11月4日 日曜日
ドナウ川の上空で目を覚ました。
ここはドナウ川に架かる高速道路の橋の上、
歩行者通路で爆睡していた。
不法滞在者って雰囲気丸出しだな。
50万人の街、ブラチスラバ。
程よい都会で、街の中心を流れるドナウ川沿いには大きな森林公園があり、おだやかな川面に係留された船はどれも船上ホテルや船上バーだ。
このモニュメントすごかったな。ステンレスかなんかの鉄で出来てて、見る角度で光が変わってとても綺麗で不思議な存在感だった。
街中に行き、マクドナルドでネットを繋ぐ。
退去命令がくだった以上従わないわけにはいかない。
シェンゲン協定に加盟していない国はクロアチア、セルビア、ボスニア、アルメニア、モンテネグロ、マケドニア、そして将来的には加盟しますという意思を表明しているがまだ正式には加わっていないのがブルガリアとルーマニアだ。
なんとか陸続きにアジアであるトルコに抜けることはできる。
しかしギリシャだけは行けないんだよなー。
ポツンとここだけ穴が空いてしまう。
ギリシャは行かないわけにはいかないんだよなー…………
3ヶ月間、戻ってきてはいけない。
2年とか3年だったらもう諦めるところだけど、3ヶ月ならまだ戻ってこれるからな。
んー、オーロラは無理かー………
見たかったなぁ………
まぁ凹んでいてもしょうがない。
今まで通り歌って稼いで飯を食わなければいけないことには変わりない。
飯を食べにアジアレストランへ。
ブサイクで時代遅れな格好をした中国人の女店員たちが俺を見て無遠慮に笑っている。
丁寧に注文しても、はぁ?と面倒くさそうな顔で返事もしない。
料理を置くときもドンっ、とテーブルに置き、箸をくださいと言ったら、そこにあるだろうが!みたいにテーブルの横の箸を指差し、他の店員たちと中国語で何かを言って笑ってる。
あまりにもムカついてテーブルひっくり返しそうになるのを必死にこらえ、さっさとたいらげて店を出た。
最悪に気分が悪くなった。
腐れ中国人どもが。
だから世界中から嫌われてるんだ。
旧市街に向かう。
プラハのチャールズ橋のミニチュア版みたいな橋を渡ると、細い路地が入り組む蜘蛛の巣のようなブラチスラバの旧市街に入る。
たくさんの古い建物が残っているんだけど、世界遺産には登録されていない。
見上げると丘の上には白亜のお城がそびえている。
たまらなく美しいが、ヨーロッパではどこにでもある風景。
そんな旧市街への門のところで路上開始。
ゆうべはクラブやバーが大音量でダンスミュージックをかけていた飲み屋通りだけど、日曜日の昼下がりは静寂に包まれている。
しかし、ブラチスラバはやっぱり首都だな。
なかなか観光客も多く、お決まりの中国人のツアーもガヤガヤと通っていく。
周りの石造りの建物に反響して、狭い路地に気持ちよく歌声が響く。
人が通れなくなるくらいのひとだかりが出来、かなりのお金が足元にたまった。
しかし後で数えたが、あがりは36ユーロ。
うーん、やっぱり物価が安い分、みんなの財布も閉まるわけだな。
「Can you play Nakajima miyuki?」
な、なかじまみゆき??!!
そんなイカしたこと言ってきた地元の兄さん。日本を愛する彼の名前はスタニスラバ。
話していると仲良くなり、お茶に誘ってくれたので、ビール飲みたい!!とリクエストして一緒にブリュワリー直営のバーへ。
スロバキアにはたくさんの小さなブリュワリーがあり、それぞれ直営のバーを持っている。
ビール片手に話が盛り上がり、そのまま彼の家に行くことに。
と、その前に店を出たところで、すごい美人なアジア人が歩いてきたのでジッと見ていると、向こうから日本人ですか?と声をかけてきてくれた。
えー!!こんな美人な日本人とスロバキアで会えるなんて!!と大喜び。
しかも同じ九州人。
仕事でこちらに住んでいるというサキさん。
フレンドリーで笑顔の素敵な女性。
久しぶりにビックリするくらいの美人さんに会えて興奮してしまったー。
一緒に飲み行きたかったなー。
Facebookだけ交換して別れた。
スタニスラバの住んでるマンションはオーストリアとの国境からわずか1kmほどの場所にあった。
すぐ向こうにウィーンがあってちょっと走ればプラハにも行ける。
ブラチスラバって住みやすいいい場所なんだなー。
ところで、みんなはクラケットってスポーツ知ってる?
くぼんだテニスラケットみたいなラケットでボールをパスし、シュートを放つ、アイスホッケーに似たスポーツ。
日本ではメジャーじゃないけど、アメリカやカナダ、ヨーロッパではスタジアムを満員にするような人気スポーツだ。
なんとそのクラケットのスロバキア代表選手だったスタニスラバ。
かなり激しいスポーツであるクラケットのゴールキーパーである、たくましい男。
しかも弁護士。
パーフェクトマン(^-^)/
そんな彼はつい先日、スペインに巡礼に行っていたそうだ。
四国のお遍路みたいに、スペイン北部には900kmの道を歩くクリスチャンの巡礼の道があるようで、美しい自然や古びた田舎町、都会の中を歩く素晴らしい巡礼らしい。
パソコンでその時の写真を見せてもらった。
巡礼といっても宗教的な装いではなく、みなラフなアウトドアの服を着て歩いている。
他の巡礼者と仲良くなり一緒に歩いてる姿やカフェで仲良くお茶をしてる姿に、四国お遍路を思い出す。
その写真の中には日本人男性の姿もあった。
美しい風景。
東欧にはない土壁の家の集落なんかがある。
スペインも行かないとな。
3ヶ月後だけど(´Д` )
夜遅くまで色んな話をした。
不法滞在者ってことを忘てしまいそうだ(^-^)/