7月23日 水曜日
【インド】 バラナシ
屋上から見渡すガンジス川は黄泉の国のようだ。
スモッグで空気がかすみ、遠くまで続くガートがぼやけて見える。
三途の渡しが川面に浮かび、船頭がゆっくりと櫂をこいでいる。
ヒンドゥー教ではガンジス川はシヴァ神の体を伝って流れた聖なる川として信仰されているそう。
そもそも川自体がガンガーという女神なのだそう。
ヒンドゥー教ってのは一体なんだろう。
Wikipediaで調べてみると、どうやら仏教と同じ2600年ほど前に具体化した宗教らしい。
もともとはバラモン教という古の宗教から派生したものとのこと。
面白いのは、仏教がヒンドゥー教の一派という考え方。
仏陀はヒンドゥー教の神様の化身と考えられているそうだ。
詳しく調べようかと思ったが読み進めていくごとに面倒くさくなってきてページを閉じた。
屋上の周りにはボロボロの建物が隙間なく立ち、向こうのベランダに猿がいた。
猿はこっそりと窓に近づいていく。
そして素早く手を差し入れたかと思うと、家の中からナンを盗んで反対側の家の屋根まで移動してからモグモグとナンを食べ始めた。
猿、牛、馬、犬、山羊、豚、鶏、ネズミ、
ここはノアの箱舟か?
これらの動物たちと人間がほぼ同じ目線で共生しているんだから、毎日毎日新鮮な光景を見させてもらえる。
いつか地球が滅亡に向かっても、ここはほとんど変わらなさそうだな。
屋上から降りて貸し切りのドミトリールームで全裸で歯を磨く。
裸でウロウロ歩き回っていると、下から声が聞こえてくる。
「ハロ~~サ~~~、ブレックファースト~~~~、朝ごはんだ~~よ~~~~~~」
物干し竿~~みたいな不思議な調子のこの声は朝の8時に毎日必ず下から聞こえてくる。
え?実家?
朝ご飯よー!!って1階から声がするって実家?
これは久美子さんの声。
きっと何十年も毎日こうして旅人たちを起こしてきたんだろうなぁ。
独特な声色で、これを聞くとすぐに目が覚める。
不思議な歌みたいなその呼びかけにはただならぬ年季が入っている。
もうこの久美子ハウスは旅人たちの文化財だよ。
完全に実家と化している部屋を降り、久美子さんに行ってきますーと挨拶してぶらっと出かけた。
誰かお客さん連れてきてねーと笑ってる久美子さんの期待に応えるべく、昨日行ったメグカフェへ旅行者を捕まえに行くことに。
嘘。ただメグカフェのご飯食べたいだけ。
チキンカツ丼、スーパー美味い。
あり得ない。
インドでこのクオリティあり得ない。
是非このお店でカレーが食べたい。
インドで日本食レストランでカレー食べたい。
え?旅をなめてる?
カレーは汚いところで食べてナンボ?
そうですか。
ところで最近、だいすけ、っていうブログが世界一周ランキングに出てきたじゃないですか。
タイトルがだいすけっていうブログ。
タイトルがいとこの大輔と同じ名前なのでマジウケると思って見てみたらめっちゃ面白いですね。
綺麗事まったく書かんくて攻めまくりなので、マジでやべぇこの人最高やん、会ってみたいわーって思ってました。
でもここで衝撃の事実が発覚しました。
オーストラリアのシドニーで仕事中にもかかわらず、わざわざ作業着のまま待ち合わせ場所に来てくださって、俺の体調を心配してビタミン剤をくださった兄さんがいたんですが、あの兄さんがだいすけさんだったという衝撃の事実。
だいすけさんのブログ読んでて、へーこんな顔の人なんだーって本人の写真まで見ていたというのに気づかなかったというゲス野郎です。
だ、だってあの時会ったのすごい一瞬だったし帽子かぶってたから(´Д` )!!
うわー、この人オモレー、会いてーって思ってた人にすでに会ったことがあったというシチュエーション。
そうなんだよ、だいすけさんあの時、もうすぐ世界一周に出ます、変な楽器持って回りますって言ってたもん。
でもあのブログとは繋がらんかったなぁ………
しかし面白いですね。あのブログ。っていうかだいすけさんが。
だいすけさん、ちょっとお伝えしたいことがあります。
ここで言うべきかすごい悩んだんですけど、やっぱり伝えとくべきかなと思って書かせてもらいます。
ベトナムでお会いできなかったの残念でした、っていうのももちろんあるんですけど、もうちょっと重要なことです。
ビタミン剤、まだ飲んでないです。
だいすけさんからFacebookの友達外される可能性を心配しながらいつものチャイ屋さんで一服して、久美子ハウスに戻ってきた。
そう、お客さんを引っ張ってくるという仕事をなにひとつやっていませんね。
だ、だってメグカフェもお客さん全然いないから(´Д` )!!
現在のバラナシは韓国人に占拠されています。
ちなみにインド人の間では日本人の女をゲットしたら宿ができる、韓国人の女をゲットしたらレストランができると言われている、らしい。
「あらー、メグカフェもそんなにいなかったのー。彼女元気そうにしてた?」
宿に戻り、玄関先に座ってリビングでくつろいでる久美子さんとずっとお喋りした。
やはりバラナシに38年も住んでるなんていう海外で働く日本人のパイオニアみたいな人なので話がとっても興味深い。
昔はこのバラナシに住もうとする日本人はみんな久美子さんのところに挨拶に来ていたんだそうだ。
そりゃ他に日本人なんていない時代だし、そんな中で堂々とインド人と渡り合っている久美子さんの存在はとても大きなものだっただろうな。
当時は地球の歩き方もまだ全然充実してないころで、あの雑誌のライターたちがこの久美子ハウスに泊まってバラナシのことを調べていたというからすごい。
まさにバラナシの歴史は久美子ハウスの歴史だ。
「お客さんが多い頃はねー、あのドミトリールームに50人泊まってたわ。床にギッチリマットを敷いてね、みんな雑魚寝で寝るの。それに荷物も広げるでしょ?足の踏み場もないってのはあのことよ。」
まさに古き良き旅人の安宿って感じだ。
イメージするだけでワクワクしてしまう。
昔みんなで作った秘密基地のような場所で、ドンチャン騒ぎをして夢を語って。そんな青臭い輝きがあったんだろうな。
今は他の日本人宿もできて、みんな新しくて綺麗な方に行ってしまっている。
時代の流れなんだろうけどなぁ、久美子ハウスに誰か来ないかなぁ、
ジブリの映画に出てきそうな、この久美子ハウスの古い建物。
目の前のガンジス川、つたのからまった玄関、その真横にある階段を降りるとガートがあり、地元の人が川で体を洗っている。
マンガの世界だよ。ここ。
本当は今日出発するつもりだった。
次の町に行こうと思っていたが、このバラナシとこの宿には離れがたい魅力がある。
久美子さんの話では1ヶ月2ヶ月滞在する人なんてザラらしい。
確かにバラナシはそれくらいゆっくりできる場所だ。
路地の中にはシタールやタブラを教えている音楽教室や、ヨガの教室などがたくさんあり、長期滞在しながらこれらを学ぶことも可能だし、ただひたすらマリファナやハシシを吸いながらぼけーっとするのもいいかもしれない。
俺もいようと思ったらいくらでもいられそうだ。
でも、明日には必ず出ないとな。
夜になって宿の近くにあるエッグロールのお店で晩飯を食べ、チャイを1杯ひっかけて宿に戻る。
ドミトリーは今夜も俺1人でガラーンとしており、寝転がってギターを弾いた。
何もしてないからかあまり眠くならず、頭が冴えて仕方ないので夜遅くまで曲作りをしていた。
深夜の窓の外から、ガートを歩く誰かの話し声が聞こえては遠くに消えていく。
昔は今よりも治安が悪かったらしく、さらに電気もほとんどなかったから夜になれば真っ暗闇になり、その闇の向こうから人のギャー!!!という断末魔の叫び声が聞こえていたそうだ。
怖すぎる。
今でも治安はあまり良くないけどね。つい最近もこの近くで日本人が殺されてるし。
さ、明日はそんなバラナシを出よう。
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※お知らせ
こんにちはみなさん、いつもブログを読んでくださり本当にありがとうございます。
ランキングのクリックも最近すごく多くて大台の2万インポイントも夢じゃないのでは、と期待してしまいます。
本当に感謝します。
さて、現在中国の大理にいます。
どんな中国旅になっているかは本編で書かせていただきますが、ただひとつ言えるのは初日から中国が今までの国1位に踊り出てきたということです。
この国すごいです。
お知らせなのですが、中国入国にともなってFacebookが使えなくなりました。
それだけではなく、ヤフーもGoogleもGmailもGoogleマップも全滅です。
ブログに関しては更新はできるのですが、記事を見ることはできません。
他の全てのブログが見られません。
なので僕が今まで使っていた連絡手段が全部シャットダウンしてしまいました。
使えるようになるのは20日後に香港に抜けてからです。
なにやらVPNとかってアプリを利用すればこれらが使えるようになるらしいのですが、なんせ機械音痴なので諦めました。
そして中国の友達に手伝ってもらった結果、ひとつだけ連絡方法を開設できました。
QQというSNSです。
LINEみたいなものです。
もし僕に何かご用がありましたら、このQQをダウンロードしてもらい、アカウントを取得してから友達検索でこちらの番号を検索してください。
1280709841
そしたら僕が出てきます。
ここならメールの受信が可能です。
お手数ですが、どうぞよろしくお願いします。
風邪と下痢でひどい体調ですが、中国人たちが助けてくれています。
泣きそうになるくらいみんな優しいです。
それでは少しリハビリに散歩に行ってきます。
みなさんの今日が良い1日でありますように。