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風邪で死にかけながらあの横断歩道

2016年12月8日(木曜日)
【イングランド】 ロンドン ~ ダートフォード





ゆうべカンちゃんが作ってくれた晩ご飯。




安定の辛ラーメン。


でもゆうべはいつもの炒め物ではなくて増えるワカメと乾燥ネギを入れてくれ、その上にキムチを乗せてくれた。


めっちゃ美味しい!!




でも本当に言いたいのはこれ!!!







ガスコンロ!!!!!!!




これ最強すぎて吐く!!!!





オーストリアにいるときに中国食材店で見つけたこのカセットコンロ。

別にいたってどこにでもあるコンロだけど、この3ヶ月間ずっとアウトドア用のミニコンロを使っていた俺たちにとっては2010年宇宙の旅で猿が棒の使い方覚えた時くらい最強。



まずなにより安定がすごい。


前のミニコンロは縦長のやつで、乗せる部分がとても小さかったので安定が悪く、常に鍋を手で持っていないと2秒でひっくり返っていた。

それがこれならもちろん鍋を支える必要なし!!

立ち上がって踊ろう俺の肩にもたれていいよ倒れやしない並みに倒れやしない!!ハマショー!!



そしてガスの強さも格段に違う!!


ミニコンロの時は火の吹き出しが小さかったし、ガスが少なくなってくるとあかさらまに火力が弱くなり、チョロチョロリンしか火が出ずにいつまで経ってもお湯が沸かなかった。

最後のほうになるとマッチですか?ってくらいしか火が出ず、しかもちゃんと使い切らないとガス缶を捨てられないので、最後はもうただの時間の無駄祭りみたいになってた。

お湯沸かすのに30分かかったりしてた。



それがこのカセットコンロなら2秒。

しかも後半の火の弱まりも少ない。


マジ無敵。


オーストリアから超無理やりバッグに押し込んで持ってきた甲斐があった。


はううううううううう!!!!!!


えええええええええ!!?????!!!






ちょ、ちょっと待て……………







ガクガクガクガクガクガク…………………






醤油がある…………砂糖がある…………白ワインがある…………出汁がある…………カセットコンロがある………………








これってまさか………………………















鍋できるじゃん……………







男性と一緒に食べたならば何か古くからの友人だっかのような友情が生まれ、女性と食べたならば具材を率先して入れたりする家庭的デキる系女子や毎回男子によそってもらってばかりいる甘えん坊俺がいないとダメ系女子なんかを見極められるあの鍋!!!


キイイイイイイイイ!!!!!鍋できっちゃらりれるろれれるれろり!!!!!!!!!!!


景色の綺麗な大自然の中に車止めてスキヤキできっちゃらりれるろりれるろれろりれいいいいいい!!!!!!!!



誰かああああああああ!!!!鍋パしよおおおおおお!!!!


イギリスいる人、鍋パしよおおおおあお!!!


どっか綺麗な湖のほとりで車止めてビートルズかけながら鍋つついて楽しく飲んで恋バナして、後半で巧みに王様ゲームに持ち込むううううううううううう!!!!






いやぁ、本当バッグパッカーと会わないなぁ……………

宿泊まらないんだからしょうがないか。


モグネルさん元気にしてるかなー。



たまには誰かと旅してみたいな。

もちろんカンちゃんといるのが退屈なわけじゃなくて、俺もカンちゃんも旅人と会うのが大好きだから。


















さて、そんな幸せ家族計画でみのもんたに蹂躙された後くらい生活レベルが向上している今回の俺たち。

新しい快適な車でようやくロンドンを出て次の町に向かうぞ。


イギリスも広い。
なんせ4ヶ国もある。

あんまりちんたらしていたら何ヶ月かかるかわかったもんじゃない。




というわけで早速出発!!!嘘!!ダメ!!もうひとつだけこのロンドンでやるべきことが残っている!!!!


ふぅ、こいつをやり残したらロンドン来た意味ほぼゼロになる。


こいつだけは全生命力を費やしてコンプリートしなければいけない!!!









のだが………………






朝から体調ゲキ悪………………

昨日、喉がなんとなくイガイガしてはいたんだけど、ついにきちまったなぁ。

久しぶりの風邪みたいだ。


身体中がダルくて寒気がして頭も少し痛い。


なんとかこのロンドンを出るまでは頑張って、それから田舎に行ってゆっくり治そう。



カツカレー美味しい。

















そんな体調の悪い状態でロンドンの街中を車を走らせるのはなかなか辛い。



集中していないとどこから車や人が飛び出してくるかわからないし、バンバン車が回ってくるラウンドバウトに合流するタイミングも逃してしまう。

神経すり減る。









そんなしんどいロンドンの中を慎重に走り、ようやく目的地の周辺までやってきた。

中心地のぐちゃぐちゃしたエリアからは少し外れているおかげでなんとか近くまでやってくることができ、路上に車を寄せた。




おお………ここか……………





世界で1番有名な横断歩道だ。







1969年に発売されたロックアルバム。


そのジャケット写真に使われたこの横断歩道。


言わずと知れたビートルズのアビーロードだ。




こいつかー………………




ポール死亡説が流れている時に発売されたこのアルバム。

ジャケットの中のメンバーの並びと服装から、ジョンが牧師、リンゴが葬儀屋、裸足のポールが死人、ジョージが墓掘人に扮しているなんて説もある、ロックの世界ではあまりにも有名なこの写真!!




もう47年も昔の写真なので周辺の様子もかなり変わってるんじゃないかと思ったけど、実際はそれほどでもなく、すぐにあのジャケットの風景と重なった。

実際あまりにも有名な横断歩道なので、イギリス政府が国の文化遺産に指定して保存しているんだというからすごい。




横断歩道の両側にはたくさんのファンが集まっており、あの有名な写真を真似して撮影しようとタイミングを見計らっている。





というのもここは普通に車の通る一般道。


前からも後ろからも車がどんどんやってくるので、車が切れたタイミングでバー!!っと横断歩道に出てポーズを決め、写真を撮ったらすぐに歩道に避難しないといけない。


見ている限り、車が一瞬切れたとしても撮影できる時間は5秒ってところだ。


なのでみんな遠慮がちに普通に渡っているところを歩道から写真を撮ったりしている。



ジャケ写通りに撮影するなら、カメラを撮る人も道路の真ん中まで出て真横から撮影しないとあの角度にはならない。



そういったこともあってみんな横断歩道の両側でタイミングを見計らってヤキモキしている。





うん、ここは強引にいこう!!!


話ではこのアビーロードの写真撮影によって近隣から多少の苦情が出ているんだそうだ。

そりゃそうだ。何十年も前から大量のビートルズファンが集まってこうやって毎日毎日、横断歩道で写真を撮っている。


邪魔だなぁって思う人もいるだろう。


過去には事故で死亡者も出ているんだそう。それはシャレにならん。




でもここはロックファンにとって、いや人類にとってとてもとても大切な場所。

そりゃみんな記念写真を撮りたいよ。

イギリス政府も保護するくらいだし。



バカみたいに何分も道を占拠するようなことはせずにスピーディーにやってしまえば大丈夫!!




というわけでそこら辺にいた別のグループに、お互いの撮影しようよと声をかけ、完璧なアングルでやろうぜ!!とタッグを組んだ!!







そして車が切れた瞬間、躊躇せずダッシュして撮影!!!!!







撮れた写真がこれ!!!!









オラァ!!!撮ってくれた女の子上手ええええええ!!!!!


やば!!完璧じゃねぇか!!!


俺、カンちゃん、トロールたちで、ジョン、リンゴ、ポール、ジョージを再現!!!!



いやったああああああああああああ!!!!


イギリスで必ずやりたかったことのひとつ!!

達成!!!!!



もうこれでロンドンに思い残すことはない!!!!

やったぜ!!!!



女の子たちの写真もバッチリ撮ってあげて、めっちゃ大満足でアビーロードを後にした。
























さぁ、ロンドンを出て最初にどこから回って行くかなんだけど、まずは南から攻めていくことにした。

南の海沿いからしらみつぶしに北上し、スコットランドを目指そう。



というわけでロンドンの次は海沿いに向かうことにして車を走らせたんだけど……………



ロンドンの渋滞、異常すぎる……………

もうまったく前に進まない……………







車多すぎ。信号多すぎ。人多すぎ。

信号が変わる前にみんな交差点に突っ込みまくり、交差点の中が糞づまりになった状態で横から車が来て、でも進めないからまったく動かず、動けないまま信号が変わってまた糞づまってという、もう終わった状態。

全然動かない。

















ロンドンのど真ん中であるシティーオブロンドンの金融街で、世界の物の値段を決めているサラリーマンたちを眺め、ゆっくりゆっくりと有名なロンドンブリッジを渡り、それからもひたすらトロトロトロトロ。


街の中心地を抜けてもいっこうにスムーズにならない。






そうしている間にもどんどん体調が悪くなっていく。

頭痛が増し、寒気で全身に鳥肌が立ち、意識が朦朧とする。

体の節々が痛くて、いきなり激痛が走ったりしてマジでしんどい。


こんなにしんどいの久しぶりだ…………




「ごめんねー………私が免許持ってればフミ君に寝ててもらって運転できるのに…………この辺で休もう?」



「いや………なんとか…………うーーー…………田舎まで行ってしまおう…………こんな街の中じゃゆっくり眠れない…………うーーー……………」




後ろからサイレンを鳴らしながら救急車が突っ込んできた。

バックミラーを見ながら道の端にかわしてあげる。


さっきから何回緊急車両が通っただろう?

ロンドンはいろんなサイレンにまみれてる。
























結局ロンドンの街中を抜けるまでに3時間かかった。

やっと道がスムーズになり、ダートフォードという町にたどり着いたころにはすでに完全に夜になっていた。



もうマジでしんどい…………

この旅で風邪ひくのインドのカデルの家以来だ…………






必死の思いで住宅地の中に寝床を見つけてエンジンを止めたら、ハンドルに頭をつけて放心状態。


も、もう動けん…………

死ぬ……………






カンちゃんが辛ラーメンを作ってくれ、それと朝に韓国人街で買っておいたキッパを食べた。

食欲はかろうじてあるよう。






そしてカンちゃんがバッグから抗生物質と解熱鎮痛剤を取り出して飲ませてくれた。

よかった………俺1人だったら薬なんか持ち歩かないし、ちゃんとこうやって飲むこともしない。


そしてなにより心強かった。

外国で病気の時に1人だと、このまま死んでしまうんじゃないかって暗いネガティヴな気持ちになってしまう。


カンちゃんがいてよかった。




この夜は震えながら布団に潜って眠った。

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