7月10日 水曜日
【アメリカ】 ニューポート
まぁゆうべはこんな感じですよね。
ポールマッカートニーに3mの距離で手を振られたらもれなくこうなります。
ゆうべはあの後中華料理を食べに行きました。
「もうさ、チンタオビール飲もうよ………」
「散財しよう………ポールに会っちゃったもん………散財しよう!!」
「ポール、中華食べに来ないかな。」
「俺たち持ってるからね。ポールが打ち上げ来るかもしれないね。」
「おごってあげるのにな。ポールに飯おごりてー。」
もう気分はポールとお友達ですよね。
ちょっと前にニューヨークでダコタハウスを見たばかりだったのもあって、もはやビートルズは音楽仲間です。
テンションが上がりすぎてわけわからなくなって、みんな放心状態の中、真夜中のドライブ。
てっちゃんの快適な運転でやってきたのは、ニューポートという小さな港町だった。
深夜の港は街灯もまばらで、ハーバーにはいくつものクルーザーやヨットが停泊している。
静寂の住宅街には、これぞアメリカといった感じの古い家が並んでいる。
「このニューポートは、ニューヨークやボストンとかこのあたりのお金持ちたちが集まる別荘地なんだ。どれもお城みたいな別荘でしょ?南北戦争の時のお屋敷とか、かつての鉄道王の屋敷とか、ここには本物の金持ちがあつまってくるんだ。」
そう話すてっちゃん。
ホテルの手配やら、食事場所の下調べやら、ついには路上をやるための街のチョイスまでしてくれるなんて、こんなに優秀なローディーいないぞ!!
よし!!てっちゃん!!
一緒にメキシコまで行こうか!!
この夜は、浜辺に屋根つきのバーベキューエリアみたいな場所を発見し、そこにテントを張って眠った。
夜中の4時くらいだった。
ベンチで直寝するユージン君。
「あ………へひ……ひぁ………」
朝方、雨がテントを叩きはじめた。
雨よけの幕を張ってなかったカッピーのテントから、慌てふためく声がきこえる。
俺のテントはある程度の雨なら問題ないので、そのまま爆睡。
しばらくして、外からオッさんの声がしてカッピーたちが何か言われているのが聞こえたのでテントを出た。
管理人のおじさんがお掃除している横で、ベンチの上で寝袋に体を突っ込んで眠そうな顔してる2人。
ひ、ひどい(´Д` )
ノソノソとテントをたたんでいると、今度は何やら荷物を抱えた団体がやってきて、何かを組み立て始めました。
絵描きのキャンパスを立てる台でした。
綺麗なモデルさんを使って、お金持ちのおじさんおばさんが真剣な顔で構図をとり、キャンパスに筆を走らせています。
横で寝ぐせだらけの寝不足顔でテントをたたんでいる俺たちの周りで、優雅にスケッチをはじめました。
僕らのこと、まるで視界に入っておりません。
「俺たち空気みたいだね。」
「そうだね。」
「でも俺たち昨日ポールに会ったしね。」
「うん、俺たちポールの友達だもんね。」
「眠いね。寝ようか。」
ダメすぎる(´Д` )
クソ重い腰を起こしてみんなでマクドナルドへ。
アメリカのマック安ぃ!!
ダブルチーズバーガーとかチキンバーガーとかが1ドル!!
「まぁ今日の路上は50イーチくらいかなぁ。」
「いやー、100イーチくらいいっちゃうんじゃないー?」
「そうだよね、ポールパワーで稼げちゃうよね。」
「うん、でも今日天気悪いよね。」
「そうだね、今日は無理かな。」
「フミ君は生楽器だから少しくらい濡れても大丈夫だよね。俺たちの晩ご飯分もお願いします。」
「やだよー、雨とか嫌いだよぉー。」
「あ、眠くなってきちゃったな。」
「お前らー!!南米に入るまでに10万ずつ貯めるんだろー!!稼ぎにいけー!!」
てっちゃんにケツを叩かれたのでマクドナルドを出る。
さてー、気合い入れてやるかー。
釣りを。
キャーキャー
なんて楽しそうな顔してやがるんだ…………
本当は俺たちが路上で仕事してる間にてっちゃんが暇なので釣りして晩飯をゲットするという計画で竿を買ったんだけど、一度始めたら鯛がですね、
この小ぶりの鯛がですね、
面白いように釣れるんですよ。
一応、港町育ちなので釣りはまぁヘタだけど出来ます。
「いやぁ!!ゴカイ怖いー!!」
「口からブリッてなんかでてくる!!」
キャーキャー
調子に乗って夜になってからイカ釣りもしました。
イカ釣りとか全くしたことないですけど、照明をたいてる地元のオッさんのとこに行き、横でしれっと糸を垂れます。
オッさんたちの見よう見まねで竿をくいくいシャクってみます。
まぁあれですね。
僕たちはポールに手を振られた男たちですからね。
イカの1匹や2匹ちょろいもんですよ。
イカソーメン食いまくりだね!!とか言いながら竿をシャクります。
1時間後、
涙をしゃくる音が橋の上に響いてました。
はい、まるで釣れませんね。
すぐ真横のオッさんは入れ食いです。
針を落としたら10秒以内にイカを釣ってます。
な、なんでだ…………
「お前がイカくさいからいけないんだ!!」
「イカよりイカくさいからいけないんだ!!」
海風に吹かれて寒くなり、もうイカソーメンはなしやね………と竿を上げようとした瞬間、
くいと竿が重くなった。
俺すげええええええええええ!!!!!!!!
持ってるううううううううう!!!!
「やっぱポール効果だよ!!」
「俺たちポールに会ったもんね!
!」
「うわー!!ポールにこのイカ食わせてやりてー!!」
みんなご機嫌で昨日の宿に戻って調理開始です。
暗闇の浜辺で釣った鯛をさばきます。
ここで重大なことに気づきました。
誰も魚のさばき方知らないです。
ていうかナイフも十徳ナイフのペーパーナイフみたいなヤツしかありません。
とりあえずこのクソ素人たちで内臓だけでも出そうとお腹をさばくんだけど、まな板も何もないのでやりにくくてしょうがねぇ(´Д` )
ユージン君にいたっては、そこらへんに転がってる貝殻で魚切ってるし。
原始的にもほどがある(´Д` )
ていうかこの絵。
汚いアジア人たちが真っ暗な波打ち際で魚を解体してる(´Д` )
怖え(´Д` )
なんとか内臓をほじくり出した見るも哀れな姿の鯛を、鍋で焼きました。
塩と醤油とガーリックパウダー。
玉ねぎとか一緒に炒めたらヤバくね?
じゃあキノコもヤバイんじゃね?
という天才的閃きにより奇跡のフレンチが出来上がりました。
味は、奇跡的に塩と醤油とガーリックパウダーで焼いた魚の味でした。
いや、美味しかったですよ。
とても。
でもこいつがヤバかった。
イカ。
海水で洗って、そのまま刺身にして食べました。
ぐおおおおおおお
うめえええええええええ
イカもっと釣りたかった!!!
「俺日本帰ったらテンガバーやろうと思ってるんですよ。絶対流行ると思うんですよね。」
真面目な顔して語るユージン君。
「普通のバーなんですけど、マイテンガをテンガキープできるんですよ。それで飲み代とは別で女の子にテンガで抜いてもらうんです。3000円くらいで。女の子も直接触らなくていいからレベルの高い可愛い子も雇えるし、ファッショナブルですよね。絶対流行ると思うなぁ。」
こんなことを超真面目に話すユージン君の美しいガットギターの音色を聞きたい方は、山梨あたりを探してください。
俺のブログでテンガのアフィリエイトとれば旅楽勝だね!!俺たちの帰国のチケットよろしく!!とかそんな話をしながらワインを飲んでいたら、暗闇の向こうのほうからキャーキャー騒ぎながら誰かがやってきました。
どうやら酔っ払った若者たちでした。
ノリノリの男女6人くらいです。
ジェイソンに殺されるパターンの男女です。
ヒャッホオオオオイ!!!
とか言いながら、俺たちの横で服を脱いで全裸になって夜の海に飛び込んでます。
ウヒョオオオオオオイ!!!
オッヒョオオオオオオ!!!
あ、あの、そこ、さっきさばいた魚の内臓がいっぱいあるはずなんですけど…………
イヤッホオオオオオオ!!!!!
何も言わずにそっとしておきました。
さて、明日は昼間にちゃんと路上やって夜に移動になるかな。
次はどこの町に行こう。
どんな面白いことが起きるかな。
と思っていたんですが、明日、またとんでもないことが分かりました。
もうここまでくると自分が怖いです。
ポール、ヤバイと思ったでしょ?
あれ並みです。
ご期待ください!!!