11月15日 木曜日
ハンガリー エゲル
あのポーランドでの極寒地獄に比べたらそこまで寒くはないと言っても、ベンチ野宿はさすがにこたえる。
寝袋の中で足をさすりながら、寝返りを繰り返していた。
テント張って囲いを作れば2℃くらいは違う。
でもテントって目立つから警察に怒られたり、ホームレスが寄ってきたりして、それはそれで考えもんなんだよなー。
まぁなんとか眠れたこと眠れた。
さて、寝袋を出て歩き始めて10秒で温泉。
近すぎ(^-^)/
寝起き温泉サイコー!!
昔から寝起き温泉が大好き。
日本でも数々の秘湯、名湯で寝起き温泉をやってたな。
てなわけで海外初の温泉は、ここエゲルの、オープンエアースパだ。
値段1700フォリント。
うん、ブダペストの温泉の半額だ。
荷物を預けて奥に進んで行くと、プールがあった。
プールサイドで服を脱ぎ、さぁ、フリチンに………
って誰もフリチンじゃない!!
水着を着ている。
アホみたいに裸にならなくてよかった(´Д` )
アホみたいに。
ふたたび服を着て、受け付けに戻り水着を貸してくださいとお願いするが、ないよと言われる。
じゃあどうすればいいですか?と聞くが、わからないわよとごもっともなことを言われる。
え?入れないの?俺?
水着なんか持ち歩かないですよ旅人が。
仕方ないのでプールに戻り、堂々とズボンを脱ぎ、あたかも、このパンツは水泳パンツですけど?みたいに見せかけようと試みるがしかしパンツはどこまでいってもパンツなのでなんだかとっても恥ずかしくなるが、係員さんに何も言われなかったのでそのままプールイン!!
イヤッホーイ!!!!
気持ちいいーーー!!!!!
俺、パンツでプール入ってるけどねーーー!!!!
不法滞在者だけどねーーー!!!!
室内プール、屋外プール、そしてその先に源泉が湧く熱いプールがある。
白人たちが猿みたいに湯船につかって気持ち良さそうに日差しを受けている。
平日の昼前から。
日本人も猿みたいに温泉大好きだけど、ハンガリー人も相当好きなんだろうな。ハンガリーでは日本と同じように名前を名字ー名前の順に書く。欧米は逆だよね。ケン・ワタナベみたいな感じで。
日本と似てるな。みんな親切だし。
これでもかってくらい体を洗い、ヒゲを剃り、眉毛を整え、爪を切り………久しぶりにすみずみまで完璧に綺麗になった!!
うおー!!温泉サイコー!!!
ていうか銭湯がないヨーロッパが信じられない。
日本の銭湯文化って素晴らしいなぁ。
ひび割れているカカトもしっかり綺麗に洗った。
受け付けの人に、足がこんなんで痛いですと懇願すると絆創膏をくれた。
うわー!爽快!!
やっぱお風呂最高だな。シャワーだけでは野宿の疲れはとれない!!
元気満タンでメインストリートへ。
ひたすら街の中を歩き回るがいいご飯が見つけられず、路上の時間がもったいないので、仕方なくレトロバーガーってバーガー屋さんに入った。
バーガーって高いくせにお腹いっぱいにならないんだよなぁ、とノーマルの1番安いやつを注文。
出てきたのは………
なんだこれ?
でかすぎる!!(´Д` )(´Д` )(´Д` )
こんなんどうやって食えばいいんだ?(´Д` )(´Д` )
佐世保バーガーよりでかいぞ?
そしてこれで、たったの650フォリント。230円。
めちゃいいとこ見つけちゃったーーー!!!!
俺のチョイス、最近冴えてるなぁ。
ハンガリーのB級グルメ代表!!
エゲルバーガー!!
ソースが指につきまくってかなり気持ち悪いけど、なんとか完食。
水道をかりて手を綺麗に洗いまくった。
日本人は綺麗好きな文明人なんだよというアピールも含めて、これでもかってくらい洗った。
こんなことを考えている時点で、白人に対する日本人の劣等感が浮き彫りだよな。
よし!!!
路上開始!!
喉の調子、激悪だけど、気合いで歌いまくり2時間で7600フォリントのあがり。
今日の収穫としてはルーマニアからの観光客の人たちとお話したことだな。
彼らの顔はジープスたちのようなアラブ系ではなく、今までのヨーロッパの国民と同じくアングロサクソンだった。
「治安?なんの問題もないよ!!俺なんていつもヒッチハイクしてるけどトラブルに遭ったことなんて一度もないよ!まぁ、運悪くドラキュラに会ってしまったらその時は諦めてね。」
ニヤリと笑う兄さん。
そうか、ジープスのイメージばっかりですっかり忘れてたけどルーマニアってドラキュラの国なんだな。
行きたい衝動、2割増し。
でももっとしっかり情報収集しないとな。
危険なことには変わりない。
路上を終えてまたマクドナルドへ。
今日は観光はやめといて、早めに寝て明日朝イチから行動開始だな。
ひとしきりネットをいじってから、寝床の公園へ。
せっかく稼げたことだし、軽く飲もうかなと寝床の周りをウロウロ。
バーが数軒。
んー、どれにしようかな………
悩むなぁ………
しかし最近、冴えてるからな。
直感に従おう。
公園から1番近い、小さなバーに入った。
そして、
靴を手に入れた。
うわーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!
とうとう靴ゲットぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉウウウリィィィィィィィーー!!!!!!
常連のおじさんが、俺のサンダルを見て、寒いだろうが!?ちょっと待っとけ、と身振り手振りで言ってきたので、ビール飲みながらハンガリー美人とイチャイチャしてたら、おじさん、家からブーツをとってきてくれた!!!!!?!!!!
チョーカッコいいーーーーーー!ーーーー!ー!!ーーーーー!!!!!!!
いつかカッコいいのが手にはいるはず!!と頑なにビニールの靴を買うのを我慢していた甲斐があったよーーーーー!!!!!!
年季の入った皮のブーツ!!!!
英語の出来る人に通訳してもらったら、このブーツ、おじさんが40年前に戦争のために買ったブーツだという。
70年代はもちろん冷戦真っ只中。
ソビエトの共産主義支配への反対デモがばちばち火花を散らしていた時代だ。
そんな時代に買ったブーツ!!!
しかも状態もめちゃいい!!!!
文武
「おじさん!!!カッコよすぎだよ!!!これ!!!ホントにいいの!!!大事なものじゃないの!!??」
おじさん
「オンセンオンセン、ワイン。」
通訳してもらったら、俺はもっと良いやつを持ってるから気にするな、と言っている。
嬉しくておじさんに抱きついた。
そして外に出て道路を走り回った。
うわぁぁーーー!!!!
足が冷たくないーーー!!!
なんて快適なんだーーー!!!
靴が手に入ったのはもちろん嬉しい。
でもこれが普通のスニーカーならここまで喜ばない。
ハンガリーの田舎町、ここで生きてきた1人の男の人生、それを共に歩んだブーツ。
旅先の何気ない人々の人生に自分を重ねることが旅の大きな喜びのひとつだと思ってる俺には、これ以上ない最高の靴だ。
巡り合わせ!!!
ギターも、ブーツも、上着も、みんなこの旅のために待っててくれたんだ!!!
ていうか、この店選んでよかったーーーーーーーーー!!!!!!!
ほんと最近冴えてる!!!
よーし、これでもうどこにだって行けるぞ!!!
雪の中だろうが、構わないぞ!!!
なんたって軍靴だからな!!
無敵にもほどがあるぅぅぅぅぅぅぅぅぅリィィィィィィィーー!!!!!!
おじさん、ありがとう!!!
この靴で世界中を回ってくるから!!!!