2016年3月6日(日曜日)
【インド】 チェンナイ
カデルには年頃の妹がいるんだけど、めっちゃ可愛い。
マジですごい美人さん。
オードリーヘプバーンに似てて、品があって頭が良くてオシャレでスタイルよくてつまり惚れてません。
1ミリでもちょっかい出そうもんなら牛の餌にされます。
ていうか南インドの習慣がわからないからなかなか困惑するんだよな。
なにが良いことでなにが失礼なことなのかわからない。
昨日、ご飯を食べてる時に腰をひねったら、食事中にストレッチするのは失礼なことだよとカデルがニヤニヤしながら言った。
そのくせ、「ゴエェェェエ」ってゲップするのは、私は食事に満足しました、ハッピーですという証となって周りに喜ばれることらしい。
わ、わかんねえ(´Д` )
まぁ外国人ってことで、行儀悪いことをしたとしてもごめんなさい!と謝れば笑って許してもらえる。
そういった意味で、海外はとても居心地がいいもんだ。外国人ってだけで特別扱いしてもらえるから。
日本だったらそれらを当たり前に完璧にやらないと怒られてしまう。
そんなの当然のことだけど、1度海外を経験するとそれが窮屈に感じてしまい、旅人は自国に戻れなくなる。
そして日本を批判するようになる。
ぬるい環境につかっているだけなのに。
でもまぁ基本はみんな同じだ。
誕生日を祝うという形式もそうだし、大事なのは気持ちがあるかどうか。
今日はカデルの妹、ハニーの誕生日で、朝からみんなでケーキを食べた。
チェンナイに住んでいる従姉妹のミナもやってきて、ささやかだけどみんなで歌を歌った。
そしてケーキをカットしたんだけど、ここではみんながケーキを手に取り、お互いの口に入れて食べさせあいをする。
俺もママから食べさせてもらったけど、一口がでかすぎて口の周りがチョコまみれになってしまった。
うぇえ!と言う俺を見てみんなが大笑いした。
さて、そんな文化習慣の違う南インドで今日は遊びに出かけることに。
日曜日なので学校は休み。
いつもの仲良しメンバーでチェンナイの町に繰り出すことになった。
化学の先生、ムトゥ。
化学の先生、マデバン。
数学の先生、バラムルガン。
英語の先生、ラジニー。
それに俺とカデルの6人。
全員もれなく最高にいいやつらで面白い。
「フミ、ムトゥってパールって意味なんだよ。タミル語で。パールって日本語でなんて言うの?」
「へー、そうなんだ。シンジュって言うよ。」
「おう!じゃあムトゥにシンジュモーレって言ってみて。」
「ムトゥ!シンジュモーレ!」
「ヒャアアアアアアハッハッハッハ!!!!」
「アヒイイイイヒャッヒャッヒャーーー!!!!」
「フミー!ユーアーバッドガイ!!!」
シンジュモーレってタミル語でクソ野郎って意味だった。
みんなで爆笑しながらアラコナムの駅から電車に乗り込んだ。
チェンナイの駅に着き、そこからトゥクトゥクを捕まえた。
6人いるのにトゥクトゥクに無理やり乗り込んでイヤッホゥ!!と走ってやってきたのは、何やらテーマパーク的な場所。
一見豪華な見た目のゲートがあり、ここが入り口みたいだ。
インドのテーマパークってどんな場所だろう!!!
「さーていくぜー!今日は遊ぼうぜ!!」
みんなでノリノリで入場して振り返るとこれ。
絵に描いたようなハリボテ(´Д` )
インドクオリティやべぇ(´Д` )
敷地はなかなかの広さで、ズラッと様々な建物が並んでいた。
しかし、これらも全てハリボテ。
後ろから見るとただのバラック作りの小屋になってる。
しかもゴミだらけ。
も、もうちょっとちゃんと作れないのかな……………
たくさんの建物があるんだけど、それらはひとつひとつテーマが決められたエキシビションルームになっていて、ここタミルナド州の教育、警察、政治、消防、観光資源や発電施設、さらに産業の紹介とか病気の予防についてとか、本当に色んな展示コーナーが作られていた。
蚕によるシルク製品。サリーも蚕。
これはココナッツの繊維で作った品々。
ゴミの分別をしましょうねーっていう展示。
ぜってー誰もやってねぇ…………
タバコによる害。
マダラ蚊によるデング熱感染の注意。
これは100年前のチェンナイの町の写真みたい。
100年前のほうが綺麗やし……………
100年前からただ老朽化していってるだけだよなぁ。インドって。
全然進歩してない気がする……………
なかなか面白いんだけど、まぁ全部ボロボロ…………
使い古されたもので代用しまくってるから、テーブルも椅子も壁も今にも潰れそうだ。
エアコンなんてないのでめちゃくちゃ暑いし、足元は砂地なので埃がひどくて喉がイガイガしてくる。
驚いたのは、公立の学校ではこれらの物品が全て無料で支給されるというところ。
なのでみんなで学校に行きましょう!という感じだ。
そりゃ貧しい家庭は率先して行かせるわなぁ。
さらには貧しい家庭には無料で家まで与える政策もあるみたい。
タミルナドすげえ。
そりゃストリートチルドレンなんかおらんわ。
3時間くらいかけてエキシビションエリアを周り、やっと全部回ったーと思ったら、今度はみんなで橋を渡っていく。
「外出て次はどこに行くの?」
「は?まだ敷地内だよ。今やっと3分の1くらいだよ。」
橋を渡ったらそこには広大なアミューズメントエリアが広がっていた。
で、デカすぎる………………
こちらはさっきのお固いエキシビションエリアとは違って一気にエンターテイメントの遊び場になり、色んなアトラクションが並んでいた。
水族館とか動物園とか、お化け屋敷なんてものもある。
家族連れやカップルが楽しそうに歩いていて、お化け屋敷の前ではズタボロの服を着てホラー的なお面をかぶったゾンビが手招きしている。
こんな人普通にバラナシとか歩いてるし…………
それにしてもクオリティの低さが尋常じゃない。
全部ハリボテ。
作りが雑すぎる!!
日本の田舎の縁日のほうがまだちゃんとアトラクション作ってるわ。
テニスボールを投げてテーブルの上のコップに当てるというゲームとかもある。
コップを全部落としたら景品がもらえるらしい。
家でも出来るし…………
もうちょっと工夫しようよ、こんなところでアトラクションやるんなら……………
でも値段は全部めっちゃ安くて、どのアトラクションも20ルピーとか。30円。
周りには飲食店や衣料品店も出ており、全部かなり安い。
「カデル、インドの女の子にあげるものって何がいい?」
「んー、なんでもいいけど、セカンドバッグとかどう?これとかいいよ。これは派手すぎるから、こっちの色がいいね。」
カデルに聞いて妹のハニーの誕生日プレゼントは何がいいか探して、可愛らしいセカンドバッグを買った。
それなりにオシャレなバッグがたった200ルピー。
350円だけど、きっと喜ぶよとカデルが言ってくれた。
何このゴミ?妹はヴィトンしか持たないんだよ、とか言われなくてよかった。
さっきのテニスボールを投げてコップを落とす遊びにまんまとハマって、みんなでムキになってボールを投げまくったけど、予想外に難しくて全然当てることができずに惨敗。
バラムルガンがチクショウ!!と悔しがっているのが見てて面白いっていうかチクショウ!!俺もひとつも当たらなくてめっちゃ悔しい!!!
野球ボールで穴を開けていくストラックアウトとかインドでやったらめっちゃウケるだろうな。
ちょっと話のネタにお化け屋敷にも入ってみた。
インドのお化け屋敷のクオリティーやいかに…………
ただのコルカタやし………………
インドの夜の町歩いてるほうが怖ぇし…………
なにこのテキトーな人形………………
普通のインドの町の光景やし…………
しかし、油断させておいていきなり影からお化けが飛び出してきて驚かしてくるかもしれない。
一応警戒しながら角を曲がっていく。
なにが出てくるかな…………
ていうか角を曲がった瞬間、牛がいるインドの町の方が怖えし。
それなりにドキドキしながら進んでいくが一向に何も起きない。
え?終わり?と思って出口が見えてきたその時だった。
さっき入り口のところで呼び込みをしていたガキがお面をかぶって立っていて、こっちに近づいてきてヒョウヒョウ!!ガルル!!と言ってきた。
おい、小僧ども。そんなにチンコを揉まれたいのか?
これで金を取れると思ってんのか?
失神するほど怖いお化け屋敷がある日本から来たんだぞコノヤロウ?
チンコもむぞ!!
そして謎の顔が地面に置いてあってお化け屋敷は終了。
外に出るとカデルたちが笑いながら待っていた。
「フミー、どうだった?インドのお化け屋敷は?」
「超つまんねぇ。」
「イヤーーーハッハッハッハーー!!!」
「最高だぜフミーー!!!」
いやー、このテーマパークのクオリティーマジでハンパない。
これで喜んでるインド人たちのピュアさがたまんないわ。
インドでエンターテイメント業始めたら儲かりそう!!
テーマパークを出たら、今度はみんなでビーチに向かった。
チェンナイは海沿いの町だ。
多くの人がビーチに遊びに行くんだぜと聞いていたんだけど、どんなもんかな。
インドでビーチとか想像できん。
なにこれ?
マジウケる人多すぎ(´Д` )!!!
ていうかビーチでかすぎ!!!!
「フミ!!チェンナイのビーチは世界で2番目にデカいビーチなんだぜ!!」
そうなんだ。こりゃ確かにデカイわ。
ちなみに世界で1番デカいビーチはマイアミらしい。
すさまじくたくさんの人がいる砂浜をみんなで歩いていく。
海に着くまででも相当歩かないといけなくて、そんな砂浜の上に無数の出店が散らばっている。
砂埃が舞う中で飲食店をやっているのはもうインドなので良しとして、こんなものもある。
射的だ。
風船を割るゲーム。
玉は銀色の小さなもので、いちいちオッさんが詰め込んでくれる。
ゴミはそこらへんに放置。
さすがインド。
久しぶりに見る海はとても綺麗だった。
波打ち際でインド人たちが無邪気に波と戯れている。
俺たちも波打ち際に座って色々喋った。
風が気持ちよくて、はしゃいでいる人々を見ているだけで楽しい。
サリーが濡れて体にくっついて、可愛い女の子の体の線が出ている。
カップルたちが抱き合って愛を語らっている。
カゴに入れた大量のピーナッツを持って売り歩いているオッさん。
小さな子供に綱渡りの見世物をやらせている家族。
インドもそれなりに色んなものを見てきたけど、このビーチにはまったく違った空気が流れていた。
すべてのものに対して独自の進化があって、独自の楽しみ方があって、独自のルールがある。
その全てがインドであって、世界基準という名の欧米文化に汚染されていない国がこの世界に力強く存在することを俺たちは喜ばないといけないよな。
人々の優しさはマジで桁違いだよ。
「フミー!!海は好きかい!?」
「大好きだよ。だって俺は港町で育ったからね。家の窓からいつも海を見てたんだ。あの向こうには何があるんだろうって。今俺はその向こう側にいるんだ。」
「イエーイ!素敵だよ!!俺たちはこっち側からフミのことを見てたのさ!!」
潮の匂いが故郷を思い出させる。
懐かしい町。
この流木がはえていたところに、俺はまだ行けるかな。