2016年1月6日(水曜日)
【長崎県】 長崎市
眠い……………
ゆうべ、というかさっきまで飲んでたから、10時くらいまで寝ていたいところなのに起きたのは7時50分。
理由は駐車場。
夜間の最大料金が300円だったので、通常料金に戻る8時までに車を出さないといけないのだ。
後半はお酒を飲んでなかったのでもう酒は抜けているけど、やっぱり眠い。
でも8時までに出さないとものすごい金額になってしまう。
福岡は都会なので駐車場も高い。
うう…………………眠い…………
頭ボサボサで鼻水すすりながらなんとかエンジンをかけ、車を出庫させた。
あぁー………………眠いよー…………
寝ぼけまなこで車を走らせる。
長浜イエエエエエエエエエエエエエエエエイイイイイイイイ!!!!!!!!
朝ラー最高おおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!
もうこの看板の文字見たら眠気吹っ飛ぶますね。
大好きな大好きなラーメン、元祖長浜屋!!!!
この朝っぱらからオープンしており、すでにたくさんのお客さんで賑わっている。
長浜は市場だ。
長浜ラーメンってのは市場で働く男たちのために作られた食べ物。
だからこんな朝の時間から営業してるのだ。
喜び勇んで食券を買って入店!!
ここは昔からかなり特殊なお店で、入店と同時にラーメンの注文が完了しており、席について数秒でラーメンが目の前にドンと置かれる。
なのでもし麺の固さなんかのお好みがあったら、入店と同時に大声で伝えないといけない。
「ナマ!!」
「ベタカタ!!」
博多っ子にとっては普通なんだけど、こんな呪文みたいな言葉を入店していきなり大声で言うのはなかなかの度胸がいる。
席は大きなテーブルに相席で座るスタイルで、真ん中にお茶のヤカンと紅生姜なんかが置いてある。
ラーメンの味を濃くするためのラーメンダレなんてものは他の地域ではあまり見かけない珍しいものだけど、長浜系のお店にはよくある。
この時間のお客さんはオッちゃんばっかり。
市場の仕事帰りでラーメン食べながら酒を飲んでるオッちゃんもいるし、その横で今から出社ですといった感じの背広を着たサラリーマンもいる。
早い人は入店してラーメン食べ終わって店を出るまでに3分かからない人もいる。
それくらい長浜ラーメンはファストフード要素が強い。
席に座ってだいたい20秒くらい。
ラーメン到着!!
カタのネギ盛り!!
うおおおお!!!!やっぱり美味しい!!!!
昨日食べた長浜将軍も悪くはないけど、やっぱりこの元祖長浜屋の味はどことも違うもの。
あっさりしていながらコクがあって、独特の甘みが口いっぱいに広がる。
これぞ元祖。
もう本当大好き。
日本中のラーメンを食べてきたけど、この味こそ九州の人間の魂。
いやー、最高!!!!
朝っぱらからラーメン食べて気合い入れたところで、福岡を出発だ。
今日の目的地は長崎。
ここにずっと会いたかった人がいる。
帰国してからまだ九州はほとんど回ってないので、なるべく早く行きます!と言っておきながらこんなに遅くなってしまった。
他にもたくさん会いたい人がいる。
九州に来たら連絡ください!ってメールをくれていた人もたくさんいる。
でも本当に申し訳ないけど、時間の都合で全員に会うことはできない。
あー、九州にもっと時間かけたかったなぁ。
そんなことを思いながら車を走らせた。
福岡を出て佐賀に入り、海沿いを走り、山を越え、どんどん長崎に向かってハンドルを切る。
田舎の何気ない風景がどこか親しみを持って感じられるのはここが生まれ育った九州だからだ。
有明海も、嬉野温泉も、有田焼の町も、みんな子供のころに家族旅行で連れてきてもらったことがある。
あんまり覚えてはいないけど、実家の写真アルバムにはそうした昔の家族旅行の写真がたくさん入っている。
セピア色の観光地の写真に写る若いお父さんとお母さん。そして兄貴と俺。
いろんなところに連れて行ってくれたと、今更ながらに思う。
家族の時間をとても大切にしてくれてたんだと思う。
子供の頃、お父さんお母さんの部屋と俺と兄貴の部屋は分かれていた。
なんだか親の部屋に入るのはドキドキするもので、あんまり立ち入ることもなかった。
でもある時にお父さんお母さんの部屋に入った時、部屋の隅に木刀が立てかけてあるのを見つけた。
こんな危ないものを置いてるってのがちょっぴり怖かった記憶がある。
今思えば、もし泥棒や何かが家に入った時に、お父さんがすぐに取れるようにと木刀を寝室に置いていたんだろう。
お父さんもれっきとした男で、奥さんと子供を自分の手で守らなければいけないと思ってくれていたということ。
いつも怒られてばっかりだったけど、そうやってお父さんに守られながら今俺はそれなりに強く成長することができた。
あの時、お父さんお母さんに連れてきてもらった家族旅行の思い出が窓の外を飛び去っていく。
田舎道を走っていたらボロボロの食堂があったから、なんか食べていこうかなと車を止めた。
店に入ると、昭和で時の止まった店内で爺ちゃんがテレビを見ていた。
「こんにちはー。」
「……………」
こっちを振り向かない爺ちゃん。
他にお客さんはいないので静かな店内に俺の声が響いている。
でも振り向かない。耳が遠いのかな。
「こんにちはー!!おじさーん!!」
「…………………」
店はとても小さいので、俺と爺ちゃんの距離、1メートル。
スーパー無視。
嘘だろ?と思いながらもう一回かなり大声で叫ぶがスーパー無視。
愕然としながら爺ちゃんとテレビの間に顔をニュッと出したら、おーおー!!!誰ですかな!!??と身構えてきた。
警戒する爺ちゃんに、ご飯食べられますか?と聞くと、あーはいはい!!いらっしゃいませー!!といきなり丁寧になって、立ち上がってお茶を出してくれた。
そんな耳遠かったらテレビの音も聞こえてないよな…………
めっちゃ大声で、ちゃんぽんお願いしますー!!!と叫ぶと、はいよ!と嬉しそうに厨房に入っていった。
爺ちゃんが作ってくれたちゃんぽんはとても素朴な家庭の味がした。
美味しかった。
夜になった頃にようやく長崎に到着した。
九州の端っこである長崎は、ここを目指して来なければついでで通るようなことのない場所。
なのであんまり来ることもない。
でも古くから南蛮貿易で栄えた土地として特殊な風土が残っており、旅行で行くにはとても面白い場所。
幕末好きにもたまらないし、キリシタンの教会好きにもたまらない。
そして原爆が落とされた町としても、日本人の記憶の中から消してはならない重要な町だ。
まぁ、それらの観光地巡りは明日にするとして、今夜はとにかく約束をしていた人に会いに行くことに。
やってきたのは長崎市内から少し離れた、海沿いの高台にある住宅地だった。
高級そうな家が並ぶ住宅地の中のひとつに到着。
こ、ここか……?
かなりデカい家だけど………
相手に連絡をすると、玄関が開き、おばさんが出てきた。
「あらー!!久しぶりったいー!!元気にしとらしたー!?ささ、入って入って!!お風呂沸かしとったけん、お酒も飲むやろ?あ、今夜は泊まればよかけん、明日は何時にどこに行く?私のオススメの場所のあるけん、人も紹介ばしたかとよー!」
いきなりマシンガントークで俺にしゃべる隙をまったく与えてくれない元気いっぱいのマダム。
ああ、確かこんな感じだったよな。
麗子さん、フランス以来ですね。お久しぶりです!!!!
あれは世界一周中のフランスでのこと。
パリでの友達のサプライズを終え、みゆきさんとの2人旅も終わり、また1人の旅が始まってから俺はフランスのランスにいた。
ランスは世界遺産の大きな教会がある静かな町で、その路地裏でいつものようにギターを弾いて歌っていた。
その時、通りがかりの日本人女性が声をかけてくれた。
それが麗子さん。
お子さんたちとフランス旅行をされているところで、シャンパンを飲んでほろ酔いになっていた麗子さんは陽気に話しかけてくれた。
フランスの目立たない町には日本人観光客などおらず、嬉しくて日本語の曲を歌わせてもらった。
その時、演奏中になにかをしていた麗子さん。
歌が終わると、さっきから手を動かして作っていたものをギターケースに置いてくれた。
それは折り紙の鶴だった。
「懐かしいでしょ?誰かにあげてもいいからねー。」
そう言って麗子さんはまた別のバーにシャンパンを飲みに歩いて行った。
その後も路上を続けていたんだけど、しばらくしてフランス人の家族が足を止めてくれ、小さな子供が親に渡されたコインをケースに入れてくれた。
この、親が子供にコインを渡して入れさせるってのはよくあること。
その度に膝を曲げて子供の目線でありがとうと伝えていたんだけど、ちょうどさっき麗子さんにもらった鶴があったので子供にあげた。
すると子供は目を丸くして喜び、親のもとに戻っていって鶴を自慢した。
お父さんお母さんはとても感謝してくれ、さらにそれを見ていた周りの人たちも笑顔になり、とてもいい空気になった。
これいいかもしれない。
世界中の子供に平和の象徴である折り鶴を渡す。
ちょっと臭いけど、旅の歌うたいがそんなことをするなんて素敵だなと思えた。
それから各地で折り紙を仕入れながら旅をして、世界中の子供たちに路上で折り鶴を渡して行った。
何百個渡したかわからないくらい。
毎日鶴を折るのは男の俺にはなかなか時間がかかりものだったけど、折り鶴は国を問わず世界中の子供たちとその親に喜ばれ、たくさんの笑顔が生まれた。
ほんの小さなギフトだけど、あれは本当に素敵なアクションだった。
お金をくれた人に、何か小さなお返しをすることで、路上はそれまで以上に楽しく、意義のあるものになった。
あの時麗子さんが折り鶴をくれなかったら、あんなにたくさんの笑顔を作ることはできなかったな。
あれからずっとメールでやり取りはさせていただいてたんだけど、お礼を言いに来るのが本当に遅くなってしまった。
麗子さん、あなたのおかげで世界中の子供たちの笑顔に囲まれることができました。
本当にありがとうございました。
「ささ!食べて食べて!カラスミとか珍しいったい?コーヒーがいい?ビールがいい?あ!明日はあそこにも行かんばね!!これ食べたら皿うどんもあるけん全部食べるとよ!ビールまだある?長崎はよかとこよー。」
マシンガントークの麗子さんにタジタジになりながらもビールがほどよく回ってとても気持ちいい。
あの時、フランスの小さな町、あの時間にあの路地で歌ってなかったら出会うことのなかった人。
出会いは本当に面白い。
テレビゲームなんかよりよっぽどだ。
また麗子さんにお会いできてよかった。
お知らせ!
インド出発までのライブですが、まず次が兵庫県。
1月19日(火曜日)
三田市『Bar ニューオリンズ』
(南ヶ丘 1-17-38)
19時オープン
19時半スタート
1500円(ドリンク別)
あと変更なんですが、1月24日の東京品川でのライブ。
好評につき、僕の呼べる人数枠を増やしてもらえました。
もうちょっといけるんで、東京最後のライブ、良かったら見に来てください!!
★日にち………2016年1月24日(日曜日)
★場所…………『カフェ Ours』 品川区北品川5-7-2
★チケット……投げ銭
★オープン……14時半
★スタート……15時
次に1月25日(月曜日)に、旅出発前の飲み会したいと思います!!
誰でも参加オーケーです!!
場所は東京三軒茶屋のバー、四軒茶屋です。
20時から飲み放題、軽食付きで3000円です。
東京で遊んだみんな、しばらく日本離れるので飲もう!!!
最後が山口県岩国市。大好きな町で思いっきり歌ってその2日後には飛行機です!!
2月7日(日曜日)のお昼過ぎくらいから夕方にかけてやります。詳細はまた後ほど!!
ご予定空けておいていただけると嬉しいです!!