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宮城県北部は寂しげな風景






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2004年 7月7日



吹上温泉の間欠泉は栃木県川俣のものとは違いすぐ間近で見れはしたんだけど料金400円。









なんで金取るんだよ!!!と言いたいところだけど、入り放題の野天風呂付きだからオッケー。





そしてすぐ近くにある地獄谷。


ダム湖である荒雄湖に流れ込む源流の沢沿いを歩くと、いたるところから湯煙が上がっている。








河原、岩の割れ目、あちこちからガボガボガボ、ゴゴゴゴゴ、ゴボゴボと音が鳴っていて、今にも熱湯が噴き出しそうだ。


湯の花にまみれたその光景は地獄の名にふさわしい。







ところで横溝正史の小説、悪魔の手毬唄の舞台は鬼首村というところ。


フィクションで岡山県という設定だけど、この宮城県の鬼首と何か関係があるのかそこらへんの人に聞いてみたが、みんな横溝正史すら知らない。


一応ここの名前の由来としては、この辺に住んでいた蝦夷の首領、大武丸を坂上田村麻呂の軍勢がとっ捕まえ、首をぶった斬ったことにより鬼切辺という地名になり、いつしか鬼首になったという。


何にしても恐ろしい地名だ。
















日本初のアーチ式ダム、鳴子ダムを見てから町中へ降り、駅前のえがお食堂で蕎麦を食べ、鳴子の町を散策した。


宮城には弥次郎系や飯坂系など様々な系統のコケシが存在するが、ここ鳴子のコケシはその中でもトップクラスにメジャーで、町中がコケシまみれ。




数あるお土産物の中でも最高にイカすのが150円のコケシマッチ。

マッチの先端の赤い部分にコケシの顔が描いてあるというアイデア商品。



これゆうべ入った共同浴場。




地元の人の憩いの場だな。










それから一迫町の「金の井」の酒蔵にやってきた。


ここの綿屋っていうお酒、エキス分がしっかりしててすごく美味しかった。





近くの酒販店でお話を伺うと面白い情報を聞くことができた。


「宮城の十四代」といわれる酒を造る蔵が近くにあるんだそう。


十四代とは言わずと知れた山形のプレミア酒。

現在日本で入手困難度3本の指に入る酒だ。



そこまで言われる蔵があるなら行かないわけにはいかない。


古川の少し先にある三本木に向け南下する。


蔵の名前は「愛宕の松」。







「もしもし、蔵の見学って今から無理ですか?」



「えーーーー、あーーーーー、あーーーどうしよ。えーっと、えーーーーーっと、あの、この番号にかけてもらえます?ウチの杜氏ですので。」



かなり忙しそうな雰囲気。

言われた通り杜氏さんに電話してみる。



「あの、蔵の見学を希望する者なんですが。」



「あー、そうですか、今私が出先なものですから、蔵の頭に案内させます。頭に電話させますので。」



しばらくすると電話がかかってきた。



「えっとですね、少し道がややこしいので、カウボーイっていうお店まで来ていただいたら迎えに行きますので。」



驚くわ。


こんな忙しくてバタバタしてるのに、たかが蔵見学のやつにこんなにも一生懸命対応してくれるなんて。

すごい蔵だな。







言われた通りカウボーイっていうお店の駐車場で待っていると、頭の横田さんがやってきて合流。


蔵に到着するとかなり古びた建物だ。





中はさらに年季が入っており、和釜の上には東北地方の台所の守り神であるカマ神様の面が飾ってある。





「お、このお面のことわかりますか。知ってる人ほとんどいないですよ。」



蔵の中はこれぞ手作りといった昔ながらの道具がたくさん並んでいる。



「昔は今の何倍もの敷地にいくつもの蔵が並ぶかなり大きい蔵元だったんですけど、今はこんなに小さくなってしまって。それを今、平均年齢25歳くらいの蔵人たちで立て直してるところなんですよ。」



さぁ利き酒だ。

楽しみにしていた「宮城の十四代」、その名も「伯楽星」。


型通りに味わう。



…………あれ?


ん?なんだ…………?



「ウチの酒はすごく固いんです。スッキリとした渋いお酒というのを全種類コンセプトにしてやっています。」



きっと万人ウケはしないはず。


もろみの発酵日数を5~10日ほど遅らせ、櫂入れの回数も減らし、あくまで米を自然に溶かすことにこだわって、究極の食中酒を目指しているみたい。


取引先の酒販店にも1ヶ月に1回は出向いて、老ね香が出ていないか確認して、もし出ていれば新品と交換する、というそれくらい酒質に徹底してるらしい。


こんなに真面目さの伝わる蔵は初めてだ。




「あらーーーー、これ召し上がってーーーー。」



ほのぼのした女将さんが笑顔で迎えてくれる。


白髪混じりだけど、色白で肌が綺麗でとても可愛らしいかただ。



「あの、写真撮らせてください。」



「あー、撮ったげるよーーーー。」



「あ、女将さんも一緒に一緒に。」



「え!?ダメダメ!!!私写り悪いから!!!はい並んで並んでー。」



「お願いします、女将さんも。」



「ここ押すのよねーーー。はいチーズ。」



慌てん坊で気さくで、面白い女将さんだなぁ。




「今からの蔵だと思って期待してもらえると嬉しいです。」



皆さんにお礼を言い、出発しようと車に乗り込むと女将さんが走ってきた。



「これ天ぷら!!つまみにして!!」



パックに詰めた天ぷらと純米吟醸を差し出してきた。


すかさずデジカメを構える。



「いやーーーー!!!ダメえええええええ…………」



車の後ろに逃げ込む女将さん。

ホントにほのぼのした素敵な蔵だなぁ。



いつか伯楽星を自分の店で出せる日が来るかな。

すごく暖かい気持ちにさせてもらえた。






その夜は車の中で日記を書きながらいただいた天ぷらを食べ、純米吟醸を飲んだ。


いやぁ、天ぷら美味い!!!!















翌日。


目が覚めたらもう10時だった。


色んなことがいっぱいあった日ってのは日記に時間がかかるのでどうしても寝るのが遅くなってしまう。

いかんいかん、毎日を無駄のないように使わないと。





今日もまずやってきたのは石越町の「澤之泉」の酒蔵。




「宮城県は一ノ蔵、浦霞っていう2大メーカー引っ張ってくれてるんです。そして引っ張るメーカーが真面目な酒造りをしてくれてるから中小蔵が頑張れるんです。」



色々話を聞かせてもらい、本醸造の生貯蔵を2本いただいた。

ありがとうございます!!





志津川に抜けて気仙沼まで上っていく。

ホントは通り過ぎた小さな村や町のことも詳しく書いていきたいんだけど、そんなことしてたら1日に大学ノート3ページも4ページも書かなきゃいけなくなるので割愛。


といっても今でも3ページ書く時もあるんだけど。

車内灯のおかげで目が悪くなりそうだ。



せっかくの日本一周。

全ての経験や見たものが価値ある物なんだから、あらゆることを忘れないように残しておかなきゃな。
















気仙沼に入り、岩井崎というところにやってきた。


石灰岩の海岸が波の侵食によりギザギザの剣山みたいになっていることから「剣の山」、「地獄崎」とも呼ばれている。


雲と霧のせいで水平線もわからないような天候だが、その怪しさがこの風景には絶妙にマッチしている。





剣の山をぴょんぴょん飛んで先へ先へと進んでいると、足元のいたるところにある空洞からゴーー!!ゴゴーーーン!!という轟音が聞こえてくる。


岩の隙間に波が入り込んできて、圧力で穴から水を噴き出すという潮吹岩はなかなかの迫力だった。





これがずっと、ずーーっと毎日繰り返されてるんだよな。


地球は今日も営みを繰り返している。


寂しげな海岸線にはひと気はなく、世界に取り残されたような空の下、1人海を眺めた。



さぁ、明日は岩手入りだ。






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