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ラブレターもらった

4月28日 月曜日
【オーストラリア】 ブリスベン






「フミ、充電アダプターの調子が悪いって言ってたよな。これを使うといいよ。」


普段そんなにお喋りではない旦那さんのマーク。
寡黙とまではいかないけど、冗談を言って大笑いするようなタイプでもない。

クールなおじさん。


そんなマークが俺に充電アダプターを持ってきてくれた。
つい2日前から壊れて充電できなくなっていたのだ。



「フミ、ニュージーランドの気温は知ってるかい?今から南半球は冬になる。そしてニュージーランドの南部は氷河があるような寒いところだ。だからこれを持って行くんだ。」


また何かを部屋から持って来たマーク。

それはあまりにも上等で、まだほとんど新品とも言えるような防寒ジャケットだった。

かっこいいデザインのスキーウェアで、これでもかってくらいすごく温かい。
おそらくかなり値段も張るような物のはず。


「そんな!こんな立派なものもらえないです!!」


「いいのいいの、マークこういうのたくさん持ってるから着ないやつがあるのよ。だから気にしないで持って行って。ニュージーランド本当に寒いから。」



ニュージーランドは完璧野宿とヒッチハイクで回ろうと思っていた。

厳しい手つかずの自然が残ると言われるニュージーランド。
フィヨルドと氷河があり、あの星マニアのユウタ君が世界で1番星の綺麗なところと言っていた場所。

そしてどこか北欧のノルウェーをイメージさせるものがある。


ラップランドを突っ切って北極圏の果てまで行ってやる!!と冒険心のおもむくままにどこまでも北を目指したあの日々。

大自然とヒッチハイクと凍えるような寒い夜。

全てが新鮮で、あれこそが見果てぬ旅だった。


またあの気持ちを味わいたい。

最果てへと向かう孤独な道をまた進みたい。




先日、ヌーサで森に隠していた荷物を漁られた時、アメリカでもらった防寒着の上着を持っていかれてしまった。

どうにかしないといけないと思っていたところで、こんなにも素晴らしいジャケットをいただけるなんて。



必要なものは必要な時に手に入る。


と昔はカッコつけて言っていたけど、それだけじゃ片付けられないよな。
どうして手に入ったのか、それがとても大事なことだもんな。














「あ、金丸さん、ちょっといいですか?」


テラスでコーヒーを飲んでいるとアンナちゃんが何やら緊張した様子でやってきた。
なんだかモジモジして恥ずかしそうにしている。





ちょ、ちょっと待ってよ………

この空気、







告白する前のあの感じやん。



ええ!!待って!!
アンナちゃんのことはすごく可愛いくて魅力的だとは思うけど俺には彼女がいるんだよ!?



「あの………ずっと渡したかったんです……これ………」



顔を赤くしながら手紙を差し出してきたアンナちゃん。
胸がドキドキしてたまらない。

photo:01






よし、もうキめた。

もうここまでしてくれたんだ。
こうなったら山梨に婿入りしてブドウ農園やって、ほうとう食べて、石和温泉入って、甲府の飲屋街でひたすら長渕のモノマネ弾き語りやってるオッさんと仲良くなって、武田信玄の屋敷のウグイス廊下を音を立てずに歩けるようになろう。

ほうとう美味しいんだろうな!!







photo:02




ん?裏に何か書いてる。








え?

photo:03















………………

photo:04







「これかネまるさんに渡してってタビジュンさんに言われてたんですよー。あー、渡せてよかったー。」







暇人すぎる。

あの人、英語学校行ってるからって暇人すぎる。





タビジュンさん、一言いわせてください。


めちゃくちゃ嬉しかったです。

やっぱりどっかで会いたいですよ。
飯行きましょうね。




というわけでベッドイン。

photo:13






嘘おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!

ただソファーに座ってお互いブログ書いてるだけ!!!!

また彼女からブチ切れメールが来るかな………









さて、というわけでA子さんにお世話になりっぱなしでマジで何か出来ないかと考え、アンナちゃんと2人で料理を作ることに。

photo:05





俺はいつものドライカレー。
アンナちゃんは玉ねぎとトマトを炒めたやつ。

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こんなことしか出来ないけど、A子さんに美味しいって言ってもらえて嬉しかった。

ていうかアンナちゃんの料理、美味しい。

photo:07















それからアンナちゃんのオーストラリア出国に備えて、アメリカドルを手に入れるべく近くのショッピングモールに行き、金の換金。

まだ換金の仕組みとかなんにも分からないというアンナちゃん。

確かにまだここが最初の国だもんな。
俺もはじめの頃は何にも分からんかったなぁ。



photo:08




俺もこれからのニュージーランドに備えて、なくした野宿マットを買った。
12ドルでかなりクッション性もあって、寝やすそうだ。
キャンプ旅にはマットは必需品だもんな。


これで快適な野宿ライフ!!


キャリーバッグも新しくなったし、こっから危険な国もないし、お金も貯まってるし、アジアなんてただの遊び場だな。







photo:09




家に戻り、みんなでしばらくお喋りしていると子供たちが学校から帰ってきた。

そしてついにアンナちゃんの出発の時間になった。

みんなで車に乗ってダラの駅へとやってきた。

かなり重たいキャリーバッグを引きずりプラットホームへ。

涙ぐみながら別れを惜しむケン君とアキラ君。

その2人と優しくハグするアンナちゃん。

photo:10






俺はもうすぐ世界一周が終わる。たくさんの場所に行ってきた。
でもアンナちゃんの旅はまだまだこれからで、知らないものに溢れている。

別に旅に対してそんなに情熱とかないんですよねと話していたアンナちゃん。


大丈夫、オーストラリアはただの日本だから旅人を熱くさせるような場所ではない。

これからもっともっと、エキサイティングで美しい旅情がアンナちゃんを待ち受けているよ。

ファインダーの向こうにアンナちゃんが何を見つけて、何を感じるのか。
ブログで楽しみにしてるね。

じゃあ元気で!!

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って実は、

アンナちゃんがシンガポールに到着する日、5日19日。

俺がシンガポールに到着する日、5月18日。


空港泊で乾杯確定やな。

ビール用意して待ってるね。

photo:12












家に帰り、寂しくなった食卓を囲んでみんなで晩ご飯。
パスタと夕べのラムチョップ。

photo:14





やっぱりA子さんの料理が美味すぎてかなりの量があったのにあっという間に全部なくなってしまった。




「フミ君、明日はこのダラの駅からローマストリートで乗り換えて、バスを乗り継いで、だいたい11ドルくらいで………」


食後にA子さんとパソコンでゴールドコーストまでの行き方を調べる。

ヒッチハイクで行こうと思っていたのだが、そんなにバカ高くなければ電車でノンビリでもいい。

1時間半の距離で11ドルってのを安いと思っている自分の金銭感覚にももう別に驚かない。

これは安い。
明日は電車でゴールドコーストに戻ろう。

かつて旅行代理店で働いていたA子さん。
旅程表を作るのはお手の物のようで、すごくわかりやすい一覧を作ってくれた。






「ちょっといいもの飲もうか。」


A子さんがいたずらにそう言って棚から出してきたものは………


photo:15




日本酒(´Д` )

し、死ぬ(´Д` )



し、しかも燗とかつけちゃいますか。


純米のまろやかな旨味と、生酛の芯の強さが鼻に抜けてオシッコ全漏れ。

オリーブをつまみながら純米とか、酒飲みからしたらもう殺人的な贅沢さだよ………






一体なんなんだ、この優しさは。

俺にこんなにしてくれてA子さんやご家族になんの得がある?

なんにもない。

では得があるからやるのか?
俺にしてもらうだけの価値があるのか?

自分じゃわからない。


でも俺は俺のままで、感謝を忘れずに生きていきたい。
俺は俺だもん。





少し飲みすぎて、重たい頭で部屋に入った。

もうすぐオーストラリアも終わり。






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