3月15日 土曜日
【チリ】 イースター島
昨日食べた玉ねぎと豚肉の醤油炒めがあまりにも美味しかったのでもう1度インスタントラーメンで同じメニューを作った。
海外のお肉って脂身がなくて淡白であんまり美味しくないんだけど、イースター島の豚肉はマジで美味い。
角煮とか作るのにバッチリな脂身具合。
1人でキッチンでマジやべぇ……!!マジ美味え……!!って言いながら腹ごしらえしたらギターを持って宿を出発。
相方のユキさんが明日の便でイースターを離れるので一緒に歌えるのも今日まで。
昼夜、歌いまくるぞ。
今日も最高の天気の中、ギターポロポロ鳴らしながら村の中を歩いていると、通り過ぎる人みんなが手を上げてきたり声をかけてきたりする。
「へーい、調子はどうだい?」
「オーイ、ちょっと弾いてくれよー。」
「おー、ジャパニーズ、今日も仕事かい?」
家の中からわざわざ出てくる人、車のスピードを落として横に来て話しかけてくる人、
アジア人がギター持ってるってのがよほど珍しいんだろうな。
ていうかギター自体あんまりこの島で見かけないので本当に音楽に飢えてるのかもしれないな。
友達待ってるからーとみんなに手を振りながら歩いた。
そして拉致られる。
送って行ってやるから乗れ!!って言ったのに歌わないと降ろさないみたいな空気に(´Д` )
ドライブするから横で歌ってくれって言われて、何言っても聞いてくれないので狭い助手席でギター鳴らして歌う。
道ゆく人や、対向車の地元の人たちが、お、なんだそいつ?みたいな顔で見てくるけど、こいつは俺の友達さって感じで自慢げな顔のオッさん。
ただの暇な島のオッさん。
いや、全然悪い人ではないんだけど強引すぎていくら友達と約束してるからと言っても、ウチに来てマリファナ吸おうぜ、うん、そうしよう、よし行こう、と何も聞いてくれない(´Д` )
ちなみにイースター島の人たちは若者からオッさんまで普通にそこら辺でマリファナ吸ってます。
ちょっと変わった感じのあまり乾いてない細長いやつ。
そこら辺に自生してるみたいです。
こんな隔絶された孤島で培われてきた島の人々の生活。
何が悪くて何がナンセンスだとか、そんなものを押しつけることはできないよな。
ようやくオッさんの車から解放されて、遅くなったなと宿に向かっていると、先の方から歩いてくるユキさんを発見。
「おはようございますー。」
「おはようございますー。じゃあそこのレストランから行きましょうか。」
「え、ええ!?この格好でもいいですか?」
「大丈夫!!行っちゃいましょう!!」
てなわけでいつものハイパーイケメンがいる海沿いのホットドッグ屋さんからスタート。
やっぱり昼間からでもめちゃ盛り上がり、みんな椅子を俺たちに向けて聞いてくれる。
家族連れ、カップル、老夫婦、もちろん日本人の観光客の方も、
みなさんお金を入れてくださり、順調に回っていく。
名物の巨大ホットドッグ。
しかしやっぱりお客さんがたくさんいるのは限られたお店だけで、一回りして3軒しか歌えなかった。
驚くのはたったの30分ほどの演奏で19500チリペソ、40ドルというあがり。
は、半端じゃねぇ(´Д` )
やっぱりめちゃくちゃ稼げるぜ、イースター島。
「今朝、市場で金目鯛みつけたんですけど金丸さんも一緒に食べませんか?」
ユキさんがそう誘ってくれる。
なにやら今日本人宿のハレカポネに元料理人の人が泊まっているらしく、その方が金目鯛でいろいろと作ってくれているみたい。
すげえ!!
他の宿同様、ハレカポネも宿泊客以外は敷地に立ち入ることも厳禁で、この前はギターをユキさんに預けていたんだけど、他の宿の人の荷物を置かないで下さいと怒られたそう。
ギターだけなのに。
まぁそういう決まりだから仕方ない。
てなわけで夕方にみんなで海岸に料理を持っていき、夕日を見ながらのピクニックをすることにして、ひとまず俺は宿に戻った。
コーヒーを飲みながらノンビリと日記を書き、夕方になってからまたギターを持ってキャンプ場を出る。
ハレカポネに行くとすでにご飯が出来ていて、みんなでお皿を持って海岸へと歩いた。
すでにみんな歌を聞きに来てくれたりどこかで会ったりしているのでほぼ顔見知りだ。
海岸沿いの景色のいいベンチに料理を広げる。
金目鯛の煮付け、刺身、バター焼き、そして焼きそば。
元料理人のイノさん、神すぎる(´Д` )
「いやー、元々イタリアンやってたんで和食はわかんないです。」
いやいや、マジで死ぬほどうめええあえええええええええ!!!!!!
金目鯛とか日本だったらめちゃ高級魚をこんなに贅沢に食べられるなんて。
しかも目の前には果てしない太平洋と水平線に沈む夕日。
心地よい風を浴びながら外で食べるご飯の美味いこと美味いこと………
「うっめぇ!!」
「うますぎるうう!!!」
「何この焼きそば!!?紅生姜とかどうしたんですか?!」
自炊用に日本から数々の調味料を持ってきているイノさん。
この前はカレーを作ったらしい。
こういうスキルを持った人が宿にいると毎日が楽しくなるよなぁ。
みんな大満足でご飯を食べ終え、夕日も沈んだところで俺とユキさんはもうひと仕事。
レストランバスキング、夜の部だ。
夜に来てねーと声をかけてもらっていたお店を中心に回っていく。
やはり夜は盛り上がる。
アンコールが止まらない。
2軒目のレストランを終えて次へ向かっているところに1人の男性が追いかけてきた。
「おーい、今うちの宿でバーベキューやってるんだけど、そこで歌ってくれないかい?」
そう言って1万チリペソを渡してきた兄さん。
うおお、2千円だぞ。
もちろん断る理由もないので一緒に兄さんの宿へと向かった。
ワイワイと盛り上がってるのかなと思って来てみたら、ホテルの庭で3~4人がのんびり魚を焼いてるだけだった。
でももちろんちゃんと歌いますよ。
誘ってくれたロシア人の兄さんがお酒をくれたりアイスを買ってきてくれたり、何かともてなしてくれる。
この物価の高いイースター島で大盤振る舞いだなと思っていたら、なにやらこの兄さん、ついこの間まで南極の観測基地に1年間滞在していたというすごい人だった。
任務を終えてゆっくりロシアに帰る途中なんだそう。
本当色んな人がいるもんだ。
そんな兄さんがある面白い動画を見せてくれた。
なにやら黒人の渋いおじさんが路上でスタンドバイミーを歌っているもの。
確かに激渋ですごくいい演奏だ。
でもこれだけかな?
と思っていたら場面が変わり、違うお爺さんの路上シンガーが出てきてボソボソとスタンドバイミーを歌っている。
また画面が変わりそこにイタリアかどっかのサックス吹きが入った。
さらに今度はアフリカの大地に変わりコンゴかどっかの黒人パーカッションが入った。
すごい。
世界中の路上ミュージシャンのスタンドバイミーをつなぎ合わせてひとつのスタンドバイミーを作ったビデオだった。
マジで痺れた。
世界中の様々な形のスタンドバイミーが重なり、分かりやすく国境や人種を超えた音楽になっていた。
すっげぇ、と思うと同時に少し後悔。
俺もこういうプロジェクトを何かすれば良かったなと思った。
せっかく世界を回るんだから、何か面白いことができたなと。
世界中の音楽仲間ときっと何か熱いアクションを起こすことができたはず。
そんなアイデアまったくなかったなぁ………
ただ回るだけなんてつまらない。
路上で稼ぐということも、やろうと思ったらどうにでもなる。
旅人は忙しいとか言う人いるけど、はっきり言ってそんなことまったくない。
観光して路上して日記書いてブログあげて移動して、
そこそこ忙しいけど日本で働いてるサラリーマンに比べたら甘ったれんなってレベル。
時間なんていくらでも作り出せる。
どうせ世界を旅するなら、もっと何か創作することが出来るはず。
世界一周ってそれくらい刺激的で色んな可能性を秘めていることだと思う。
旅も佳境に近づいてきた今となってはもう今回の旅ではそんなチャレンジは出来ないけど、訪れたほぼ全ての国に友達が出来ているんだ。
いつかきっと世界中の仲間と面白いことをやりたいな。
夜のあがりは23100チリペソと6ドル。
50ドルか。
旅も残り少ない。
後悔しないよう、最後まで全力で駆け抜けてやる。