12月8日 日曜日
【パナマ】 パナマシティー
部屋の中でベッドに横になって日記を書く。
でも書くことがないので一瞬で終わってしまう。
暇すぎるうううううう!!!!!!
パナマ運河にも行ったし、路上は出来ないし、飯は美味くないし、お母さんは早く帰ってこいってメールしてくるし、
気温だけじゃなく湿度が高く、ベッドに横になってるだけで汗がベタベタと体から流れる。
うーん、暇だなぁ…………
「ほいほーい、どうもー。」
その時ドミトリーの中に日本人の声がした。
うん?誰だ?
あ!!
ケータ君!!
な、何してるんだ!?こんなとこで!!
「いやー、着きましたよー。疲れたー………僕も中米ローカル南下してきましたよ。もちろんトラブル付きで。」
この宿にいるというメールを送ってはいたんだけど、こんなに早く到着するとは。
そしてやっぱりケータ君もあったみたい、トラブル。
場所はニカラグア。
ホステルに泊まっていて、夜に宿に帰ってきたら、部屋の中のバッグが丸ごとなくなっていたという。
「お前の友達ってやつが来てバッグ持って行ったぞ。なんだ?お前の友達じゃなかったのか?」
ってな感じのことを宿の主人が言ってきたそう。
メキシコでバッグを盗られたケータ君。
荷物がほとんどなくなった今、彼は45リットルという友達の家に遊びに行くんですか?みたいな小さなバッグひとつしかないんだけど、そいつが消えていたそう。
ふざけんな!!と他の宿泊客と揉めるが、みんな知らんぷり。
もはやこのバッグまでなくなったらさすがのケータ君でも旅続行は不可能。
そりゃ焦るはず。
諦めずに揉めに揉めて、警察呼ぶぞ!!みたいな状況になったとき、
なんと、
その宿の主人がめんどくさそうに奥の部屋からケータ君のバッグを持ってきたそうだ。
あー、はいはい、冗談だよ冗談、ジョーク。
まったくチーノはジョークも通じないのかい?
みたいにうっとおしそうに肩をくいっと上げたそうだ。
そして焦って他の宿泊客に問い詰めていたケータ君の仕草を真似して、バカにしてきたそうだ。
こーんなして慌てやがって、バカか?みたいな雰囲気で。
ふぅ…………アホすぎる。
アホにもほどがある。
俺の時と同じく、もしケータ君が簡単に引き下がり、自分の落ち度を責めるばかりで泣き寝入りをしていたら、宿の主人は腹の中で笑いながらバッグを盗んでいただろう。
なのにだ、盗んだ行為をジョークの一言で済まして、さらにバカにしてくるなんて、話を聞いただけでぶん殴ってやりたくなる。
「いやー、俺たち見事にトラブルに巻き込まれましたねー。」
「やっぱり中米は怖いね。」
もちろん彼の場合もラッキーという言葉は当てはまる。
逆上して襲ってきたら………って可能性も低くてもあり得る話。
これから中米を回る人たちは、俺たちの話を鵜呑みにして地元民に抵抗するような行為は絶対に控えてくださいね。
あくまでこれは己の嗅覚のみがアテになることですから。
そんな話をしながらケータ君と一緒に散歩に出かけた。
綺麗に整備されたハーバーを2人で歩く。
並ぶパームツリー、芝生や歩道橋、そして海の向こうにそびえる高層ビル群。
道端で売っているものカキ氷を食べる。60セント。
キツかった道のりの後の穏やかな時間。
やはり誰かと一緒にいるのは心を落ち着かせてくれる。
2人でノンビリと歩きながら新市街の方へ向かう。
路上が出来る場所をなんとしても見つけないといけないんだけど、旧市街のほうはとてもじゃないけど稼げそうな雰囲気のしないスラム。
あの高層ビル群の方に綺麗なショッピングストリートがある、と望みをかけているんだけど、前回1人で探した時は見事に見つけられなかった。
アメリカを思い出させるただのビジネス街。
ガレージトゥガレージ、つまり家と職場の往復といった感じで、街を歩く人がほとんどいなかった。
でもきっとどこかにあるはず。
なのだが………
今日もかなり歩き回ったがやっぱりいい通りは発見できなかった。
一応宿のスタッフに新市街の人通りの多いエリアを聞いてはいたんだけど、そのアルヘンティーナ通りもポツポツとカフェやレストランがあるだけで路上で歌えるような場所ではなかった。
「こりゃキツそうですねー。パナマ宿も高いし早く抜けてしまいたいです。」
そう言うケータ君。
もうこの国に用はない。
ケータ君が来て頭数も増えた。
船も探しやすくなる。
さらに今日、グアテマラにいたマユコちゃんがパナマ観光にやってくると言っていた。
明日になったらナオコちゃんも到着するそうですよとケータ君が言っている。
こりゃまたいつものメンバー集合になりそう。
エビちゃんとヨシコさんはまだニカラグアあたりにいるみたいなので、もう会えそうにないが。
女の子たちがどうするかはわからないけど、もし船で行くのなら、これだけ人数がいればすぐに船も手配できそうだ。
一刻も早く船を見つけてコロンビアに抜けてしまうぞ。
宿に戻りながら2人でいつもの魚市場へ。
セビッチェを食べながらビール。
すぐ誰とでも仲良くなる男だ。
どんな中米旅をしてきたのか、ケータ君ならものすごく濃い旅だっただろうな。
関係ないけどおっぱいがけしからん!!
宿に戻るとそこには日本人の女の子がいた。マユコちゃんだ。
「あー!!着きましたー!!金丸さん無事でよかったですー!!」
グアテマラのアンティグアで会ったマユコちゃん。
スペイン語の勉強をしていたんだけど、合間で観光に来たそう。
真新しいバッグパックを背負っている。
空港からこの旧市街地域まで、バスなら1ドルもしないで来られるんだけど彼女はそんなバリバリの旅人ではない。
コレクティーボというミニバンに28ドル払って来ていた。
うんうん、無理はしたらいけない。
女の子ならわけのわからないバスを乗り継いだり、スラムみたいな街を歩いたらいけないからね。
夜になるとこの旧市街地域、特に今泊まっているルナズキャッスルの周りはクラブ街と化す。
欧米人だらけで、そんな彼らのためのクラブがそこらじゅうでズンズン爆音を垂れ流して、ネオンがクルクル回っている。
昼間はただの静かな町。
建物の半分くらいが人の住んでいない崩れた廃墟で、ボロボロの古い地域なのに、そんな廃墟が夜になるとクラブに変身するという、完全に欧米人向けの観光地となっている。
ここは一応世界遺産。
そんな古い町並みを下品なクラブ街にしてしまうところに、これまた世界を旅してる実感がわく。
今泊まっているルナズキャッスルもまた完全なる欧米人宿で、パーティーホステル。
夜になると中庭がクラブになり、爆音が響き渡るという、宿の概念からしたら信じられないものだけど、欧米人宿にはこういうパーティーホステルがとても多い。
エアコンがないのでドミトリーの窓は開けっ放しなんだけど、宿の外からも中からもクラブの爆音と叫び声と車のクラクションがけたたましく鳴っており、それはそれで面白いんだけど毎晩これだとやってられない。
というわけで宿を移ることに。
同じ旧市街エリアの中にあるパナメリカーナというホステルへ。
ここもまた欧米人宿なんだけど、ルナズと違ってとても落ち着いた雰囲気。
清潔感があって設備も新しい。
欧米人旅人とのパーティーと出会いを求めてウキウキ楽しい宿に泊まりたいならルナズキャッスル。
ノンビリ映画を観たり、静かに過ごしたいならパナメリカーナだ。
ちなみにルナズはドミトリー13ドル。
シャワー冷水、ビール安い。
パナメリカーナは12ドル。
ホットシャワー。
宿のスタッフにコロンビア行きの船について尋ねてみた。
ここでオススメしているコースはこちら。
旧市街 ~ カルティ
ジープ移動
カルティ ~ プエルトオバルディア
スピードボート
プエルトオバルディア ~ カポルガナ(コロンビア)
サンブラス諸島への税金12ドル、そしてカポルガナという国境を越えたすぐの港までの移動、全てを含めて187ドル。
所用時間は1日。
地図にも載ってない、道もないようなジャングルの中の忘れ去られた港町を経由していくなかなかのハードコース。
しかしまぁキチンとコースは出来てるんだから、そんなに無謀な道でもないだろう。
問い合わせてもらったところ、4人で乗ってくれるなら水曜日にも出航できると言ってくれた。
もはや一刻も早くパナマを出てしまいたい。
明日ナオコちゃんが来たら聞いてみよう。
グアテマラであのインディージョーンズ国境越えをしたナオコちゃんならまず問題ないだろう。
今日もたいしたことのない1日。