11月16日 金曜日
ハンガリー エゲル
早朝、テントの外から呼びかける声で目を覚ました。
テントを開けると、そこには警察ではなく普通のおじさんが立っていた。
顔をのぞかせたのがアジア人だったからか少し驚くおじさん。
ここは公園だからキャンプしてはいけないよ、と少しきつめに言われた。
あー、言われちゃったか………
ここ良い寝床なのになぁ………
また違う場所探さないとな。
あれ?
なんだこれ?
俺の靴ーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
ちょーかっこいいと思います。
カッコいいって言えよ?
この「カッコいいって言えよ?」ってのが中学生の時に異常に流行った。
今でも友達と話す時、たまに出てくる。みんなもあるやろ?そんなの。
おかげで早起きできたので、テントをたたんでお城へ向かった。
ハンガリーの友達が言っていたんだけど、ここエゲルのお城はハンガリーにとってとても重要な意味を持つお城らしい。
町の中を坂を登って歩いて行くと、古めかしい門が見えてきた。
青空にはえる、石の白。
本丸はない。丘の上に城郭のみが残っているだけ。
石垣には雑草が生え、ところどころが崩れ、古城の雰囲気を感じることができる。
丘の上、石垣に腰掛けて町を眺めた。
冷たい風が気持ちいい。
町に向かって据えられた大砲。
色とりどりの屋根が眼下に広がり、向こうには緩やかな丘陵が波打っている。
郊外にはマンションと、建て売りの一戸建ての住宅地。
ふと胸がしめつけられる。
なんてことない、ただの町の風景。人々が暮らし、悲しみ、喜び、死んでいく。
なんてことない、どこにでもある人生の舞台。
だからこそ胸に迫る。
知らない場所に行きたかった
知らない人生がそこにあるから
取り残された双眼鏡をのぞけば
涙がこぼれてしまう
時間は雑草と揺れる
崩れた石垣の放心
知らない場所に行きたかった
とても美しい場所だ。
かつて、領土を広げ続けていた無敵のオスマントルコ軍はブダペストを陥落させ、ウィーンも手中に収めようとしていた。
時代は日本の戦国時代。
しかしある名将の活躍によりハンガリーはついにオスマン帝国軍を退けることに成功。
名将の名はイシュトバーン。
その激戦の舞台が、ここエゲル城。
救国の英雄がハンガリーを守った地として、このエゲルはハンガリー人にとってとても重要な場所なんだな。
そんな古城の石垣に腰かけている。
風が吹く。
英雄の閧を乗せて。
ゆうべの晩ごはんはマクドナルドのチーズバーガーひとつだけだったのでめちゃお腹空いてる!!!!
俺のお腹を満たしておくれーーーー!!!!!
レトロバーガーさんーーーーーーーー!!!!!!
お任せあれええええええーーーーー!!!!!!
ドスン
で、でけぇ!!
何度見てもでけぇ!!!
今日のはハム入りなので780フォリント。それでも3ユーロしない。レトロバーガー最高!!!
さて!!
今日も張り切って路上!!
今日は場所を変えて、広場の横にあるデパートの前で歌った。
たくさんの人が話しかけてくれた。
この町で日本人を見たの初めて!!
とみんな興味しんしんだ。
ほとんどの日本人観光客はブダペスト以外回らないんだろうな。
今日のあがりは小銭だけで11420!!
重い!!!
少し早めに切り上げたのは、これからもう1ヶ所行きたい場所があるから。
テクテク歩いて、町外れへ。
このブーツ、ちょーカッコいい。
しかし、
重い……。
靴に歩かされてるみたいだ。
30分くらい歩いて行くと、民家がなくなり、のどかな田園風景に変わる。
眼下に、小さな谷が見えた。
周りを山に囲まれた小さな谷間。
あれが美女の谷か。
覚悟を決めて坂を降りた。
え?なんの覚悟かって?
泥酔の(´Д` )
ここ、美女の谷はとても有名なワインの産地。
かつてオスマントルコ軍が攻め込んできた時、兵の士気が下がってきたため、名将であるイシュトバーンさんは、美女の谷のワインを持ってこさせ兵に振る舞った。
元気の出た兵士たち。そして赤い液体を飲みまくってる姿を見たオスマントルコ軍は、あいつら牛の血を飲んでるよ、怖いよ!!と言って逃げていったという逸話がある。
谷には、山をくりぬいて作ったワインセラーが無数にひしめいており、その数70ヶ所。
すげ、穴だらけ。
この穴の中でそれぞれのセラーのワインが試飲できるってわけだ。
穴ぐら巡り開始!!!
最初に18番のセラーへ。
ここはゆうべ、今日と、色んな人に何番のワインが好きですか?とアンケートを取った結果1番高評価だったセラー。
中は石を削ってくりぬいた空間にテーブルが並び、奥にカウンターがある、いかにもワインの里っていった雰囲気。
ここでひたすら試飲。
甘いのが好きです。
ドライなのがいいです。
もっとアッサリしたやつがいいです。
やっぱり白ワインのほうが好きなんです。
都農ワインありますか?
テイスティング程度だったらなんぼでも無料で試飲させてくれる。
気に入ったやつがあればグラスでも飲める。
これが90フォリントで飲める。
30円(´Д` )
4種類のブドウをミックスして作る、この地方の伝統的なワインであるegri bikverもしっかり味わった。
鼻をくすぐる甘い蜂蜜の香りがブドウ畑へ誘い、口に含むと芳醇な苦味と酸味が鼻に抜け、樽の香りが森の中の枯葉の湿った匂いを彷彿とさせるんですか?ほんとですか?
ワインの味なんて全然わかんねーよ(´Д` )(´Д` )(´Д` )
気分だよ、気分。
日本酒も気分。
その瞬間美味しければそれでいいんだよ。
というわけでそれから3軒くらいセラー巡りをした気がするけど、気がするだけで覚えてない(´Д` )(´Д` )(´Д` )
あー、飲んだくれー。
今夜はどこで寝ようかなー。
谷間で美女に抱かれて眠るか。
あー、気持ちいい。
カッコいいって言えよ!!!