3月3日 月曜日
【ペルー】 山の中
~ 【ボリビア】 ラパス
バスの中で寝ることに慣れざるをえない南米。
移動が長い。
当たり前だ。
都市をつなぐだけだけど、南米大陸ってのは本当はものすごくでかい。
若い頃は宮崎から博多の4~5時間の高速バスで遠すぎて死んでしまう!!とか思っていたけど、今では12時間くらいだったら、え?そんなもんでいいの?近いね、ってな具合だ。
相変わらず睡眠はちゃんと取れないが。
目が覚めるとボリビアとの国境にいた。
建物が並び、小さな町になっている。
まだ早朝なのにたくさんの人が行き交い、いつものラテンの音楽が陽気に広場に鳴り響いている。
バスを降りるとひんやりとした風に震え上がった。
ボリビアはペルーよりもさらに標高が上がるとは聞いていたけど、朝の冷え込み方は完全に日本の真冬の気温だ。
張り詰めた空気と朝日が、国境のゲートを爽やかに照らし出している。
ぶるぶる震えながらまずはペルーの出国カスタム。
いつものように2秒でスタンプゲット。
そこから歩いてゲートを越え、国境となる橋を渡る。
静かな湖面がどこまでも広がり、はるか向こうの空に絵に描いたような雲が浮かんでいる。
インディアンのおばさんたちのかぶっている帽子の形が変わり、どこかまだ寝ぼけている夢の中のよう。
橋を渡ったところにあるボリビア側の入国カスタムに並び、ささっと手続きを済ませる。
ここもまた荷物チェックもない簡単なもの。
ただこの辺りの国ではイミグレーションで入国カードの半紙を渡されるので、これをしっかり出国時まで持っておかないと入国の記録が残らず罰金を取られる可能性がある。
手続きを済ませたら待機しているバスに乗り込んですぐに出発。
寝ぼけたままの頭でよく覚えていないままボリビアに入国した。
ボリビアって何があるんだろう。
日本にいるころはその名前すらよく知らなかった。
ただの名もなき小国で、南米の最貧国とも言われている。
そんなボリビアのミニお国情報。
★首都………スクレ
★人口………980万人
★言語………スペイン語、ケチュア語
★通貨………ボリビアーノ
★レート………1ボリビアーノ=15円
★世界遺産………文化5件、自然1件
アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、
世界には有名な国がいくらでもある。
そんな中で南米の小国のボリビアなんてマイナーな国、行く価値なんてない。
しかしこのボリビアに現在、世界中から、特に日本から膨大な数の旅行者が押し寄せているのは、もちろんウユニ塩湖によるところ。
日本にいるころ、ユニクロかなんかのCMを見て、その空に浮いているような美しい湖の風景に世界にはこんなCGみたいな自然があるんだなぁと思った記憶がある。
きっとものすごい秘境で、とても簡単に行けるような場所ではないと、特に調べることもなかった。
あれがまさかボリビアにあったとは。
だからこそここまで来たんだが。
今でこそ日本人にとって世界屈指の人気スポット。
観光にそこまで興味のない俺でもここをはずことはできない。
あのこの世のものとは思えない美しい景色を必ず見てやるぞ。
バスは荒涼とした大地の中に伸びる1本道をどこまでも走っていく。
頼りない土でできた家がまばらに散らばっている。
ウユニ塩湖のイメージが強すぎてどんな国なのか想像しにくいが、このインフラの行き届いていない寂しげな様子が手つかずの自然が残る高地だということを教えてくれる。
そういえばボリビアは今、南米3大祭りのオルーロのフェスティバル真っ最中。
オルーロ自体はラパスから結構離れたところの町なんだけど、この時期はボリビア全体がお祭り騒ぎになっているみたい。
クスコでもそうだったし、アンデスの地域全域で祝うフェスティバルなのかな。
やがて盆地に広がる広大なラパスの街並みが見えてきた。
最貧国というイメージだけど、街の規模はかなりのものだし、高層ビルが立ち並ぶエリアも見える。
睡眠不足の体は疲れ切っている。
足の筋肉痛もまだひどいものだ。
でもこうして新しい街にやってくると体が疼く。
ここではどうやって稼げるだろうか。
どんな出会いがあるだろうか。
新しいジグソーパズルを与えられたような、不安とやり甲斐が入り混じった気持ちが湧き上がる。
まだこの街のピースはバラバラで何も見えない。
それをつなぎ合わせて1枚の絵を仕上げたいと思う気持ちこそ冒険心だ。
坂道を降りていき街に入っていく。
そしてバスは昼前に大きなターミナルに到着した。
たくさんの旅行者がベンチに座っているんだけど、相変わらず日本人の姿はとても多い。
みんな地球の歩き方やスペイン語の本を読んだりして時間を潰しているよう。
はっきり言ってこのボリビアではウユニ塩湖だけを見られればいい。
もうチリのサンチアゴまで6日しかない。
1日も無駄に出来ないし、もしまたペルーみたいにストライキでも起きてしまったら1発で終了だ。
ひとつのミスも許されない。
このラパスもそれなりに見所があるみたいだけど、今はゆっくり観光している時間はない。
今夜ここから夜行バスに乗り、明日の朝にはウユニだ。
体はかなりキツイけど根性があればなんとかなる。
空気が薄いのはどうにもならないが。
ううう……息苦しい………
ところで今この町にてっちゃんがいる。
ボストン在住で、先日クスコで再会し、あの地球の落書きのたいさんと引き合わせてくれたてっちゃん。
この街でやるべきことは、
まずWi-Fiを捕まえててっちゃんに連絡しどこかで会うこと。
お金をボリビアの通貨、ボリビアーノに両替すること。
今夜のウユニ行きのバスチケットを購入すること。
そして路上で歌って少しでも稼ぐ。
これを数時間以内にクリアーしないといけない。
お腹は空いているけど
もうゲームでいったら画面の右上にタイムリミットの表示がされて時間は減り始めている。
よし、ミッション開始。
「あー金丸さんー、今着いたんですか?」
バスターミナルを出た瞬間に、クスコで会って少し話をした、ギターを持って世界一周をしているユウスケ君にバッタリ。
「え?Wi-Fiがいるんですか?じゃあ僕が泊まってる宿がそこだから行きましょう。言えば多分貸してくれますよ。」
うおおおお!!!!
いきなり助っ人ボーナス!!!
というわけでユウスケ君の泊まってるバッグパッカーズホステルへ。
優しいスタッフの姉さんにWi-Fiを貸してもらってすぐにてっちゃんにメールした。
すぐに返事が来た。
「ラパス着いたんだねー。じゃあ13時にバスターミナルで待ち合わせようかー。」
よし、あと1時間20分ある。
次のミッション行くぞ。
ユウスケ君マジでありがとう!!
スペシャル助っ人だったよ!!
荷物置いてっていいわよー、お金なんていらないわよー、と言う天使でしかないスタッフの女の子のお言葉に甘えて荷物を置かせてもらい、すぐに街にダッシュ。
次のミッションはお金の換金。
ペルーのソルが7500円分あるので、これを換えればウユニまでの足代と塩湖のツアー代が出るはず。
軽く走りながら通りに出ると、そこでは道路を封鎖して大規模なパレードが行われていた。
色とりどりの民族衣装を着た人々が踊り、音楽を奏で、車道を練り歩いている。
このラパスもまたフェスティバルの真っ最中だった。
そんな大混雑の人混みの中をかいくぐりながら中心部へと走り、換金屋さんを探して回る。
ボロボロの味わいある街並みと路地が広がる旧市街地域、こ綺麗なレストランやショップが並ぶ新市街のホコ天通り。
換金屋さんを探しながら路上ポイントの目星もつけていく。
やるなら新市街だな。
ダッシュで街を駆けずり回っているんだけど、換金屋さんがまったく見つけられない。
というかほとんどのお店が閉まっており、パレードをやっているメインストリート以外はまるでゴーストタウンみたいだ。
人に尋ねて回っても、やはりどこのお店も銀行もフェスティバルの影響で閉まっているという絶望的な状況。
ヤベェ。
換金できなかったらバスチケット買えねぇじゃねぇか!!!
どうすればいいんだー!!
てっちゃんとの待ち合わせまであと20分しかねぇよおおおおお!!
と1人浮かれまくっている街の中でテンパっていると、いきなり顔面に何かがブチまけられた。
オオオオオラアアアアアア!!!!
今それどころじゃねっちゃられらりられ!!!!!
すると屋台が並ぶ賑やかな通りの角で椅子に座ってるおばちゃんがこっち来い来いと手招きしている。
手に電卓を持っている。
あ!!換金屋だ!!
レートがなんぼか知らないけど、ペルーソルだったらこれだよーと電卓に打ち込んでくるのをスーパー笑顔で交渉して少しまけてもらい、ペルーソル全部おばちゃんに渡して490ボリビアーノをゲット。
1ボリビアーノが15円くらいなので7300円!!
よっしゃオラアアア!!!
換金ミッションクリアー!!!
ブシャアアアアアアア!!!!
ああああ!!!うぜえええ!!!!
人混みをかき分けてダッシュでバスターミナルに向かう。
電光掲示板に表示されている時間は13時55分。
よかった、約束の時間にギリギリ間に合うぞ!!!
…………て、あれ?
待ち合わせ13時じゃなかったっけ?
なんで今13時55分なんだ……?
はい時差。
てっちゃん1時間放置。
クスコからラパスで時差発生とかもうわけわかんねぇ地球のシステム!!!
ドギュン!!!
猛ダッシュで坂道を駆け上って心臓爆発しそうになりながらターミナルに到着すると、入り口のところにてっちゃん発見!!!
「うおおおおお!!!てっちゃん俺を殴ってくれえええええ!!!」
「俺もさっき着いたんだ。さ、日本食食べに行こうか。」
時差で遅れるだろうということを計算に入れていた天才、てっちゃん。
「やっぱりてっちゃんすげえ!!もうウユニのこととか全くわからないからお願い!!一緒に行こう!!」
「やだよー、行ってきたばっかりだもんー、せっかく車チャーターしてたいちゃんたちと金丸ちゃんのこと待ってたのに来ないからさー。」
「あへ、あ……す、ストライキがありまして……これでも結構頑張って飛ばして来たんです………ゴメン。」
「まぁとりあえずバスチケット買おう。えーっとねー、ウユニ行きは3つの会社があってねー、130ボリビアーノくらいが相場で、今は大学生が多いからいいバスから埋まっていくから安いのが空いてるはず。パナメリカーナは安いけどバスがボロくて有名だからマスクかなんかで喉をガードしないと砂埃がキツイからねうんたらかんたら………」
もうてっちゃんと旅してええええええ(´Д` )
この時間がない状況で歩く地球の歩き方と動けたらどれだけ心強いか。
おかげで最安でボロいバスで有名なパナメリカーナのチケットをゲット。
19時出発で110ボリビアーノ。1650円。
「本当はねー、このラパスにけんちゃんっていう日本食屋さんがあってそこのカツ丼がマジで美味しいから連れて行ってあげたかったんだけど今休みで水曜日からなんだよねー。だから別のところに行こう。あ、ここが一応観光のメインの通りで~~ストリート。それからここが魔女通りって言われてて怪しい薬草とか道具とかが売られてるんだ。あ、おれはリャマのミイラだようんたらかんたら………」
トニーテツヤ、現在彼女なし。
そんなてっちゃんにゴミゴミしたラパスの街を案内してもらいながら、やってきたのはてっちゃんが泊まってるホテルのレストラン。
「おごるから好きなの食べて。」
「ダメだよ。今は同じ旅行者やん。」
「いいのいいの、俺もうすぐ帰るし、どうせロクなもの食べてないんでしょ?しっかり食べて南米脱出しなきゃねー。」
ビールを飲み、カツ丼を食べる。
有名なけんちゃんには遠く及ばないらしいけれど、久しぶりの日本食はものすごく美味しい。
味噌汁うますぎる………
トニーテツヤ、彼女募集中。
「どうもどうもー。」
「あ、はじめましてー。」
そこにやってきたのは………
たいさん、そして一緒にロライマ山を登っていた常さんだ。
「なんかストライキで動けなかったみたいですね。」
「そうなんです………このメンバーでウユニ行きたかったー。大学生だらけのとこに行くの怖いー。」
「でもねー金丸ちゃん、ウユニにいる女の子、本当にレベル高いから。ただの渋谷とか歩いてるオシャレな子がわんさかいるから。」
「ピカチュウのコスプレした子がいるんですけど、もう本当にものすごく可愛いです。マジでものすごく。」
「あー、金丸ちゃんのブログにピカチュウとイチャイチャしてるとこ出てきたらマジでムカつくなぁ。」
「その時は絶交だな。」
たいさんは俺がブログランキングを始めるずっと前からランキング上位にいた人。
とにかく旅関係のことに詳しいみんな。
それから屋上のテラスに移動。
「もう僕明日のフライトで日本ですからね。今日最終日です。金丸さんはこれからアジアでしょ?まぁ今年いっぱいはかかるだろうなぁ。」
「そうだねー、インドで確実に3ヶ月はかかるからなぁ。それから陸路中国入りするためにパキスタン抜けるでしょ?ビザは根性でなんとかして、金丸ちゃん、やっぱり年内だね。」
「だめー!!本当に彼女から怖いメール来まくってるんだから!!それにしてもたいさん帰ったらあの当時の人たちほとんどいなくなっちゃいますね。」
楽しい話は尽きず、いつまでもここにいたいところなんだけど、俺も先に進まないといけない。
ウユニが待っている。
たいさん、これからの日本での生活、楽しんでください。
旅、お疲れ様でした!!
常さんとたいさんに別れを告げて、てっちゃんと一緒にバスターミナルへ。
たいさんがいなくなると本当に一時代が終わる感じだなぁ。
あの世代って個性的な面白い人たくさんいたよなぁ。ブログランキングがメジャーな存在になったのは間違いないけど、その分ポップな旅人が増えたと思う。
攻める旅をしてる人があまりいないし、ガンガン自己主張することを書く人もあまりいない。
別にランキングのために旅してるわけじゃない。俺のブログなんて毎日書いてる日記に写真貼り付けてアップするだけのもの。
Wi-Fiがなきゃ更新できないし、そんなもんでいいと思う。
でもやっぱり世界を旅してるやつのブログのランキングって面白いカテゴリーだよな。
これからも個性的な面白いランキングになったらいいなと思う。
さぁ!!頑張って南米クリアーしたら今度はオセアニアだ!!
てっちゃん、いつも本当にありがとうね!!
て、てっちゃん!!??
ドシュウウウウウ!!!!
ジャバアアアアア!!!!
…………おおおおらあああああああああああああああ!!!!!
もう許さねぇぞこのボケどもが!!!
俺の肉スプレーで呼吸止めてやるぞ!!!
せっかくトイレで綺麗に洗ったのに、少し外に出たら一瞬でターゲットにされてぐちゃぐちゃになってしまう。
頭から水かぶせられて服濡れまくり。
ラパスって半端なく寒いんですよ。富士山の頂上で水かけられたらまずキレますよね。
ていうか危険ですよ。
おおおおおおおおらあああああああああああああああ!!!!!
おっぱい揉みまくるぞ!!!!
はい、というわけでてっちゃんに見送られてびしょ濡れでバスに乗りました。
ついにウユニですからね。
同じバスに日本人だらけですね。
友達できるかな!
よーし、可愛い巨乳の女の子とイチャイチャしながらツアー行ってやる!!