スポンサーリンク すれ違いも縁 2017/1/16 2017/01/01~スコットランド, ■彼女と世界二周目■ 2017年1月4日(水曜日)【スコットランド】 パース今借りているレンタカーは3ヶ月間借りたものだけど、2ヶ月ちょいで返すことにした。つまり予定より早めにユナイテッドキングダムを出るということ。イギリスが思ったほど稼げないこと、物価の高さ、どこか息苦しくてのびのびできないことが理由。どうも圧迫感がある。イギリスは決して悪くないし、イギリスのことが大好きで大好きで仕方ない人もたくさんいるんだろうけど、こればっかりは肌に合う合わないはあると思う。申し訳ないけど俺にとってイギリスは、オーストリアやメキシコやタイのようにまた絶対戻ってきたい!!って思えるような魅力的な国ではないようだ。日程はもう早めた。レンタカー代はもったいないことしたけれど、ウダウダやってるよりも早めに新しい国に行ってワクワクしたほうがいい。イギリスはあと残り1ヶ月。この1ヶ月でできるだけ素敵なところを見つけられたらいいなぁ。さて、おとといプライマークで買ったパジャマがあったかすぎて、夜に布団を蹴っ飛ばしてしまうくらい防寒が無敵になった俺たち。もはやスコットランドの寒さも恐るるに足らず。そんなパジャマ姿で朝ごはんを食べれば完全に家。これ完全に家。「いやぁ快適だねぇ。」「もう車中泊じゃないと眠れない夫婦になったらどうする?」「いや!日本ではちゃんと家で寝る!!毎日お風呂も入る!!でも車中泊も楽しい!!」カンちゃんと2人でパクパクと朝ごはんを食べ、パジャマを着替えたら車を走らせた。そしてやってきたのはパースという町。スコットランドの高速道路が繋がっている最後の町だ。ここでも高速は終わり、これより先には一般道しかない。パースの町はいたって平凡な地方都市といった感じだ。建物が並び、中央にホコ天のショッピングストリートがあり、人がたくさん歩き、こっちに女の子のギター弾き語り、向こうにバグパイプ奏者のパフォーマーが陣取って演奏しているという、どこにでもある平凡なイギリスの町。そんなショッピングストリートの中に俺もなんとか入り込み、ギターを鳴らした。これからたくさんたくさん歌うことになるであろう2017年の最初の路上。いつものように1曲目をローダイでスタートすると喉に違和感がある。昨日あたりから喉が若干イガイガしてるのが気になっていたけど、ちょっと影響してるみたい。この前思いっきり風邪をひいて、それが治ったら今度はカンちゃんが風邪になり、カンちゃんのが治ったらまた俺という風邪のバトンリレーみたいなことになってるこのイギリス。せっかくここ連日ずっといい天気が続いているんだから、心身ともにいい状態でいたいんだけどなぁ。そんな情けない声なのでお金の入りも悪く、演奏にも熱が入らない。うーん、せっかく今年最初の路上なのになぁ。「ハーイ!ニールヤング素敵よ!私はソニア、フランスから来てるの。」するとさっきまで向こうで歌っていたギター弾き語りの女の子が声をかけてきた。くるくるの巻き髪にニットキャップをかぶり、バサバサのつけまつげをしたイマドキの可愛らしい女の子であるソニア。彼女が歌っていたのはアデルとかそんな最近の流行りの曲で、そんなに上手くはなかったけど綺麗な可愛い声をしていた。結構近くに陣取ってしまったので文句を言いに来たのかなと思ったけど、そんなことは一切なく、とてもフレンドリーで明るくて、いい子だった。そこに今度はまたギターとアンプとマイクスタンドを持った男の人が声をかけてきた。ソニアとは友達のようで、どうやら彼もパフォーマーらしい。ジェイソンという名前で、毎日ホコ天の真ん中の辻でブルースをやっているんだそう。その場所は彼の定位置となっているみたいで、そこではやってはいけないという暗黙の了解がこの町のパフォーマーの間には存在してることがみんなと話していてわかった。そうだよな。これだけパフォーマーがいるんだから、なんとなくみんなそれぞれの場所と時間帯が存在してるはず。路上の場所とりは早い者勝ちが原則ではあるけれど、俺みたいなよそ者はなるべく彼らの邪魔にならないようにしなきゃ。「もし良かったら今夜ウチでみんなで飲もうぜ。ご飯作るし、シャワーも浴びたらいいよ。」「マジー!めっちゃ楽しそう!!」「俺も旅して色んな人に助けられてるからね。それに2人はクレイジーには見えないし。ただ友達がたくさんいるからベッドまでは用意できないのはゴメンな。家にたくさんギターあるし、俺の彼女もミュージシャンだから今夜はみんなで楽しもうぜ!!」いい人オーラ出しまくってるジェイソンに家の住所を教えてもらい、路上が終わったら行かせてもらうことした。久しぶりにこうした地元の人からのお招きだ。楽しみだなぁ。それからも歌い続け、強引に喉を開くとなんとかいい声が出始めてきた。すると分かりやすく反応も変わって、この国最初の紙幣がギターケースに入った。5ポンド紙幣だけど、見慣れない模様だ。そう、この4つの国の連合であるユナイテッドキングダムの通貨は全てポンドではあるんだけど、スコットランドや北イングランドでは独自の紙幣が発行されている。コインは全部同じ。紙幣は違う。でも価値は一緒。さらにややこしいのは、イングランドの紙幣は他の国でも使えるけどスコットランドや北イングランドの紙幣は外国では受け付けてもらえないことが多いみたい。コインは一緒なのに紙幣は違うってなんか変な感じだなぁ。こういった面からも、やっぱりイギリスと一言にいってもそれぞれ違う国だという意識をみんな強く持ってるんだろうな。街灯がともり、しんしんと冷えて体がこわばってきたくらいで町から人もいなくなり、ギターを置いた。今日のあがりは2時間半で56ポンドと1ユーロ。8200円。スコットランド最初の路上、2017年最初の路上になるので今日の出来が今後の指標になると思っていたが、こりゃ前途多難だな。マジで気合い入れないと、お金貯めて日本に帰ることなんてできやしない。風邪なんて引いてる場合じゃないよ。まぁ稼ぎはあんまりだったけど、さっきの楽しそうなお招きをいただけたのは大きな収穫だった。現地の路上ミュージシャンたちと友達になって、この国のバスキングについて色々聞けたら面白そうだ。他の路上パフォーマーと仲良くなる機会ってそんなに多くないので、なんだかワクワクしてくる。とりあえずまずは車に荷物を置きに戻り、それからスーパーに行ってビールとワインをゲット。今夜は飲もうぜ!って雰囲気だったので、これくらい持っていけば大丈夫だろう。そして教えてもらっていた住所にやってきてアパートの呼び鈴を押した。聞けばさっきのフランス人女の子シンガーであるソニアもジェイソンの家に2週間くらい居候しているそうだし、音楽やるやつのたまり場みたいになってそうな雰囲気だ。みんなでいろんな話をしてギターを弾いて、飲んで歌って。いい夜になりそうな予感。なんだけど……………呼び鈴を押しても返事がない。誰もいないよう。出かけてるのか?1時間半後に行くよと伝えていたんだけど、このタイミングでどこか買い出しにでも行ってるのか?何度か呼び鈴を押すがやはり反応はなし。寒い夜風がビュウと吹いて、カンちゃんと2人で震えながらしばらく待ってみた。が、やはり誰も戻ってこない。こりゃもう耐えられない。「もう行こっか…………」「う、うん………寒いー………しかたないね…………」メモ紙にメッセージを書いてドアに貼り付けて、車に戻ることにした。どこかカフェかなんかに行って時間を潰して後から戻って来ればジェイソンたちも帰ってきてるかもしれない。でもこれも縁かなと思った。ジェイソンはただのいい人だった。約束をすっぽかしたり気が変わって居留守をするような人ではないのは分かってる。このすれ違いが縁だよな。「よーし!そうと決まれば帰って焼きそば食べながらこのワイン飲もう!そして龍馬伝見るぞー!!」「イェーイ!車最高ー!!」というわけで車に戻って焼きそば!!!!もう焼きそばが美味すぎて美味すぎて、感動しすぎて、焼きそばだけで生きていけるくらいめっちゃ何日も連続でカンちゃんに作ってもらってる安上がりな男!!!このソースなにこれ!!日本のご飯無敵にもほどがある!!!!焼きそばでこんなにも感動できる生活とか親が見たらどう思うだろ!!!大丈夫!!楽しんでるからね!!そしてここ最近の大きな楽しみである龍馬伝を見ながらビールとポテチ。イギリスではセンセーションというポテチにハマってます。センセーション、めっちゃクオリティ高い。こんなこだわりの美味しいポテチなかなかない。「うえええええええんんん!!!加尾と龍馬がかわいそおおおおおお!!!なんで一緒にいさせてあげやんのおおおおおお!!!」龍馬と幼馴染の恋人、加尾が時代の流れの中で引き裂かれるシーンで、恋バナ大好きカンちゃん号泣。女の子は本当恋バナ好きだよなぁ。「可哀想だよおおお!!うええええん!!!」「そうだねぇ、かわいそうだね。でも時代の流れに飲まれていたんだよねぇ、」「フミ君ところで土佐ってどこ?」「ぶふぉ!!!ゲホゲホ!!!こ、高知ですけど……………」「うえええええんん!!!九州のどこかだと思ってたあああああ!!だから最初のころから四国の地図がたくさん出てきてたんだあああああ!!!」も、もう10話目ですけど…………でも土佐知らなくても焼きそば美味しいからオッケー!!