

スーパーもデパートも閉まってるからトイレにも行けない。
バッグパッカーには辛い一日。



ヒッチハイクを開始する場所を探して歩き回る。
町からすぐ大きな道路が出ていて、その道に乗れば一発でクリスチャンサンまで行けるはずだ。

今日はどんな話が聞けるかなー。
よく話題に上がるのは交通違反のこと。
ノルウェーの人はみな必ずシートベルトをする。
助手席のひとも後部座席の人も。
なぜかというと、シートベルトをしていなかったら、していなかった人が2000クラウンもの大金を支払わなければいけないから。2万5千円だ。恐ろしや(´Д` )
あと道を走っていると、よくカメラのマークの道路標識が立っている。
最初は日本にもよくある、景色のいいビューポイントですよ、みたいなことかと思ってたんだけど、そうじゃなくてスピード超過を撮影するカメラポイントですよってことだった。
これが異常な数で設置されている。
しかも日本みたいに時速20~30kmオーバーでやっと撮影されるのではなく、わずか5kmでも超過したら容赦なく撮影されるらしい。
そしてものすごい反則金。
なので信号機がめったにないのにみんな安全運転だ。
ケータイ電話の使用も飲酒運転も日本と比べ物にならないくらい厳しい。

あと目につくのは、交差点が特殊だということ。
信号機がなく、ラウンドアバウトと言って、ロータリーのようにぐるりと右回りをしながらそれぞれの方角に流れていくというのがノルウェー式だ。


日本の津波のこともよく話題になる。
原発を再稼働させたみたいだね、と。
ノルウェーはその豊富な水資源と高低差の激しい地形により、国内にたくさんの水力発電の施設がある。
少しだけ風力発電もあるみたいだけど、ほとんど水力発電。
そしてその水力発電だけで国内の電力をまかなっている上に、フィンランドやスウェーデンに電力を売っているという。
素晴らしいことだなとは思うが、まぁ、3ヶ国合わせて人口2000万人くらいしかいないからな。
1億人以上いる日本の電力を生み出すには相当なプラントな必要なんだろう。


こうして海外から日本を見ると、今までは日本なんて東洋の小さな島国、って感じで若干へりくだった意識があったけど、どうやら日本て国は世界でも指折りの大国家みたいだ。
最先端テクノロジー、車産業、造船産業は世界トップクラス。
そして外国人から見た印象もいい。
なのにだ、どうしてこんなに日本の財政は借金まみれで国民の貧富の差は激しく、老人たちは医療を満足に受けられず、若者は未来に不安をいだいているのだろう。
これだけたくさんの政治家たちが入れ替わり立ち替わりやっているのにどうにもならないってのは、これはもう日本人の体質なんだろうな。

ノルウェーは石油輸出国ってのもあるけど、数兆円もの預金があり、それを世界市場で投資運用しているという。
年間の収入の1パーセントを諸外国に寄付してるとも言っていた。
まぁ、国というのは様々な条件が複雑に絡み合ってるものだろうから、比べるということは出来ないんだろうけど。

きっと世界には、もっともっとひどい政府がのさばってる国がたくさんあるんだろうな。




そんなこと考えながらひたすら歩いて大きな道路にたどりつき、ヒッチ開始。
みんなガンガン飛ばしている。
ここってもしかして高速道路なのかな、
これはちょっと危ないかな、
と思ってると、



お!!

すぐ止まった!!!







パトカーが(´Д` )




屈強なお巡りさんにパトカーに乗せられる。
外国で初のパトカー搬送。

photo:01







すっげ!
後ろのドア開けて中のイスに座ったよ!



近くのガソリンスタンドで解放される。

「あそこは高速だから歩いたらダメなんだよ。気をつけて。」

パトカーを見送る。
スタンドにはコンビニが併設されているので、ちょうどよく飯にありつけた。

photo:02





せっかく頑張ってけっこう歩いたのに、またふりだし近くまで戻ってしまった。

日曜の静かな住宅地をトボトボと歩く。

たどりついたのは郊外の無人駅。
もういいや、とやってきた電車に乗りこんだ。



17時すぎに南部の町、クリスチャンサンに電車が止まった。
500クラウンもかかってしまった。頑張って稼がないと。


新しい町に入ってまずすることは、町の散策、歌える場所探し、大きなスーパーマーケット探し、そして1番大事なのが寝床探し。

町は小ぢんまりとしているが、ホコテンのメインストリートがあり歌う場所はこの辺りで問題なし。
近くにマクドナルドも発見したのでWi-Fiも確保。
てかこのマクドナルドすごいな。

photo:03




photo:04





大きなスーパーマーケット、coop megaもある。

あとは寝床だ。
橋の下や色んなとこを探し回るがなかなかいい場所がない。
疲れはてた体にバッグが重くのしかかる。

真夜中の森の中を徘徊する。
ちょっと怖い。
静かな湖を見つけ、そのほとりに小さなベンチがあった。
屋根はないが、もう歩きたくないのでここで寝ようとマットを敷いた。

暗闇の森。
湖に夜空が映る。
魚のはねる音に驚きながら曲作り。
なかなかいい曲が生まれつつある。

夜中の2時。
そろそろ寝ようと寝袋にくるまった。
するとその時、森の中に誰かの声が響いた。男女数人の若者の声だ。湖の向こう岸にいる。
ドッポーンという水に飛び込む音。
イエーイ!!
叫び声が響きわたる。

こんな夜中によくやるなと、寝袋の口を閉めた。

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