2004年 7月27日
戦国時代に築城した弘前城は、戦災、天災を免れ、お堀から城門まで全て江戸時代のままの姿らしい。
かなり広い敷地は桜の名所としても知られ、市民の憩いの場になっている。
城の周辺には武家屋敷や、明治・大正のころの建物が数多く残り、風情ある町並みとなっている。
見どころはたくさんあるが、今日は15時から「初駒」の予約をしているので、狙いを絞ってまずはねぷた村に行ってみた。
実際に運行するねぷたの常設展示から、津軽三味線の生演奏、伝統工芸の体験など色々あって、これで500円は安い。
中に入ると巨大なねぷたがあり、目の前で太鼓と笛による祭囃子の演奏。
「はいどうもー。どうです?叩いてみますか?」
「絶対やります。」
ねぷたの太鼓のバチは変わっていて、腕より長いくらいの細いもので、これでしなりをきかせて叩くみたいだ。
これ1日中叩くのはめっちゃキツいだろうなぁ。
忙しそうなスタッフのお兄さんを捕まえて色々とねぶた祭りの情報を聞き出す。
そもそもねぶたとは農作業をしてた人たちが眠気を覚ますために灯籠を川に流したのが起源らしい。
眠いことを津軽弁でねぷたというらしく、それが由来。
ねぶた、ねぷたと呼び方が違うのは、同じ民族有形文化財の指定の際に、区別するために分けたんだそう。
各地の祭り、それぞれに見どころの日があるようで、また1から計画練り直しだな。
ちなみに青森ねぶたは高いやつだと1台の製作費が3000万円もするようなのもあるらしい。
そういうのはほとんどが企業ねぶた。
大手企業がコマーシャルのために大金注ぎ込んで作るんだって。
13時半から津軽三味線の生演奏を見学。
今日はちょうど大阪から有名な弾き手さんが来ているようで運がいいらしい。
…………………うん、すごすぎる。
めっちゃ上手いし迫力がすごい。
全然知らんかったけど、じょんがら節ってのはリズムが決まってるだけで旋律とかは弾き手さんのアドリブなんだそうだ。
すごいなぁ。
あまりに楽しくてあっという間に時間が経ち、このねぷた村だけでもまだかなりの見どころを残したままダッシュでファントムへ。
汗だくになりながらぶっ飛ばしたけど「初駒」の約束の時間に10分も遅刻してしまった。
「あーーー、どうもどうも、お待づすでおりますだ。」
遅刻してめっちゃ申し訳ないんだけど方言がヤバすぎて絶対笑ったらいけないのにめっちゃ笑いそうになる。
いや、方言はめっちゃ素晴らしいことなんだけど、ザ・東北感が半端なさすぎる。
案内してくださった蔵はかなり古いものだった。
見上げると、天井の梁が蜘蛛の巣のように入り組んでいる。
応接室でお話を聞かせてくださったのは蔵元の佐藤清十郎さんと杜氏の宇野勇三さん。
こんな偉い人2人にお相手していただけるなんて恐縮すぎる…………
宇野杜氏がこの蔵にやってきたのは俺が生まれる10年前。
やぶたを一切使わない、舟絞り一本の贅沢な造りだ。
そんな贅沢なお酒を6本も並べて利酒をさせていただいた。
「どれに1番香りを感じました?」
「どれが好みですか?」
下手なことは言えないがしっかり主張はした。
まぁかろうじてとんでもないことは口走らなかったようで、多少は的を得ていたのか、佐藤当主も色んな話を聞かせてくれた。
「全国で金賞を取る酒ってのはほとんど香りの強いものなんです。ウチは香りよりも味。市場も少しずつそっちに流れつつあるようです。でもやっぱり香りも多少は出したいんですよね。そんな時にある方から、自然が1番いいんだ、ということを聞きましてね。やっぱりウチの酒はこれです。」
ニコニコしてあまり喋らない、腰の低い宇野杜氏。
でも醸す酒は個性を主張する力強いものだった。
「金丸さん、私ちょっとそろそろ行かないといけなくて。最後に1枚写真撮りましょうか?」
お土産に山田錦40パーセント精米の大吟醸の4合瓶をいただいてしまった…………
ただでさえお忙しい中で時間を割いていただいたのに、その上こんな高級なものを…………
初駒さん、必ず恩返しさせていただきます!!!!
ありがとうございました!!!!
酔いが覚めるのを待って、21時に十和田湖方面に向けて走った。
おっと、なんか祭りやってるぞ。
すぐに車を止めて立ち寄ってみた。
小さな田舎の集落にある薄暗い神社の境内に、4~5軒の出店が出ている。
そして奥では何やら三味線の音が聞こえてくる。
「津軽けいすけショー」と書かれた看板。
この辺で有名な人なのかな。
いやぁ、津軽三味線の音色ってホント哀愁があるなぁ。
「それでは聞いていただきましょう!!津軽けいすけ!!津軽よされ節!!!」
翌日。
暑いのは早起きできるからいいんだけど、つまりほとんど眠れない。
暑いいいいいいい!!!!!
暑すぎて全然眠れないよおおおおおお!!!!
やってらんねぇ……………
夏の車中泊しんどいわあああ…………
というわけで涼を求めて奥入瀬渓流に向かった。
カルデラ湖の十和田湖から流れ出て、数々の滝となり、飛沫を上げながらやがて緩やかな渓流となっていくこの奥入瀬川。
樹々のトンネルを抜け、奥入瀬渓流巡りの拠点となる石ヶ戸に車を止める。
木漏れ日の中、苔むした石と倒木の間を静かに流れていく渓流。
のんびりと歩いた。
あー、この澄みきったゼリーのように滑らかな流れ。
森林のマイナスイオンを浴びながら、せせらぎに心が洗われる。
こりゃいいなぁ。
こんなに美しい渓流初めてだ。
雲井の滝で引き返し、そのままファントムで十和田湖にやってきた。
400メートルの山の上、断崖に囲まれたカルデラ湖だ。
波のない巨大な湖面はなんて神秘的なんだろう。
湖岸にある、高村光太郎の生涯最後の作という乙女の像を見てから新郷村方面に向けて走った。
いやー新郷村、めっちゃ胡散臭い。
「日本ピラミッド」なんて看板があったから、ヤバい!!と思って行ってみたら山の上にただちょびっと大きな石があるだけ。
もう一方のピラミッドは方位石とか星座石とか、大きめの石がゴロンゴロン転がってるだけでちっともすごくない。
地震で崩れたとは書いてあったけど、これをピラミッドと言うのは無理あるよなぁ。
ちなみに日本には他にも5ヶ所くらい日本ピラミッドがあるそうだ。
そして最大に胡散臭いのがキリストの墓。
小高い丘の上に十字架の立った墓が2つあった。
ここら辺の人たちはこの墓をキリストと、その弟のイスキリのものだと言っている。
なんでもゴルゴダの丘で処刑されたキリストは、あれから生き延びて、この新郷村までやってきて101歳まで生きたんだそうだ。
戸来という地名をヘブライと言ってみたり、ちょっと変わった農民の服をユダヤ地方の服と似てると言ってみたり、正直めっちゃ無理がある。
でもその作戦に見事ハマって俺はここまで来たわけだけども。
夜になり、なんとかして生活費からフェリー代を捻出しないといけないので、三沢に戻ってきた。
平日だし、5000円も入ればいいかなぁと路上に出たんだけど、終わってみれば13500円にもなってしまった。
三沢もこれで3度目なので友達もかなり増えた。
自衛隊の町だから九州から来てる人も多い。
ああ、三沢いい町だなぁ。
いつも歌聞きにきてくれるコズエさんがめっちゃ美人。
めっちゃ悶々とする…………
男1人旅は誘惑多いなぁ。
大人しく4時くらいに車に戻って眠った。
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