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寂しいなら寂しいに身を任せる

【ハンガリー】トカイ ~ エゲル



テントを開けた。
そこはまるで夢の続きのような光景だった。

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すべてが濃い霧に包まれ、美しく静まっている。

波紋ひとつない川面。

枯れた木の枝が、苦しそうに手をのばす。

大きな橋が霧の向こうに消えている。

ここは枯葉に覆われた河畔。


不思議なおとぎ話に迷い込んだような霧の中、テントをたたんだ。

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散歩してたおっちゃんに話しかけられて、鬱陶しいなぁと思いつつ軽く世間話してから、町へ向かう。





町の中も濃い霧に包まれていた。

photo:03




ただでさえ死んだ町なのに、もはやゴーストタウン(´Д` )

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そんな寂しすぎる町をトボトボと歩き、ワインセラーを2ヶ所回った。

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霧の町を眺めながら、グラスを傾ける。
芳醇な甘みが口に広がる。

寝起きでワイン。

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サモロニが50円。




なんとなく駅へ歩く。

街路樹が並んだ道。


静寂。



霧の中から足音が聞こえる
放浪者の足音が
迷ってるかのようでもあり
行くあてのないようでもある
ふと立ち止まったかと思えば
もうそこにいないようでもある
コツンコツン
ため息が落ちる
コツンコツン
霧が深まる




photo:09



寂しいな。

今日はどこに行こうかな。

明日はどこに行こうかな。

何食べようかな。

歌って稼がなきゃな。

たまにやってくる孤独は旅のモチベーションを保つのを難しくさせる。
いや、旅ではなく生きることのか。

誰にでもあること。

俺は強いから大丈夫。


食べ、排泄し、枯葉に埋れて眠り、たまに誰かと話し、



色んなものがぼやける。

どうしようもなくなる。

そんな1日もある。

旅ではなく。

そういう時。

photo:10







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