12月29日 日曜日
【コロンビア】 メデジン ~ バス移動
目が覚める。
コーヒーを飲んでサキちゃんが作ってくれた朝ごはんを食べる。
カオリさんをそろそろ起こそうかと相談を始め、ナオちゃんがカオリさんを揺すり起こす。
いつもの変わらぬ1日。
今日も歌いに行こうか。
いや、今日はメデジンを出発する日。
長かったメデジンともこれでさよならだ。
遅くなったけど、ここでコロンビアのミニお国情報。
★首都……ボゴタ
★言語……スペイン語
★人口……4600万人
★通貨……コロンビアペソ
★レート……1ドル=1900ペソ
★世界遺産……文化4件、自然2件
1500年にスペイン人がやってきてから植民地となり、その支配は1810年の独立まで続く。
コロンビアと聞いて誰もが思い浮かべるのは、その治安の悪さだと思う。
ゲリラやテロリストによる反政府活動の内戦が繰り広げられ、コカインの産地として麻薬カルテルの戦争など、世界で1番行きたくない国とイメージする人も多いと思う。
しかし現在は内戦も終わり、治安はかなり改善されてきているんので、今回の滞在みたいに平和な日々を送ることができた。
もちろん、行ってはいけない地域。
出歩いてはいけない時間があるのは忘れてはいけない。
それさえ注意していればコロンビアはサルサ音楽に満ちた陽気な国民性で、南米では珍しい先進国の空気を味わえるし、何より美人の産地として毎日美人と巨乳に出会える。
観光地も結構あるし、パナマやグアテマラから一気にエクアドルに飛んでコロンビアをスルーしてしまうのはもったいない気もする。
まぁやっぱりペルーやボリビアに比べるとかすんでしまうところはあるけれどね。
まぁなんと言ってもコロンビア最大の観光地はカオリさんの家!!
この愛に溢れた女性がいつもここで笑顔でいられるようみんなも彼女を愛してあげてください。
荷物をバッグに詰め込んでいく。
でも詰め込むバッグは今までのものじゃない。
新しいバッグゲットしたぞー!!
この旅、4代目のキャリーバッグを襲名したのは!!
これ!!
はい、コロンビアの主婦の味方、スーパーマーケット、イグジトのお買い物キャリーです。
お婆ちゃんが持ってるやつ(´Д` )
いや、これウケ狙いじゃなくてマジでいい。
タイヤでかいから石畳もなんのそのだし、コロンビアの人が見たら食いつくこと間違いなし。
値段いくらと思いますか?
カオリさんが持ってたイグジトのポイントカードのポイントを使って千円です。
やっしいいいあいい!!!!!!
コロコロ滑らかあああああああ!!!!!!
ああ、ただのゴミを引きずってた中米キツかった………
ほら、もうただのゴミでしかないもん。
カリフォルニアのベニスビーチで4千円で買ったバッグ。迷いなくゴミ箱にダンクシュートしました。
グッバイ。
荷物をまとめたりシャワーを浴びたりやることは色々あるけども、予想通りこのメンバーでは時間ギリギリまでゆっくりしてしまうといういつものパターン。
慌ててバタバタと準備していると、出かけていたケータ君が帰ってきた。
バイクの名義変更という最後の手続きに行っていたんだけど、苦笑いしながらカオリさんにそのむねを報告するケータ君。
「カオリさん、お願いがあるとですが…………」
「どうしたの?」
「…………あと8日ほど泊めさせてください!!」
どうやら名義変更の手続きをしに行ったところ、役所が今日から年末休みに突入したらしく、休みが明けるのが1月の7日なのだそう。
つまりそれまでケータ君はメデジンを動くことができない。
はい、もうケータ君とどこかで落ち合う可能性ゼロ。
ただでさえバイク移動は時間がかかるのに、10日もタイムラグができてしまったらもうケータ君は俺に追いつくことは不可能だろう。
長かったケータ君との旅もこれで終わりか。
寂しいけど、お互いにとってはいいことかもしれない。
俺もケータ君も1人のほうが攻める旅が出来るしな。
まぁ俺はまだしばらくナオちゃんと移動することになりそうだし、次の目的地のエクアドルに行けば、しばらく前に別れたあの2人が待っている。
「最後にみんなでご飯食べに行きましょう!!」
カオリさんの提案で、泊まっているメンバー全員でご飯を食べに。
俺とナオちゃん、そして星マニアのユータ君が今日ここを出て行く。
その入れ替わりでまた別のバッグパッカーが3人やってきている。
総勢11人でゾロゾロとご飯を食べに行った。
なんだろう、カオリさんの家。
まるで友達の家に遊びに来ているみたいだった。
昔高校生の時とかに友達の家で夜中まで遊んで雑魚寝したような、あんな懐かしさがあった。
もちろん、甘えが過ぎてカオリさんを不快にさせるようなことは決してしてはいけないし、カオリさんも俺たちに注意するところはする。
でも俺たちを頼ってくれるカオリさんの性格がとても居心地よく過ごさせてくれた。
無料で泊めさせていただいているのに、カオリさんはいつも俺たちに何かをしてくれようとする。
本当は俺たちがカオリさんにしなければいけないのに。
泊まってるみんなも、カオリさんも、みんなとても大人だった。
ご飯を食べ終えた時点で、すでにバスが出る30分前。
バタバタとタクシーを捕まえる。
「元気でね、気をつけて旅をするんだよ。」
いつも外出する時、帰って来た時、必ずハグをしてくれるカオリさん。
タクシーに乗る前にまたカオリさんとハグをした。
本当に愛すべき人。
世界の片隅にこんなオアシスがあるなんて、やっぱり旅は面白い。
カオリさん、そして数日を過ごしたみんな、ありがとう。元気で。
「あああー………寂しいなぁ……泣きそうですよ。」
バスターミナルの中で見送りにきてくれたケータ君が笑いながら言う。
メキシコの泥酔の毎日、
初の2人でのヒッチハイク、
オアハカの死者の日、
グアテマラへのインディージョーンズみたいな国境越え、
失恋、
アンティグアでの料理の日々、
パナマでの再会、
地獄のカリブ海漂流、
数え上げればたくさんのことをしたなぁ。
楽しかったことも苦しかったことも。
もはや旅に出る前、日本にいる時からずっと知っていたような、そんな親近感さえある。
マジでこんないい奴なかなかいない。
彼氏を探してる方はケータ君狙ってみてはどうですか?
人柄はマジで保証します。
まぁ女の子から見て素敵かどうかはわからないけどね。
男の俺から見たら、こんな素直で男気のあるやつはなかなかいないよ。
ケータ君、南米バイク旅、マジで気をつけて。
俺も気をつける。
お互い人が大好きで、たまに入り込みすぎて痛い目を見ることもあるけど、これからもそんな旅をして行こう。
無事に会ってまたビール飲もうな。
ボリバリアーノ会社のバスは30分遅れの15時にメデジンのターミナルを出発。
ここから20時間の移動でエクアドルとの国境の町、イピアレスまで乗り換えなしの直行だ。
ゲリラや強盗が活発になるというクリスマスシーズンは終わったが、それでもこの年末年始も普段に比べたら彼らはよく出没するという。
だいたいこのルートを通る旅人はお金などの貴重品をいくつかに分散させて持ち、さらに腹巻や内腿に忍ばせて移動に臨む。
心配は少しはある。
でもこのボリバリアーノはゲリラにみかじめを払って襲わないもらうよう手を打っていたり、さらに出発の際に乗客全員の顔をビデオカメラで撮影して回るという念の入れよう。
人気のバス会社というのも分かる。
Wi-Fi付き、モニターでの映画上映、広い座席の間隔、
快適なバスはウネウネした山道をアクセルをふかしながらブンブン走っていく。
ほら、こんなに快適。
コロンビアは経済国ではあるが、都市部以外は広大なジャングルが広がる未開の地域に覆われた国土。
熱帯植物が生い茂る川沿いの道はどこまでも原始的だ。
こんな山奥で隠れてコカインなんか作ってんのかなー。
映画スカーフェイスでアルパチーノが買い付けをしたのってこんなとこだったっけ。
それも昔の話なのかな。
いや、コロンビアは今でも麻薬大国だよな。
そんな原生林の向こうに太陽が沈んでいく。
人間がいなくたって、自然は変わらず摂理を繰り返す。
果てしない南米大陸も2ヶ国目。
赤道を越えれば、そこは人生初の南半球だ。