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モナコの次は南フランスの奥地へ



2017年6月27日(火曜日)
【モナコ】 ~ 【フランス】 ニース ~ ドラグニャン





目が覚めたらこれ。








マジビビる。







うおおおおおおおお!!!!!


これがモナコオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!








1297年に国として独立したこのモナコ。


言わずと知れたモンテカルロカジノの国で、モナコグランプリなんかのモータースポーツの聖地。



バチカンについで、世界で2番目に小さな国なんだそう。






昔、ヨーロピアンのバスカー友達に聞いたことがある。



「モナコは住んでる人間全員ミリオネアさ。でも路上はできないだろうね。すぐ警察に止められるか捕まるよ。」




つまり、一撃ベンツのキー、もしくは投獄でゴキブリ飯ですか。



セレブマダムとシャンパン飲みながら立ちバック、もしくは獄中でゲイたちに羽交締めにされて弄ばれてもうエルトンジョン歌いたくない。




危険な賭けすぎる!!!!










うん、やめときましょう。



多分俺みたいなやつが世界中からそれを狙ってノコノコやってきて、毎回超厳重な警備に追い出されてるはず。



やめとこやめとこ。


モナコはちょびっと観光するだけにしてさっさと先に進もうかな。



















というわけでモナコは海岸線にあるので、海沿いの大通りで左から右に抜けるのが一般的なルートだけど、あえて裏山の崖から攻めこむという桶狭間ルートで突撃。






モナコの山側はかなりの急斜面になっており、そんな急斜面にも建物がビッシリ密集しており、ものすっごい坂道がクネクネと走っている。



モナコの街まで行ってしまったら車を止めるところはないだろうから、まだフランス側のうちにテキトーにそこら辺の路駐の列に混じって車を止めて、歩いてモナコに向かうことにした。










「はい、えー、神田さん、ここからモナコになります。」



「全然国境線とかないんだ!!ただの交差点!!!」







フランス側から坂道を下りていくと、ちょっとしたお店が並ぶ商店街の角からいきなりモナコになるという謎の区切りかた。



この婆さんがテクテク歩いてる小さな横断歩道の向こう側、違う国。



わけわからん!!!




最近小さい国行きまくってるからなんもうよくわからんなってくるわ。国ってもんが。

















モナコに入ってぼちぼち街の中にやってきたんだけど、まぁ意外とただの海沿いの小さな地方都市って感じだ。










普通の古いアパートがいつくも並んでおり、ベランダで洗濯物が揺れて、セレブ感よりは庶民派な空気が漂ってる。



へー、別にそんなに高級な感じではないんだなー。



もしかしたら俺でも住めるかもね!!




えーっと、一応参考のために部屋の値段でも見ておきましょうかね!!!








ふむふむ。











マンション11億………………




宮崎市のワンルーム、中心部から徒歩5分くらいで家賃2万で借りられますけど………………駐車場付きで……………




いやぁ、桁が違うわ……………


地鶏食べたい………………





















ここにいる人全員ミリオネアなんだよなぁ、ラインのふるふるオンにして近づく人全員にふるふるしまくったら何かの間違いで1人くらい友達できないかなぁ、なんて考えながらぷらぷら歩いていると、なにやら不思議な建物を発見。



ん?この地中海沿いのヨーロッパの町の中に突如現れる日本風の門はなんだ?







めっちゃここだけ日本の空気が漂っている。




「あ、ここあれだ、有名な日本庭園だ。モナコについて調べてたらヨーロッパ最大規模の本格的な日本庭園があるって書いてたんだよね。」





ほうほう、そういうことならばと庭園の中に入ってみた。












綺麗に手入れが行き届いた庭園内はなかなか広く、池泉回遊式庭園になっている。



借景がコートダジュールの岩山というのも、これはこれで趣がなくもない。



中央に休憩小屋があり、数人の観光客が座って目の前の静かな池を眺めていた。



















結構いろんな日本庭園に行くのが好きで、日本三大庭園はもちろん、各県たくさんの庭園に行ってきた。


でも日本にいると日本庭園なんて別にそこまで感動したりしないけど、こうして外国で見ると全然違う。



こいつは美しいってなるわ。



品があって、自然を尊重していて、華美な装飾はないけど日本的な美しさが散りばめられている。





なんでモナコに日本庭園?って思って調べてみると、なにやらかつて自動車事故で亡くなったモナコのグレース王妃様が生前日本のことが大好きだったことに由来する。



グレース王妃っていえば、アメリカの有名な女優、グレースケリーのこと。


亡くなったのは1982年のことらしい。



そんな王妃様のことを偲んで旦那さんのレーニエ三世公がこの日本庭園を作ったんだそうだ。



そう考えるとインドのタージマハルみたいな場所だな。




のんびり散歩するにはすごくいい場所だった。


無料だし。



























そこからチラホラと観光客の姿が増えてきて、人の流れに乗って歩いていくと、すごく賑やかなロータリーみたいなところに出た。




おお、これがあの有名なモンテカルロか…………
















デッカいケバケバした建物の前に、悪いことしないと買えないような超高級車が止まっており、エグい葉巻をくわえた人が歩いてる。




このあたりにいる人たち、みんな金持ちの桁が違う。


絶対どん兵衛とか食べたことないはず。





怖いよおおおおおおおおおお!!!!


どん兵衛の天ぷらそば食べたいよおおおおおおおお!!!!!





































モンテカルロの豪壮な建物、


ハーバーに浮かぶラグジュアリー極まりないクルーザー船の数々、




うわあああああああああああ!!!!!!

ラグジュアリー国家ああああああああああああああ!!!!!!











って別にそんなになりません。


これならドバイのほうがすごいです。


シンガポールもすごいです。




なんかどちらかといったら下町感のほうが強いし、海辺の古い保養地って感じかな。












うん、こんなもんでいいか。


モナコ満足。


カジノはもちろんやりません。ギャンブル興味なし。




こののり巻きの値段だけは許せない。





これだけで630円。


スシローの人に謝ってください。










焼き鳥3本で880円。大吉の人に謝ったください。


















太陽がギラギラ照りつける坂道をヒーヒー言いながら登り、やっとこさ車に戻ってきたらモナコを背にして走り出した。




次の目的地は………………





どこにしよう?




ていうかまた人と会う約束をパリで入れているので、あと1週間くらいでパリまで上らないといけない。


その間にスペインのバルセロナとフランスのモンサンミッシェル。



これは絶対行きたいので、それらに寄ろうと思ったら時間的に相当厳しい。






またこんな日程立ててしまったなぁ…………



多分、フランスは田舎が多いのでイタリアみたいに高速に乗らないと町が多すぎてまったく先に進めない、なんてことにはならないと思うけど、それにしてもめっちゃ遠い。



前回も今回も、俺いつもパリに急いでる気がするなぁ。


ゆっくり南フランス見てみたいんだけど。







とにかく大事な人との待ち合わせだ。


1週間あれば進みながらでも毎日違う町を見て行けるだろ!!



よおおおおおおし!!!!!


かなりハードスケジュールになりそうだけど根性でパリまで登るぞおおおおおお!!!!!

















ていうかフランス、ガソリン安い!!!!


リッター13.7ユーロ!!!!


1.24ユーロのところも発見!





換算すると……………160円!!!


うん!!全然安くない!!!!





キエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!

全然安くないいいいいいいいいいいい!!!!!!






いや、イタリアに比べたらめっちゃ安いんだけどね。

イタリアではリッター194円とかが普通だったから。


マジ怖ええ……………







そしてイタリアと大きく変わったのが運転マナー!!!


フランス人、めっちゃ運転ちゃんとしてる!!!




信号を無視しない!!!


ちゃんとウィンカーを出してくれる!!!


左右を見ないで突っ込んでこない!!!


制限速度で走ってるのに死ぬほどパッシングしまくって煽り倒してこない!!!


対向車来てるのに追い越しをしない!!!!








いや、これも全部普通なんだけどね……………






イタリアではこれは普通です。

マジでこっちが気をつけてないと一瞬でサイドミラーとかもっていかれます。





いやぁ、当たり前のことなんだけど、イタリアから来るとフランス人の真面目さがよくわかるなぁ。


みんな譲り合いの精神で運転してるし、横断歩道では確実に歩行者優先だし、逆にイタリアの運転に慣れていたので、この感覚でフランスを走っていると、言葉は悪いけど野蛮人みたいだ。



ちゃんとお互い譲り合うこと。


運転には人間性が出ます。


















フランス人の丁寧さと余裕のある運転に嬉しくなりながらのんびり走っていると、入江にとても綺麗な港町が現れた。





丸く入り込んだ湾には無数のクルーザー船が浮いており、中には巨大な豪華客船もある。



小ぢんまりした古い港町が静かに入江に寄り添っており、とてもおだやかな、上品な空気に満ちている。











このあたりの地形は急な山に囲まれたギザギザの海岸線で出来ており、アップダウンの激しい狭い道が海沿いをくねくねと通っている。



そんな緑豊かな山の斜面にパラパラと豪華な別荘が散らばっており、確かにここら一帯すべてが高級保養地といった佇まいだ。



ヨーロッパ中、世界中の金持ちがこのあたりに別荘を持ち、海を眺めながら静かに休暇を楽しむ、っていうそんな感じ。







だってこんなのあるもん。



ひっそりとした海岸線の奥を入っていくと、小径の先に現れる大きな鉄格子。






これ、ロスチャイルド邸。






あのロスチャイルド家もここに邸宅を構えるほど、コートダジュールってのは由緒ある、格式高い保養地なんだな。




ちなみにロスチャイルド邸は一般開放されていて有料で見学できます。




















そんな場違い極まりないハイソサエティエリアをプロレタリアート全開の俺たちが、どうもすんませんって感じで目立たないように走っていたんだけど、しばらくして森が開けて長い長い海岸線が目に入った。








ビビったのは人の数!!!!!



その長い長い海岸線のビーチに、もうとんでもない数の海水浴客がうごめいていた。




「カンちゃん怖い!!!!なにこれ怖い!!!!」



「人の数すごすぎる!!!!須磨と同じくらい!!!!」




とてつもない数の人が砂浜を埋め尽くしていて、水着姿の人たちがワラワラと歩道を歩いている。



道路の反対側はヨーロッパらしい古い町並みが広がっているんだけど、ハードロックカフェがあったり観光客向けのレストランが並んでいたりして、とんでもない賑わい!!!!




コートダジュールのど真ん中、ビーチ沿いの美しい中世の町、




これがニースか!!!!










なんかニースって、高級リゾート地とはいってもそこらへんにあるおだやかなヨーロッパの町やろ?って思ってたけど、こいつはワケが違う!!!!



もうなんかロスのサンタモニカビーチみたいな、そんな浮かれまくった空気に満ちてる!!!



車の数も尋常じゃなくて、とてもじゃないけどこの町のどこかに車を止めて路上に行くような気にはなれなくて、そのまま渋滞をかいくぐって逃げ出した。
















「いやぁ………カンちゃん、ニースってすごいんだね…………」



「ね…………田舎行こう、田舎…………ここは落ち着かないよね…………」




きっと腰を据えて滞在したら、南フランスらしい上品で穏やかな空気を味わえるんだろうけど、このハイシーズンのニースはマジでお祭り騒ぎだわ。



田舎好きの俺たちにはあれはしんどい。




ニース好きの方には申し訳ないけど、先に進もう。












フランスによくあるスーパーの名前がカジノで紛らわしい。







やっぱりフランスってスィーツが有名なんだろうなぁ。全部超オシャレ。
































ただやっぱり高いのは高い。





これとかイギリスで100円くらいだったのになぁ。
















もうこの海沿いはもしかしたらずっとこんな感じの騒がしいリゾートタウンが続くんじゃないかと思えて、内陸を走ることにした。



海を背にして山に入り、しばらく坂道を登っていくと、さっきまでの賑やかな雰囲気から一変して、静かな森の中の一本道になった。




走ってる車はほとんどおらず、快適にアクセルを踏む。







ところどころに古ぼけた民家が隠れるように散らばっており、廃墟も目立つ。


ボロボロの、屋根の落ちた小屋が道路脇で草に埋もれている。






すぐそこは世界屈指の高級保養地なのに、少し内陸に入ったらこんなにボロい建物ばかりだということに心が動いた。



きっと本来の南フランスはこうしたひなびた、素朴なところなんだろうな。




おとぎ話、いや、この土地特有の昔話なんかをお婆ちゃんが話してくれそうな、そんな遠い故郷の風景だ。















どこかの小さな町の中、坂道を登っていると見晴らしが良かった。



車を止めて眺めると、赤茶色の屋根が広がっており、その向こうに山並みのうねりが見える。



時間はすでに20時だけど、ヨーロッパの夏は日が長いのでまだまだ空は明るいままだ。



でも、空は明るくても田舎町はすでに静まり返っており、寂しげな夜の帳が透明に町を覆っていた。






ああ、いいなって思えた。


これだよ、こんな風景を想像してたんだよ。


こんな古ぼけた寂しげな風景が見たくて南フランスに来たんだ。




風が山あいを吹き渡り、知らない歌がどこからか聞こえてきそうに思える。








まだこの時は知らなかったけど、この風の名前はプロヴァンスといった。



坂の上から見晴らしたこの地方は、プロヴァンスという場所だった。










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