4月19日 金曜日
【フランス】 パリ
伊藤さん名言
「野宿するにはねぇ、ゴミになりきらなきゃいけないんだよ。」
「タバコを吸いこむヤツってのは貧乏人だなんだよ。吸わずにくわえとくだけでいいんだよ。」
「鳩は最も獰猛な動物なんだよ。それがピカソの絵によって平和のシンボルとなった。」
「貧乏人は貧乏人に金を借りる。金持ちは金持ちに金を借りる。」
「親に迷惑をかけることが最高の親孝行。」
「人に何かするとき、少し損をしなければいけない。少し損をして、少し相手に気づかせることが大事。」
ところでこの伊藤さんって一体何者?
って思いますよね。
僕もよくわかりません。
画家さんです。
イトーゴーさん。
73歳です。
お爺ちゃんなのに朝の6時まで飲みまくって、俺たちがもう無理です寝させて下さいと言ってお開きにして寝たんだけど、その2時間後に1人で起きてクロワッサンを買いに行くような人です。
気さくでユーモラスで、面白い方です。
話し方は理知的で、73歳にはとても見えません。
そして僕みたいな野良犬の話をニコニコしながら聞いてくれ、愉快だねー!!と笑ってくれます。
そんな接しやすい方なんだけど、日本の家が歴史的建造物で国宝に指定されているらしいです。
家が国宝です。
あとトイレにピカソが飾ってあるらしいです。
よくわからないでしょ?
このパリの家は、伊藤さんが今月から始まる個展のために借りているもの。
そこにカッピーとナナちゃんが同居している。
彼らは伊藤さんと前からの知り合いで、個展のお手伝いや、イベントでの演奏などをする予定。
俺もやれることがあったら手伝わせてもらおう。
さて、ゆうべ朝まで飲んでたので時間はすでにお昼。
今日の予定は…………
明日のサプライズ場所の下見!!
ていうかちゃんとパリ着いたなぁ…………
遠かったなぁ………
頑張ったなー!!!!
カッピー、ナナちゃん、ミユキさん、俺。
4人で街に出た。
地下鉄に乗り、エッフェル塔の近くへ。
お腹空いたのでモノプリっていうスーパーでお惣菜とパンを買って、街角に座りこんでカッピーと2人でムシャムシャ食べていたら、パリ人たちが、まるでゴキブリを見るかのような目を僕らに向けてきます。
ええ、僕の帽子は破れていますよ。
ズボンも破れています。
ヒゲもはえています。
でも大事なのは、心、ではないでしょうか。
心さえ美しくあれば、お天道様に真っ直ぐに立っていれば、何も恥じることはありません。
ここは花の都パリです。
お母さん!!薄汚れたアジア人がやっと手に入れたパンとポテトを街角に座りこんでニコニコしながら食べているよ!ホラ!!
見ちゃダメよ!!
みたいな物凄い顔でみんなが見て行くけど、大丈夫。
そう、僕の心には一片の曇りも……くも、あ、あれ?………この頬を伝うものはなんだろう?しょっぱいや、へへへ。
エッフェル塔、すげえええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ぎょょょょょおおおおあおおぉぉぉぉぉぁーーーーー!!!!!!!!!!!!!
カッケエエエエエテエエエエエエエエエ!!!!
心の中ではこんな雄叫びをあげながらはしゃぎまわっていますけど、ここはパリです。
そんなオノボリサンみたいなことをしては日本人の品格が疑われてしまいます。
恥ずかしい行動は慎みましょうね。
「なんだっぺよおおお!!?これがエッフェル塔だっぺかぁ?!牛久の大仏のほうがでけぇんだがんなぁ!!」
うわあああああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!
茨城県民ショウゴだぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!
「フミさあああーーーん!!!会えたっぺよおおおー!!!!」
「ショウゴーーー!!!!元気だったかーーー!!!」
「俺のエッフェル塔をパリジェンヌの凱旋門にぶち込んでやるっぺよ!!」
ダハブに置き去りにしてきたショウゴがなぜかパリにいる。
なにこのメンバー?
エジプトからパリって、環境変わりまくりなのに、会話の内容1mmも変わらない。
下品です。
でも下品な話って面白いんですよ。
みんなフランス人ですからね。
何話したってわかりません。
そしてエッフェル塔のすぐ近くにある橋に向かう。
その橋のちょうど真ん中のところに、ポコンと出っ張った憩いのスペースがある。
ここが明日のサプライズの舞台。
みんなで入念な打ち合わせ。
「俺がここで待ち構えてるから、カッピーとナナちゃんは向こう側でカップルのフリをしててよ。」
「楽器はどのタイミングで出せばいい?もう出しとく?」
目の前にはエッフェル塔がそそり立っている。
近すぎず、遠すぎず。
青空にそびえるその姿は、東京タワーと同じ鉄骨の上に行くほど細くなるシルエット。
別に建造物自体がすごいわけではない。
こんなのどこにでもある。
しかし人々はこのエッフェル塔にフランスを、パリを感じる。
東京タワーに憧れや、遠い昭和の夕日を連想するように、エッフェル塔に気品とヨーロッパの格式をイメージする。
だからこんなに心が震える。
こんな場所で川田君に会える。
あの日の約束を果たすことができる。
俺の気持ちを感じてくれているみんな。
表情から、必ず成功させようっていう真剣さが伝わってくるよ。
ホントありがとう。
明日の成功を予感させるように、エッフェル塔に虹がかかった。
女性読者サービス!!
自分大好きな男前のフランス人を発見。
俺は男前だろう?
どうだい?もっと俺を撮るんだ!!
ほらほら!!俺は男前だろうううう!!
男前だろう?
わーい。
それからみんなで家に戻り、ワイワイと料理を作り、ワインをあける。
伊藤さんの芸術家仲間で、パリ在住の絵描きさん、サトウさんもやってきて、大いに盛り上がる。
さらに!!!!
そこに登場したのが!!
あのドイツでお会いしたパティシエ社長、植松さん!!
ワインやおツマミをたくさん持って遊びにきてくれた。
大阪に何店舗もお店を持つ大人気店の社長である植松さんにもサプライズに協力してもらうことになった。
明日のサプライズの流れ!!
★18:30に橋に集合し、それぞれのポジションにスタンバイ。
★楽器は体の影に隠して持っておいて、荷物はミユキさんに見てもらう。
★19:00に川田君夫婦登場。彼らがエッフェル塔を眺めてるところで観光客のフリをしていた俺がギターを取り出し東京タワーを歌い出す。
★Bメロで、突如隣にいた女の子が服の中からバイオリンを取り出し演奏に入ってくる。感動。
★サビ半ばで突如向こうの方にいた男がサックスを取り出し演奏に入ってくる。鳥肌。
★演奏が終わり、ギターを置いて立ち去る。川田君がギターを取り、朝ちゃんへ新曲を弾き語る。
★感動の歌が終わったところで、どこからともなく現れた観光客のおじさん(植松さん)がなぜか2人に升を渡し、シャンパンをつぐ。
完璧でござる!!!!
怖えええええ!!!!
朝ちゃんが感動と驚きのあまり過呼吸とかならないか心配で怖ええええええ!!!
という感じで!!
ついに明日!!!
サプライズ決行!!!